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魔法世界の剣術士 中  作者: 相會応
雨上がって、鈍色の心は晴れ渡る
91/189

「きっといつか、心から分かり合い、共に歩む事だって出来るはずです」

             せいじ

「――久しぶりだね、天瀬あませくん」


 影塚広かげつかこう誠次せいじ特殊魔法治安維持組織シィスティムに入れるように本格的な特訓を開始した中学生時代の頃から、組織の若きエースとして、注目を集めていた憧れの人だった。非凡な才能を有し、それを善良の為に使う。この魔法世界において、まさしく、子供のころ夢見た理想のヒーロー像としても、誠次の心に強く刻みついた人物であった。

 元ヴィザリウス魔法学園の魔法生でもあり、八ノ夜はちのやはちょうどその頃から同校の理事長に就任していた。


「影塚……さん……っ」


 涙が出そうな程に黒い瞳を潤ませ、誠次はステージ上に立つ影塚の姿を見つめ上げる。

 青みがかっている髪は目の下まで伸びてはいるが、優しそうな笑みを浮かべている。

 昨年の秋に起きた特殊魔法治安維持組織シィスティム内乱以降、彼とは一向に連絡が取れないでいた。八ノ夜も彼の生死と行方を不明にしており、ここまでくればもはや、生存は絶望的と思われていた。

 そんな人がまだ生きて、こうして自分の前に姿を見せてくれたのだ。本城直正ほんじょうなおまさと、得体の知れない人々と共に。


「ご無事だったの、ですか……? それに、どうして直正さんと一緒に……?」


 直正の背後に控えるようにして立つ影塚の今の立場がよくわからずに、誠次は尋ねる。


「連絡もできなくてごめん。ずっと関西の方にいたんだ。僕はあの反乱の日に、志藤康大しどうこうだい局長を守って、レジスタンスの元に身を寄せたんだ」

「そのレジスタンスの支援者が、この私だよ」


 スーツのネクタイをそっと正し、直正が言う。


「レジスタンス?」

「ああ。私たちは、打倒なずな政権を目指す組織でもある」


 直正は未だ困惑する誠次を見下ろし、そんなことを告げる。


「未だ薺に対するこの国の国民の支持率は大きい。それらは薺と光安による反対派の徹底的な弾圧により、作られた幻想の王国の産物だ。私たちはこの現状を、なんとしても変えなければならない。そのために、私たちはいる」


 直正が語ったレジスタンスの存在意義に、誠次は複雑な表情をしていた。


「確かに、現状の薺政権が良いとは、言えませんが……」

「天瀬くん」


 悩む誠次に向け、直正の後ろに立つ影塚が、さらに声をかける。


「薺政権や彼女の独裁に反対した多くの人が、人知れずに粛清されてきた……。佐伯さえき隊長だって、そのうちの一人だ」

「確かに、佐伯さんの死は、あってはならないことです……」

「だからこそ、僕たちが変えなくてはいけない」


 薄暗闇の中で光って見える影塚の青い目は、一種の怒りを伴って、誠次をじっと見つめてくる。

 久しぶりに会った憧れの人物の鋭い眼光は、誠次の頬に一筋の汗を伝わせ、決断を迫ってくる。

 即ち――、


「天瀬くん。君は対魔術師戦において比類なき制圧力を持っている。その力は、私たちレジスタンスにとって必要不可欠とも言える。来たるべき、薺紗愛なずなさえ新崎和真しんざきかずまとの全面対決に備えてな。そして私たちと君、目指す理想は同じのはずだ」


 直正がそのようなことを言い、立ち尽くす誠次へ向け、そっと、右手を伸ばしてきてた。

 誠次は息を呑み、また口内の唾を飲み、直正を見上げる。


「君の力と、その正義の心を頼りにしたい。私たちと共に来てくれないか?」

「僕たちが力を合わせれば、特殊魔法治安維持組織シィスティムをも取り戻せる。なんとしても、元通りにするんだ」


 影塚までもが、そのようなことを言ってくる。


「具体的には、どうするつもりなのです……?」


 ぞくぞくとする身体と揺れ動く心のままで、誠次は直正と影塚の両者を見上げて、問う。周囲の人々の目が、こちらを見下ろしている。その度に胸の奥で沸き立つこの不気味な感情がなんなのか、理解するまでしばしの時間を要する事となる。


「反撃の狼煙は今夜上がる。私たちが、今日、この場で上げるのだ」


 オールバックの髪の下の表情を強張らせ、直正は誠次に向けて差し伸ばしていた右手を、ぎゅっと握る。その表情と声音には、自信が満ち溢れているようであった。

 直正の言葉が合図だったと言わんばかりに、第三体育館内に控えていたレジスタンスの構成員たちが一斉に動き出す。彼らの足音を当たり一面から感じる中でも、誠次は直正と影塚を見上げたまま、そこから視線が外せなくなっていた。

