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魔導師は平凡を望む  作者: 広瀬煉
変わりゆく世界編

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情報収集 其の二

「それでは、改めまして。……婚約の経緯から、お話を聞かせていただいても宜しいですか?」

「はい、勿論です。婚約破棄が大きな問題とはいえ、元は婚約していたことが原因ですもの。両親にも許可を得ておりますので、私に話せることは全てお話しします」


 淹れ直されたお茶を前に問いかければ、ローザさんははっきりと頷いた。その表情も、凛とした態度も、彼女自身の責任感の成せる業だろう。

 クリスタ様はある程度知っているのか口を挟まず、ローザさんを見守っている。心配そうなクリスタ様の視線に気づいたローザさんと視線が絡み、互いに微笑み合う姿が微笑ましい。


 この時点で、近衛騎士とその実家は負けていると思うのは、気のせいか。


 心温まるエピソード=『その他大勢に該当する人達を誘導できるカード』。相手が王女のクリスタ様ということも、ポイント高し。

 二人は狙ってやっているわけではないが、『王族の友人』+『同情』+『ローザさんの健気さ&誠実さ』という組み合わせは強力な一手となる。それに加えて、醜聞となっている婚約破棄によるダメージを癒してくれるだろう。

 何より……味方になってくれる人達を増やすことで、こちらの手も広がるじゃないか。

 特に庶民はこういった『健気な女性が頑張るお話』が大好きだ。ローザさん一家の誠実な対応も相まって、領民達は味方になってくれるはず。こんな時だからこそ、足場固めは重要です。

 ……防衛手段の一環として、領民達を味方につけておく必要があることも事実なのだよ。元凶達が彼女達を傷つけようとする場合、その周囲に『婚約破棄の原因はローザさんの方にある云々』という噂を流しかねないからさ。

 近衛騎士とその実家がクズということは判っているので、こういった可能性も考慮すべきだ。分が悪くなれば、『俺達は悪くない!』とばかりに、ローザさん達を陥れそうだもの。つーか、絶対にやる。

 そこで悪い噂を流されてしまうと……領民達にとっては、それが事実のように受け取られてしまう。貴族のように情報収集できないからこそ成り立つ、地味ながら悪質な嫌がらせだ。


 っていうか、私が奴らにやろうと思ってるんだけどね!

 なに、『事実に悪意をちょっと盛るだけ』だから! 嘘じゃないし!


 傲慢さ全開の近衛騎士の実家を疎む声は一定数あるだろうし、単純に『あいつら上手くやりやがった!』的な嫉妬も絶対にある。また、噂を聞いた民間人がどう思うかなんて、たやすく予想がつく。

 そこを突いてみようと思っているのですよ。悪戯盛りの子猫ですもの、異世界人凶暴種ですもの、お祭り(意訳)を盛り上げたっていいじゃない……!


 権力皆無だからといって、平民を嘗めるでない。

 賢さは階級関係なしの武器、数の暴力は時に歴史を動かす脅威である!


 元は些細な嫌がらせだろうとも、それを何倍にも悪質にすれば、立派に攻撃だ。全くの嘘でもないから、否定も難しいだろうしね?

 そんなことを考えつつも、表向きは二人を微笑ましく見守っている。ここで協力者達にドン引きされるのは宜しくない。不安を与えてしまう。

 親猫様の教育により、黒猫は腹の中まで真っ黒です。元凶に祟るためなら、ほのぼのエピソードも利用しますとも。

 ……。

 元からの性格も多分に影響しているけど。これを聞いたら、魔王様は『私のせいじゃない!』と否定しそうだけど……!


