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石蕗学園物語  作者: 透華
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学園 ある女友達?の感想

 アタシは現生徒会役員を眺めて満足げな吐息を零した。中等部から生徒会に所属してきたけれど、このメンバーが今までで一番いいかもしれないわ。

 顧問の烏羽要からすば かなめ先生は、黒髪黒目に銀縁メガネのクールな印象を与える先生。中身も見た目と同じく冷静沈着で基本的に生徒の自主性を重んじてるというか、放任主義の先生だけれど、いざという時は助けてくれる頼りになる人なのよね。あと軌道修正もよくしてくれるし。

 生徒会長の紫堂螢しどう けいは、アタシの幼稚舎からの親友で金髪に紫色の瞳なんていう一見童話の中の王子様って感じの見た目だけれど、実際は王子様みたいに浮き世離れした人間じゃない。ちゃんと地に足をつけて立っている。少し高慢なところはあるけれど何だかんだで人のことを考えてくれる優しいヤツなのよね。

 アタシと同じく副会長を務める二年の水瀬颯みずせ そう君は黒髪に水色の瞳をした爽やかな印象を与える子。人をよく見ていて落ち込んでいたり困っていたりすると手を貸してくれるし、まとめ役としても有能なのよね。次期生徒会長としてかなり期待しているわ。あと、結構ちゃっかりしてるんだけれど、従姉妹と仲良くなりたくて空回ったりしているところを見ると可愛く感じちゃうのよね。

 書記の水瀬なぎちゃんは、颯君を空回らせてる件の従姉妹で颯君と同じく二年生。栗色のウェーブがかった髪に大きな同色の瞳をした10人中10人が美少女と認めるくらい綺麗な女の子。生徒会の中では一番アタシに気を許してくれてたんだけど、今年入った子にあっさりその場は奪われちゃったわ。でも、いつも不機嫌そうな顔で黙々と仕事を片付けてた凪ちゃんの顔に笑顔が増えたのはいいことよね。仕事の効率もよくなっているし。

 一年で会計の龍崎浅葱りゅうざき あさぎ君は良くも悪くもギャップがあるのよね。見た目は赤い髪に鋭い浅葱色の目に大柄な不良っぽく見られがちだけれど、中身はとても繊細で優しい子。有能なのに自分に全く自信がないのが本当に勿体ないわ。次期副会長候補だから、この一年で少しは自信がつくといいのだけれどね。これはアタシだけでなく螢も颯君も願っていることなの。

 一年で庶務の橘萌黄たちばな もえぎ君は浅葱君の親友で彼の落ち込みやすい性格をフォローする存在かしら。黄色いハネた髪に萌黄色をした小柄な男の子。人懐っこい子犬みたいで可愛いんだけど成長期はまだみたいだし、どんな風に成長するのか楽しみだわ。まぁ。少し落ち着きをもって欲しいとは思うのだけれど。そこはご愛嬌かしら。

 そして、二年で生徒会補佐の雪城瑠璃ゆきしろ るりちゃん。一年間筆記試験で一位を取り続けるって偉業を成し遂げて生徒会入りした秀才なのよね。奨学生って立場だから頭がよくないと駄目なんでしょうけど、やっぱり凄いと思うわ。制度としては昔からあったけれど、このやり方で生徒会入りしたのは実に四十年ぶりの快挙なんですって。聞いたときは瑠璃ちゃん凄いと思うと同時にどうして、そんな制度にしたのかって疑問が湧いたけれど。

 瑠璃ちゃんは腰までの黒髪に黒目で制服もシャツの第一ボタンまでしっかり閉めているから真面目を絵に描いたような女の子に見えるのよね。髪はさらさらストレートだけれど、いつもおろしてるみたいだから今度是非いじらせて欲しいわ。多分凪ちゃんも賛成してくれると思うし。