 突然、ステージ背後のスクリーンが白く染まったかと思えば、そこに映ったのは、誠次も知る三人目の男だった。


『お久しぶりです、天瀬くん? 何回目でしたっけ、この挨拶は』

「朝霞!? 生きていたのか……」


 朝霞刃生。誠次からすれば、因縁の男でもあった。

 最後に会ったのは、昨年の秋の日本科学技術革新連合の本部施設の中であった。以降、消息不明となっていたのだが、どうやら生きて帰ってこられていたようだ。


『しばらく見ないうちに、貴方も随分と変わったようで。そのニつの剣も興味深い。二刀流ですか?』


 そしてまた、なんの因果か影塚と朝霞が共にいることも、誠次を大いに驚かせていた。彼ら二人を束ねる本城直正のカリスマ性と言うべきものの高さも、さることながら。

 立場も経歴も性格も何もかもが違う三人の年上の男性たちの視線を浴び、誠次はまるで、自分がきり立った崖の端にまで追い詰められたような気分を味わう。


「朝霞。彼女はどうだ?」

『どうぞ』


 直正の声を聞き朝霞は軽く頭を下げて、身体を逸らす。

 朝霞の背後にあったベッドの上には、見覚えがある女性が眠っていた。


「あの人は……っ」


 スクリーン画像を見て、誠次は黒い瞳を見開く。


「彼女の名は雨宮愛里沙あまみやありさ。現在、ヴィザリウス魔法学園にいる特殊魔法治安維持組織シィスティム、及びヴィザリウス魔法学園の近辺で警戒している光安が身柄を追っている、特殊魔法治安維持組織シィスティムの脱走者だ」

「ま、待ってください。光安までも、今回の件に絡んでいるのですか?」


 誠次は直正にくと、直正はすぐに頷く。


「ああ。そして現在、彼女の身柄は我々の手にある。これは少なくとも、他ニつも組織よりも大きなアドバンテージとなっているだろう」

「なぜあの人は組織からの脱走をしたのです? なぜ、貴方方が彼女の身柄を!?」

「彼女は特殊魔法治安維持組織シィスティムにとっても、光安にとっても、組織の存在自体を揺るがしかねない重要な情報を所持している。連中は取り戻そうと必死なのさ」

「だから、特殊魔法治安維持組織シィスティムは弁論会開催直前のここを占拠してまで、その人の身柄を確保しようとしていたのか……」


 誠次は呟く。


「そう――彼女は、我々にとって反撃の狼煙の種火となる存在だ」

「……」


 無言で俯いている影塚の前で、直正は黒色の瞳に一筋の光を灯し、鋭い視線と言葉で、誠次に語り掛ける。

 もしかしたら、特殊魔法治安維持組織シィスティムがこれを聞いているかもしれない。それにも関わらず、直正はわざわざこのような目立つ行為をしている。誠次には、彼の考えがまだ理解できなかった。彼の、言う事も。


「反撃の狼煙って……雨宮さんを、どうするつもりなのですか?」


 誠次は慎重に尋ねる。

 ここでようやく、誠次は直正による、壮大な計画を知ることとなる。


「この二大魔法学園弁論会は、世間からの注目も高い行事イベントとなっている。君も知っての通り、日本国内はおろか、海外メディアからも日本独自の魔法学園の行事として、大勢のメディアや機関が取材や報道を行おうとしている。昼の部、夜の部に関係なくな」


 誠次も、年を跨ぐごとに多くなっている会場のテレビカメラやクルー、報道陣の数の多さには驚いていた。テロが滅び、魔法が安全なものとしてより一層認知され始めていることが、世間の関心を高めていると推測していたが。


「生中継をされる会場。雨宮くんにはその場で、特殊魔法治安維持組織シィスティムと光安の真実を語ってもらう。特殊魔法治安維持組織シィスティムから脱走してきたその証言を、国民に広く認知して貰うのだ」


 直正の言動には、迷いなど一切も含まれてはいない。むしろ、言葉のどれもこれもが、誠次の耳に心地よくすら入ってくる。そうした言葉の聞きやすさとは、国民に慕われるべき大臣としての技量の一つだろうか。


「そうすれば一般国民はおろか、今も特殊魔法治安維持組織シィスティムや光安にいる人にも多くの動揺を与えることができる。薺の絶対支配を崩す大きな一撃となることだろう――」