「それじゃ、まずは婚約の経緯について。これ、貴女が望んだものではありませんよね?」


 確信をもって問い掛ければ、ローザさんは迷わずに頷いた。


「はい。私と彼のお祖父様達が決めたことなのです。私が生まれた当時はキヴェラの脅威も勿論ですが、アルベルダ内部も今ほど安定していなかったと聞いております。そこで、友人同士であったお祖父様達は互いに助け合おうと決めたそうですわ。その繋がりのための婚約だとか」

「何の関係もなく助力すれば、裏を勘繰られることがありますもの。そういった発想に至る要素を消すためでしょう。似たような婚約話は当時、それなりにあったそうですわ」

「へぇ……」


 状況的に考えるなら、お爺さん達の判断は間違っていない。ただし……『あくまでも、その当時の状況ならば』とつく。


「それ、途中で解消しようとは思わなかったんですか?」

「私の家の方が爵位が低くて……。ですから、解消する場合はあちらの家に恥をかかせないためにも、向こうからお話をいただくしかありません」

「身分に拘る話になってしまいますが、爵位が低い者からの婚約解消は相手を侮っているようにも受け取られてしまいます。言い方は悪いですが、『立場が下の者の提案』ですから。下級貴族であっても資産家という場合もありますし、周囲からどのように見られるか判りません。ローザの方からの婚約解消は良い顔をされないでしょう」


 クリスタ様はそこらへんの事情は仕方ないと思っているのか、苦い顔をしながらも解説してくれる。

 なるほど、相手の家のことを考えると失礼に当たるのか。一方的な『婚約破棄』は最低だが、『婚約解消』ならば穏便な解決が可能だったんじゃ? と思った私は甘かったようだ。どちらにせよ、『身分が下の方が、そういった判断を下すこと』が拙いのね。

 だが、ふと私は首を傾げた。あれ? この世界って、婚約による拘束はそこまできつくないとか聞いたような。だから、守護役制度にも使われるんだよね?


「あの〜、この世界って割と婚約解消とか行なわれていると聞いたんですが」


 首を傾げたまま聞けば、答えをくれたのはクリスタ様だった。


「貴族や王族は幼い頃から婚約者がいることが珍しくありません。ですが、それは殆どが政略によるものなのです。ですから、状況に応じて解消したり、新たに結び直すこともありますわ。援助を受けていたり、何らかの事情があって交わされたものならば、簡単に解消はできないでしょうけど」

「王族や貴族だからこそ、婚約者が変わることは珍しくないと」

「我が国にも言えることですが、荒れている時代はどの国にもあるのですわ。亡くなられる方や、事情が変わって家を継がなければならなくなる方もいらっしゃいます。その、先代キヴェラ王のような方もおりますし……」

「あ〜……何となく察しました。個人の事情というより、家の事情的な婚約や婚約解消が起こるんですね」


 医療技術が発達してないし、戦で死ぬ場合もある。派閥ごとの権力争いに巻き込まれての没落……なんて可能性も考えると、そりゃ、婚約の扱いが軽くなるだろう。何が起こるか判らないもん。

 ただ、それだとローザさんの家は簡単に解消できない理由があったように聞こえる。

 

「じゃあ、ローザさんの場合は? 家の格という問題は判りますけど、あちらから婚約解消を言い出さなかったんでしょう?」

「私達の場合は、お祖父様達の遺言があったからだと思います。とても親しい友人同士だったそうで」

「傍迷惑な……! 何故、口約束程度に留めておかなかったのか」

「ええと、その……アルベルダも今ほど落ち着いておりませんでしたし、確実な味方が欲しかったのではないでしょうか? お祖父様達も助け合って荒れた時代を乗り切ったと、伺ったことがありますから」


 つまり、年寄り二人は互いの家や家族のために婚約を整えたわけだ。

 ただ、ローザさんの家はともかく、近衛騎士の方は不満があった可能性が高い。息子夫婦か娘夫婦かは知らないが、勝手に息子の婚約者を決められたんだもの。しかも、相手は格下の子爵家。

 息子が近衛騎士になったなら、余計により良い縁談を望んでもおかしくはない。そういったチャンスが得られる状況になったからこそ、欲が出たんだろう。つーか、近衛騎士の性格形成に影響を及ぼしたのは、絶対に両親だ。

