第3節:提督の牙、「父と同じ場所へ」
本日は3本投稿します。まずは1本目。
「……何を、言っている?」
マリアの顔から血の気が引いた。
バルデスは肥満体を揺らしながら、嘲笑った。
「お前の父親も、そうやって正義を気取って私の邪魔をした。……『陛下に報告する』とな。だから、海の底へ沈めてやったのさ。嵐に巻き込まれた、不運な『事故』に見せかけてね」
「貴様ッ……!!」
マリアの全身が震えた。
父の死は事故ではないと疑ってはいた。
だが、こうして親の仇から直接、しかもあざ笑うように真実を突きつけられ、彼女の心は怒りと悲しみで張り裂けそうだった。
「許さん……! 万死に値するぞ、バルデスッ!」
マリアがサーベルを抜こうとする。
だが、バルデスがパチンと指を鳴らす方が早かった。
「報告は不要だ。お前も、父親と同じ場所(地獄)へ送ってやる!」
ギギギ……ッ!
部屋の四方の壁が開き、隠し扉の中から、重武装したバルデスの私兵部隊が数十人も雪崩れ込んできた。
全員が最新式のマスケット銃を構え、あるいは鋭いハルバード(鉾槍)を突き出している。
完全に包囲された絶体絶命の危機。
だが。
「……やれ、助、格」
マリアがサーベルを抜くより早く、光圀がニヤリと笑って、顎をしゃくった。
感想もお待ちしております! 「ここが良かった」「このキャラが好き」など、一言でもいただけると作者が小躍りして喜びます。