「――その代償が、彼女の死と言うわけか!」


 空気を一変させるような、そんな激しい罵声にも似た声が、後方から聞こえた。まさしくそれが大臣の演説であれば、それはまた、かの声に反対する者が現れたかのように。

 その新たな声は、直正でも、影塚でも、朝霞でもない。周りのレジスタンスでもなく、むしろ、同年代の男子のものであった。

 呆気にとられている直正と影塚の視線は、体育館の入り口の方へ向けられている。


「がは……っ」


 誠次が振り向くと、血にまみれた男が一人、今まさに腹部を抱えて倒れる瞬間があった。彼は誠次が体育館に来たときに、入り口を閉めて見張っていた男であった。

 そして、倒れた男の背後に立っていたのは、金髪の少年であった。


「一希……!?」


 またしても驚く誠次に。


『なる程。役者は揃ったと言うわけですか』


 スクリーンに映る朝霞は、面白気に、この場に集結した男たちを見ている。

 誠次にすれば一体どういうことかと、周囲のレジスタンス構成員たちが一斉に、一希に向けて攻撃魔法の魔法式を向けていた。


「な、何をしている一希!?」


 一希によって倒されたレジスタンスの構成員を見つめてから、誠次は一希を見る。

 目にかかった髪をはらうこともせず、一希は険しい表情を浮かべたまま、誠次のすぐ隣まで歩み寄っていた。


「誠次、騙されるな。あいつらは雨宮愛里沙を生贄とすることで、この国に混乱をもたらそうとしている!」

「生贄……?」

 

 一希が睨むようにして直正と、影塚を見上げている。

 隣に立ったその横顔を、誠次はじっと見つめていた。


「ああ。雨宮愛里沙は戦闘で深手の傷を負い、ステージの上に立って話など出来るような状況ではなかった。さすがは犯罪組織だ。非人道的な行いも平気でする気でいる」


 一希の言葉に衝撃を受け、確認の為に直正の方を見るが、


『フフ。お気をつけください天瀬くん。科連であなたを斬ったのは他でもない、隣に立つ男の子です』

「一希が俺を……()()()!?」


 誠次が驚いて一希を見るが、一希は表情を一切変えることはなかった。

 影塚もまた、咄嗟に攻撃魔法の魔法式を展開し、突如場に乱入してきた一希へと向ける。


「それだけじゃない。彼は……星野一希くんは、光安と共に行動している」

「そんな……何かの間違いでは!?」


 影塚が続けた言葉に、混乱する誠次が声を荒げるが、一希からの否定の言葉は、なかった。


「………誠次。彼らの言うとおり、僕は光安と共に行動していた。薺総理から命を受け、何人もの魔法犯罪者を斬ってきた」


 心の奥底から身体を冷やすほどの冷たい青い視線が、横目で誠次を睨んでいた。


「嘘だろ、一希……。そうだ、光安に、操られていたんだろう……?」


 誠次が震えかける手を、一希に向けて伸ばす。同い年の同期生の男子が、光安に与している。その事実が飲み込めずに、誠次は一希からの返答を求めた。


「……残念だが誠次。僕は僕の意思で、光安と行動を共にしていた」

 

 その言葉の終わりとともに、ステージ上に立っていた影塚が、攻撃魔法の魔法式を展開し、誠次と一希の間へと照準を向けていた。

 

「そこから離れるんだ天瀬くん。彼は危険だ」

「影塚、さん!? そんな、なにが、どうなって……っ」


 またたく間に知らされる真実と現状を飲み込めずに、誠次は咄嗟に動けないでいた。

 一方で、隣に立つ一希は微動だにせず、影塚と直正の方を睨み続けている。


「僕、及び光安からの要求はこうだ。お前たちが確保している雨宮愛里沙と、彼女の持っている情報を全て抹消せよ」

「……なるほど。光安からすれば、もはや雨宮愛里沙の身柄は必要ないと?」


 直正が冷静な面持ちで一希を見下ろす。


(みんな、様子がおかしい! こんなの間違っている!)


 なぜ、そんなに冷静でいられるのだ、と誠次は内心で叫びたい衝動を必死に堪えていた。間違いなく、自分の知らない場所で事は大きく進んでおり、自分はその激動の渦に片足を突っ込んでいる状態だ。進めば巻き込まれるが、抜け出すのは容易ではない。渦の中心にいる雨宮愛里沙と言う存在を、この場の誰もが手に取ろうとしている。


「最悪の場合は、殺害で構わない。光安は彼女が持つ情報の開示を何よりも恐れている。それさえされなければ対価として、あなた方の身の安全、及びこの学園の生徒たちの身の安全も、光安は保証しよう」