 息子が我儘を言ったとしても、野心がない親ならば諫める。それなのに、嬉々として息子の新たな婚約を応援。相手の身分を盾にして、遺言を破棄したのだろう。

 ただの貴族ではなく、キヴェラ王の姪にあたるとなれば……まあ、十分な破棄理由になる気がする。大国の王家に連なる家である以上、『キヴェラからの要請を断れませんでした云々』と言えば、大抵の人は納得するもの。


「背景事情は判りました。遺言を破棄して、新たな婚約を結ぶ……ということが可能な権力の存在(=キヴェラ王家に連なる血筋)も理解できます。ただし……筋は通していませんよね?」

「……お気づきになられましたか」

「そりゃ、アルベルダの王女であるクリスタ様がこちら側ですから」


 探るような視線と共に問えば、笑みを深めるクリスタ様。対して、ローザさんはきょとんとしたままだ。彼女は子爵家の令嬢なので、この婚約破棄がもたらす一番の弊害に気づかなかったらしい。


「あちらがキヴェラ王家を通じて、まずはアルベルダ王家に話を持っていけば済む案件でしたよねー、これ。遺言と婚姻までに時間がないことが問題ですが、自国の王家に話を持ち込まれれば、解消も可能だったはず」


 おかしいんだよねぇ、これ。『キヴェラ王がこの話を知っている』上で、『姪のおねだりを聞いた』ならば、アルベルダ王に話が行くはずだ。あの二人、それなりに面識があるもの。

 その上でアルベルダ側が外交関係を考慮したならば……ウィル様直々に二つの家に通達があるはずだ。当然、政略結婚扱い。

 それならば、婚約破棄なんて醜聞は免れるだろうよ。『キヴェラ王からお話が来ました。国同士の関係改善を考慮し、これを受けることにします』ということになるから、ローザさんは被害者扱い。

 その後、キヴェラとアルベルダ王家が婚約『解消』に伴う事後処理を担当すればいいだけだ。国の都合での婚約解消なのだから。

 勿論、近衛騎士とその実家にはローザさんの家に対して不誠実な真似をしたお叱りがあるだろうが、それだけだろう。近衛騎士がキヴェラにドナドナされて終了です。きちんと補償してもらえるなら、イルフェナの商人達だって怒るまい。


「これらの仮説から推測できるものとして。まず、『キヴェラ王はこの話を知らない可能性がある』。あの方、こんな勝手なことに権力を使いませんよ。国同士の関係改善も望んでいますから、もしも自国の公爵家が勝手な真似をしたとしても、被害者に謝罪と補償はしてくれるでしょう」


 昔はともかく、今のキヴェラ王はこんな我儘を黙認するとは思えない。つーか、姪の我儘に付き合うタイプではない。愛妻家っぽいが、それは彼のお妃様達が非常に真っ当な方達ばかりだからだ。単純に権力者の妻を夢見るような馬鹿では、側室にすらなれまい。


 で? 『あの』キヴェラ王が、被害が最も少ない遣り方を思いつかないとでも?


「公爵令嬢の我儘を叶えるにしても、被害を最小限に留める方法があるじゃないですか。キヴェラ王ならば、間違いなくそれを選択します。少なくとも、今はキヴェラのイメージを悪くするような遣り方はしないはず」


 私の予想を聞くなり、クリスタ様は難しい顔をした。


「ご令嬢の実家より、お話があったことは事実ですの。アルベルダとしましても、キヴェラ王の妹姫が降嫁されている公爵家からのお話ですし、あのご令嬢がキヴェラ王の姪であることも存じておりました。何より、それらをご令嬢自身が口にされておりましたので」

「無視はできないと考えた?」

「はい。魔導師様はこの世界にいらっしゃいませんでしたが、やはり、キヴェラの傷跡は大きいのです。変わり始めたのは極最近ですから、反発した挙句に戦となることを危険視する者も少なくありません。グレン小父様は『キヴェラに抗議すべき』と主張されたのですが……」

「まあ、グレンは私の所業を知っているからねぇ」


 それに加えて、相手がキヴェラだろうとも争う気満々だったはず。というか、公爵令嬢とその実家の公爵家はグレンの地雷を盛大に踏んでいる。


 だって、アルベルダ王が公爵家の要求に屈したように見えるじゃん?


