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第2節:監察官の誇り、暴かれる真実

本日2本目です。

 インカの神殿を無理やり改築した「総督府」。


 その最上階にある豪華絢爛な部屋で、総督バルデスは極上のワインを傾けていた。


 肥え太った身体を豪奢な椅子に沈め、奪い取った黄金の装飾品を眺めてニタニタと笑っている。


「失礼する、バルデス提督!」


 バンッ! と重厚な扉が蹴り開けられた。


 堂々と足を踏み入れたのはマリア。

 その後ろには、護衛として鋭い眼光を放つ光圀、助さん、格さんが控えている。


「……何者だ? 衛兵はどうした」


 バルデスは不快げに眉をひそめた。


「衛兵なら、廊下で少しばかり『お昼寝』をしてもらっているぜ」


 光圀が肩をすくめて言う。先ほど、格さんが峰打ちで十人ほど壁に埋め込んできたばかりだ。


「貴様……『黒き聖母号』の娘か。私掠船の海賊風情が、総督府に何の用だ?」


「海賊として来たのではない。……スペイン国王陛下より密命を帯びた、特命監察官として参った!」


 マリアは懐から、分厚い羊皮紙の束を取り出し、バルデスの机に叩きつけた。


「これは、貴様が原住民から不当に搾取した黄金の裏帳簿、そして無意味な虐殺の記録だ! 貴様の行いは国王陛下への背信であり、騎士道に対する冒涜だ!」


 マリアの凛とした声が部屋に響く。


「この証拠を持ち帰り、ただちに陛下へ報告させてもらう! 覚悟することだな、バルデス!」


 決定的な証拠。

 普通なら青ざめて命乞いをする場面だ。


 だが、バルデスは全く悪びれる様子もなく、下劣な笑みを浮かべてワイングラスを置いた。


「報告? 誰がするんだい、お嬢ちゃん」


 バルデスの目が、爬虫類のように細められた。


「……ああ、その顔。怒った顔が、前の船長カピタン――お前の親父によく似ているな」

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