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『親ガチャ失敗・俺の親、泥棒ですが何か!』 怪盗紳士は『スチール』極めて成り上がる。  作者: 米糠


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第26話 俺すげー!


 ……腹、減ったな。


 そんな原始的な感覚で、俺は昼を自覚し目を覚ました。

 見慣れた白い天井がぼんやりと視界に入る。


 腹をさすりながら、ゆっくりと上体を起こすと、松本先生がカーテンの向こうから声をかけてきた。

 

「目を覚ましたの? 赤嶺君」


「はい。腹が空いて、目が覚めました」


 ……我ながら、正直すぎる。

 というか、ちょっと恥ずかしい。

 別に言わなくてもよかったじゃん、それ。


 松本先生は一瞬だけ目を丸くして、それから小さく笑った。


「もう給食の時間だから、教室に戻る?」


「……」


 一瞬、言葉に詰まった。

 この場合、なんて返せばいいのかな?

 これじゃ、まるで寝に来たみたい。

 実際そうだけど、勉強しに来てる感じも……少しは出さないと。


「勉強、教えてくれるんじゃないんですか?」

 ――甘えてるな、俺。


 松本先生は、俺の顔を見て少しだけ考えるように視線を落とし、それから穏やかに言った。


「食べたら、戻ってらっしゃい。そうしたら、教えてあげる」


「ありがとうございます。荷物、置いてっちゃっていいですか?」

 主に、教科書ね。


「いいわよ。そしたら、その教科書、私見てていいかしら? 教えるために、ちょっと予習したいの」


「大丈夫です。使ってください」

 落書きとかしてないはずだから大丈夫。

 ……てか、社会科と理科の教科書はまだ、見たことも開いたこともない未使用新品。


 それにしても、俺のために予習って、……なんだかありがたいな。

 この前まで、避けられてた気がするのだが?


 松本先生は、教科書をぱらぱらとめくり始める。


「今日は、社会科と理科と英語ね。テストの範囲を調べておくからね」


「ありがとうございます」


 なんで、ここまでしてくれるんだろう。

 教師だから?

 分からないけど――まあいいか。


 俺は、大きく会釈をして、保健室を後にした。もうすぐ午前の授業が終わる時間だ。


 階段を上がって三階の自分の教室に戻り、音を立てないように後ろの出入り口から入った。

 ……が、全員の視線は集まるわなあ。

 少し早く戻ってきてしまったわ。

 ……邪魔になってしまってすみません。


 ほどなく授業終了を知らせるチャイムが校舎に響いた。

 まあ、そういうタイミングで戻ってきたんだけどね。


 給食を食べて、昼休み。

 だが、俺に友達はいないので、食べ終わるとすぐ保健室に戻る。


 保健室の引き戸を開けると、消毒液の匂いと、静かな空気が迎えてくれた。

 松本先生は机に向かい、俺の教科書を開いている。

 昼御飯食べ終わったのかな……早いね。


 俺が入ってきたのに気づくと、松本先生はぱたんと教科書を閉じ、無言で一冊の教科書を俺に手渡す。

 社会科の教科書。

 見れば赤い付箋が二か所貼ってあった。


「付箋の間がテストの範囲だから、一度通して読んでみて。終わったら、去年のテストを渡すから、試しにやってみましょう」


 松本先生はそう言うと、また教科書を読みだした。理科の教科書に目を通しているらしい。


 俺は、渡された教科書を読みだした。

 速さのステータスが上がっているせいか?

 知力のステータスが上がっているせいか?

 読むスピードがやたら上昇していた。

 それに文字が、目に入った瞬間、そのまま頭に収まっていく感覚。


 自分でも驚いたわ!


 気合を入れたせいもあるが、俺ってこんなに読むの早かったっけ?

 ペラッ、ペラッとページをめくる。


「ちゃんと書いてあることを覚えながら読むのよ? テストするんだから?」

 先生の声が飛んでくる。


「はい」


 あまりの速さに、流し読みしていると思われたらしい。

 でも、読んでるし、ちゃんと覚えてるんだよね……これが。

 自分でも信じられん。

 俺、ピクチャーメモリだよ。

 頭メチャクチャ良くなってるよ。


 やっぱり、カッコ内の数字を加算した合計が今の俺のステータスで間違いない――と感じる。

 頭良いはずだわ!


「読み終えました。テストしてください」


「もー。じゃあ、これやってみて」


 松本先生は、絶対俺が手を抜いて、早く終わそうとしてると思ってるな。


 テスト用紙を受け取り、鉛筆を取って先生の机を借り、問題を解きだす。

 すらすらと答えを書き続け五分で解き終わった。


 ……簡単じゃん。

 だって、設問を読むたびに、さっき読んだページの情景が、そのまま頭に浮かぶんだもん。


「え! もう終わったの? だからちゃんと覚えないから……っ」

 言いかけた先生が、答案用紙を見て言葉を失う。


 空欄ばかりだと思ったみたいだが、全部埋まってるでしょう。


「うそ? え? え?」


 松本先生は、答案から視線を俺の顔に移し、目をぱちぱちと瞬かせる。


「全問正解じゃない? ……どういうこと?」


「さっき、読んで覚えたばかりだから、簡単でしたよ」

 ちょっと照れながら答える。


 松本先生はまだ納得していない表情を見せながら、理科の教科書を渡してくる。

 やはり付箋が2か所はられてあった。


「じゃあ、次は理科ね」


「はい。読みます」


 俺は、渡された教科書をペラペラとめくりだした。

 もちろんちゃんと読んで、理解してるよ。

 分かり辛いところでは、読み返して考えたりもした。

 三十分はかかったけど読み終えてテストを受ける。

 これも五分で全問正解。

 ……俺すげー!


 松本先生が、思わず声を上げた。

「天才じゃない!」


 やっと信じたか!

 間違いなく全問正解。

 ……いやこれ、俺も信じられないんだが。

 

 実はこの時の俺のステータス、知力は707、速さは345だったんだよね。成人の標準は10だよ。

 

 成人の標準がIQ100で、俺はその時IQ7070みたいな感じでしょ?

 天才にしても桁違い。

 マジ桁が違うから。300、400じゃないよ! 7000だよ!


 速さも、これ本気出したら100メートル1秒余裕で切れそうな数字だよね。

 俺、もうオリンピック金メダルじゃね?


 目立つようなことはしないけど。

 今度、マジ100メートル何秒だか計ってみたい。

 でも絶対他人には、知られるわけにはいかんよね。

 人外認定確実だわ。


 


 


 

 

 

 




 





 

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