 実際は『外交事情を考慮した結果』であり、『キヴェラという国』に遠慮した形になる。……間違っても、『公爵家に遠慮したわけではない』のだ。この差は大きい。

 しかも、ウィル様には魔導師を味方に引き入れる最強の駒・グレンが付いている。つまり、『キヴェラと遣り合える』。

 キヴェラを恐れたわけでもなく、血を守るためだけの公爵家に屈したわけでも、我儘娘のおねだりを聞いたわけでもない。なのに、近衛騎士とその実家が『アルベルダ王家を黙らせた』ように認識しているならば……その『原因』は。


「公爵家のご令嬢、アルベルダをとことん嘗めているみたいですね。ローザさんのことも含めると、『婚約者を捨てて選ばれた私』という状況と、『アルベルダ王家にさえ、我儘を通させた』という優越感に浸っているようにしか思えませんが」

「……っ」

「つーか、どう考えてもわざとでしょう。穏便な方法ではなく、自分の望んだ状況になることを選ぶなんて……かなり性格の悪いご令嬢ですねぇ?」


 ローザさんは息を飲み、クリスタ様は目を据わらせた。その手はギリギリとドレスを掴み、盛大に皺を作っている。

 それでも、私の憶測に対する否定の言葉は上がらない。クリスタ様はご令嬢をご存知だからこそ、否定する要素が思いつかないのか。


「やりそうですわ……あの女なら! だって、私は確かに見ましたもの!」

「……。何を?」

「申し訳ないと言いながらも、あの女は密かに笑っていたのです! 私に見られたことに気づくと、『恋の成就が嬉しくて、つい』などと言っていましたが、あれはそのような表情ではありませんでした。大人しそうな見た目に騙されがちですが、アルベルダの王女である私を前に優越感に浸るような方ですのよ!」

「お、おう……男と女で態度が違うような子なんですか。クリスタ様は彼女を諫めていたようですから、優越感に浸っていたとしても不思議はありませんけど……」


 クリスタ様の剣幕に若干引きつつも、その怒りには納得だ。いくら王の姪であろうとも公爵令嬢、対するクリスタ様は一国の王女。普通に考えて、王女の方に軍配が上がる。それほど王家は特別なのだ。

 ……が、公爵令嬢はそれさえも優越感に浸る要素としたのだろう。自分の恋の邪魔をするクリスタ様を内心、疎んじていたのかもしれない。

 やがて、クリスタ様は固まっているローザさんと私の視線に気づいたらしく、軽く咳払いをしてカップを手に取った。ほんのり顔が赤くなっているので、熱くなってしまったことが恥ずかしいのかもしれない。


「思ったとしても、表に出すべきではありませんわね。ですから、私はそれをグレン小父様にお伝えしたのです」

「で、怒ったグレンが私と魔王様を頼ることを勧めたと」

「はい。エルシュオン殿下を巻き込んでしまうのは心苦しかったのですが、グレン小父様が『ミヅキに任せるなら、ストッパーは必須だ』と、強く主張されまして」

「……。いや、それ被害が拡大する危険性の方が高いんじゃ……?」

「私もそう思います。事実、エルシュオン殿下は自国の商人達の扱いに、酷くお怒りでしたもの。グレン小父様がそれに思い至らないなんて、考えられません」

「クリスタ様、そう思いつつもイルフェナに来たんですね?」

「……」

「……」

「わ……私も、その、ローザと国のことで、とても腹立たしかったのですわ……っ」


 真っ赤になってそれだけを言うと、クリスタ様はぷいっと横を向く。……その行動理由となった友人を前に照れているようだ。クリスタ様、可愛いな!?