 親友である瑠璃ちゃんが生徒会入りしてくれたお陰で凪ちゃんの笑顔が増えて過ごしやすくなったのよね。それに瑠璃ちゃんはアタシ達とは色々立場や環境が違う子だから、新しい意見も聞けて助かるわ。ファンクラブの時は本当に助かったわ流石会長って感じよね。

 凪ちゃんと瑠璃ちゃんとは、よく話をするけれど、アタシの話し方に偏見を持たずに接してくれるから嬉しいの。2人とも当たり前のように会話してくれるのよね。勿論他の生徒会役員も烏羽先生もそうなんだけれど。アタシは周りの人に恵まれたと心底思うわ。

 螢達とする会話も楽しいんだけれど女の子だとやっぱり話の内容が全く違うのよ。どこソコに可愛いお店が出来たとかあそこのお菓子が美味しかったとか、素敵なカフェを見つけたとか。

 そうそう瑠璃ちゃんは私と同じく一人暮らししてるから、レシピの交換とかも出来るから助かるのよね。料理だけじゃなくてお菓子のレパートリーもかなりあるみたいだし。この前差し入れに持って来てくれたクッキーも美味しかったわ。

 凪ちゃんはそんな瑠璃ちゃんの親友だからか意外と一人暮らしにお得な情報をくれたりもするのよね。便利雑貨とか調理器具とか前は倒れないしゃもじを教えてくれたわ。お嬢様の凪ちゃんがどこからそんな情報を仕入れてくるのかは本当に謎だけれど。だって倒れないしゃもじはホームセンターに売ってあるものだし。瑠璃ちゃんのためにインターネットで調べたのかしら。凪ちゃんなら、それくらいしそうではあるのよね。

 アタシが会話に参加してなくても女の子2人でキャッキャッと楽しげに戯れてる姿を見るだけで癒される気がするわ。前は生徒会室でそんな姿が見られるようになるなんて想像もしていなかったもの。本当に瑠璃ちゃんには感謝しなきゃね。

 生徒会には見目麗しい男が集まってるんだけれど、やっぱり男同士で仲良く会話してる姿を見るより女の子同士でハシャいでる姿を見る方が和むのよ。だって可愛いんだもの。


* * * * * *


「どうした。あかね何かいいことでもあったのか?」


「ふふっ。まぁね」


 螢は鼻歌交じりに皿を洗っているアタシを楽しげに眺めてる。ここはアタシが一人暮らししているマンションの部屋。螢はアタシと違って家族と仲がいいけれど、アタシのことを気遣って度々家に泊まりに来てくれるのよね。

 颯君や浅葱君や萌黄君も泊まりに来てくれるし凪ちゃんは泊まりはしないけれどたまに遊びには来てくれるわ。凪ちゃんの場合、今度からは瑠璃ちゃんを連れて来そうね。

 螢が来た日はそれぞれ好きなことをして過ごしているけれど、萌黄君達が来たときなんかは、ゲームで遊ぶこともある。家にはゲーム機がないから、萌黄君がわざわざ持って来てくれるのよね。対戦ゲームをしたりするのも楽しいけれど、萌黄君達が操作するRPGとかを眺めるのも結構楽しいわ。

 あと、ホラーゲームを皆で交代しながらするのも楽しいのよね。意外だけれど、浅葱君は普段小心者のくせにホラーとかには全くビビらないのよ。ゲームでも映画でもホラーもグロも何でもござれって感じで平然としているのよね。それを人相手にも発揮して欲しいものだわ。

 食後のコーヒーを持って螢がいるソファーまで持っていく。我ながら今日のコーヒーも上手く入れられたわ。


「ねぇ。螢」


「ん? どうした?」


「今年は凄く楽しくなりそうね」


「確かにな。高校最後の年を有意義に過ごせそうだ」


 2人で顔を見合わせて密やかに笑い合う。ええ。本当に今年はきっと今までで一番いい年になるわ。アタシは不思議とそう確信できた。

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