 同時に、今ここに居ない旧友を想う。仕掛け人は己が目論み通りに事が進んで、笑いが止まらないに違いない。

 クリスタ様はばつが悪そうな表情でカップに視線を落とし、ローザさんに慰められている。どうやら、私と魔王様を利用した自覚があるらしく、自己嫌悪をしているようだ。素直な王女様である。

 ……。

 大丈夫ですよ、クリスタ様。憤っただけの貴女に罪はない。外道なのは、この展開に持ち込んだ赤猫です。『知的なグレン小父様』はある条件に限り、私と同類なのですよ。


 赤猫……お前、マジ切れしたな?

 私が容赦ないと、元の世界込みで知っているだろう……?

 

 私にとっての魔王様が、グレンにとってのウィル様だ。グレンはアルベルダ王が小娘(=キヴェラの公爵令嬢)如きに馬鹿にされたと受け取り、地獄に叩き落すことを決めたのだろう。

 一番いいのはグレン自身が手を下すことだが、グレンの立場的にそれは拙い。そこで、魔導師を使うことを思いついたというわけだ。


 そりゃ、私を止めないわな。最初から地獄送りが狙いかい。


「事情は判りました。それでは、最重要項目をお尋ねします」

「「最重要項目?」」


 ローザさんとクリスタ様がハモる。それに頷きつつ、質問を。


「元婚約者に恋愛感情あります? 不利な状況になった元婚約者が縋ってきた場合、貴女が『許してやって』とか甘いことを言い出すと、私は退かなければならないのですよ。私……いえ、イルフェナからすれば、貴女が報復の起点のようなものですから」


 物語には大変心優しい乙女が多数存在し、悪役を許したりするけど……今回、それをやられると困る。

 というか、現実世界にも博愛主義者だか、偽善者だか知らないが、一定数は『あらゆる悪を許す、心優しい良い子』が存在するのだ。報復する側にとって、迷惑極まりない。

 そういった『あらゆる悪を許す、心優しい良い子』は何もしないくせに、口だけは出すという最悪振りが常。あらゆる手段を用いて元凶を追い詰めても、『私は許すから! これ以上、酷いことしないで!』とか言い出すと、軽く殺意が湧く。


 そんな奴に言いたい……『もっと早く言え!』と!

 許すなら、悲劇のヒロインぶって同情買おうとするんじゃねーよ。


 今回、これをローザさんが言い出すと……イルフェナは彼女さえも敵と認識しなければならなくなる。一時の同情だか、愛情に惑わされず、最後まで敵対姿勢を貫いてほしいのだ。


「え、そのようなものはございませんわ。あの方は騎士になるべく努めておりましたので、ここ数年はろくに会う機会がなかったのです。そうですね……幼馴染が去った、という感じでしょうか。ご迷惑をおかけした皆様のこともありますし、あの方達の処遇について口を出す気はございません」

「よし! クリスタ様、ローザさんから言質を取りました。証人になってくださいね!?」

「……ふふっ! 判りましたわ、魔導師様。アルベルダの王女として、ローザの言葉の証人となりましょう」


『最重要項目』の存在に、クリスタ様は呆気に取られていたようだったが、小さく噴き出すと了承の言葉を紡いでくれた。ローザさんの優しさは長所かもしれないが、今回は相手に利用される可能性があると気づいたのだろう。


 よっしゃぁ! これで怖いものなし!


 それじゃ、そろそろ本格的な『お仕事』を始めましょうか。第一ラウンドは近衛騎士の実家に決定ねっ!

主人公達が巻き込まれた元凶はグレンでした。

主人公の弟分だけあって、利用できるものは何でも利用します。

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