「ま、待て一希……! 弁論会中のこの学園にいる生徒全員が、人質だと……!?」

「情報の開示を恐れている、か。その言い方だと、まるで君も光安を嫌っているように思えてしまうが?」


 誠次の言葉を無視し、直正が一希の口調を盗って言う。


「解釈はどうでもいい。雨宮愛里沙の即時殺害と情報の破棄を認めれば、僕たち光安は手を引く。そうと約束する」

「とても信じられないな。ただでさえ、光安は暗躍を続けてきた組織だ」

「だが、貴方達はもはや虫の息。各地に潜伏しているレジスタンスのアジトも光安によって潰され、残った人員もここにいるのを含めて僅かでしょう。そんな中で舞い込んできた雨宮愛里沙と彼女が持つと言われているその情報は、追い詰められていた貴方達にとってまさに逆転の鍵。よって、あなた達が行おうとしていることも、光安は察知している」


 つまりはと、一希は閉じていた青い目をそっと開き、長く伸びた金髪の奥から覗く確信に満ちた表情と声で、直正に告げる。


「弁論会夜の部で、雨宮愛里沙をステージに立たせ、特殊魔法治安維持組織シィスティムと光安の癒着関係を明かすこと。多くの報道カメラや機関に映るのは、命がけで不正を暴こうとする傷だらけの女性の姿。当然、多くの国民はその姿に心をうたれ、反薺へと世論を動かすことになる」

「そこまでわかっていて……それでも光安の味方をするのか、一希!?」


 ようやく声を発することが出来た誠次が問うと、一希はやや、鬱陶しそうにこちらを見た。


「ではあいつらの方はどうなんだ、誠次? あいつらは、雨宮愛里沙が間違いなく死ぬと分かっていても尚、彼女を壇上に立たせようとしている。それだけじゃない。弁論会に参加する関係のない魔法生たちもだ。雨宮愛里沙や今宵のパーティーに参加する魔法生たちを悲劇の生贄にする形で、皆の心を動かせようとしているんだよ」

「そのやり方も間違っている!」


 一希の言葉を受けた誠次が腕を振って、直正のやり方にも意義を唱える。


「本城直正さん! 仮に雨宮愛里沙さんがこのままこの魔法学園で真実を世間に公表すれば、間違いなく光安は止めにかかる! そして、この魔法学園にいる特殊魔法治安維持組織シィスティムもだ! そうなればこのヴィザリウス魔法学園は争いの舞台となり、多くの関係ない魔法生たちが巻き込まれてしまうはずです!」


 雨宮愛里沙を壇上に上がらせ、多くの報道機関を前に真実を語らせる。それをなんとしても食い止めようとする光安と特殊魔法治安維持組織シィスティムがこの学園にいる今で、間違いなく争いは起きる。

 無論、そんなことは直正自身だって分かっているはずのことである。


「他に方法などないんだ、天瀬くん」 


 誠次の訴えに、答えたのは影塚であった。再会したばかりの優しい顔立ちはすっかり失せ、今は、ただただ冷たい表情と言葉で、誠次を見下している。


「このまま薺総理と新崎による支配が続けば、苦しむ人は確実に生まれる。佐伯隊長の死だって、無駄になる。僕たちは充分に待った。このまたとないチャンスに、今こそ、動く時なんだ。カードはすでに、手元に揃っている」


 まるでかつての仲間や、後輩である魔法生たちでさえ、敵を倒す道具カードとみなしている物言いに、誠次は首を横に振る。


「影塚さん……!? 雨宮さんは貴女の仲間だったはずだ! それだけじゃない。このことを知らない多くの魔法生たちだって巻き込まれてしまう。そんな人が死んでしまうと分かっていても尚、貴男は彼らを犠牲にする方法を選ぶと言うのですか!?」


 そう訴えた誠次への影塚からの返答は、誠次からすれば、信じがたいものであった。

 押し黙った後、軽く息を吸い、暗い表情をした影塚は、口を薄く開ける。


「すまないが……彼女の死で多くの人が助かると言うのならば、僕は彼女や多少の魔法生を犠牲にしてでも、戦う道を選ぶ」

「そんな……嘘だ影塚さん……っ! 貴男はそんな人ではなかったはずだっ!」


 全身にかいた汗を髪の先から跳ねらせながらも、誠次は必死に影塚を諭そうとする。

 しかし、壇上からこちらを見下ろす人々の耳には、誠次の言葉などまるで受け付けていないようだ。


「悪いね、天瀬くん……。でも僕は、もうこれ以上、新崎と日向を野放しにはしておけない。多少の犠牲を払ってでも、奴らは確実に仕留めなければならない」

「多少の犠牲だなんて……まだ別の方法があるはずです! 落ち着いて考えてください! なにも急ぎ過ぎる方法など――!」

「待ち続けた結果、どうなったと言うのだね? 状況はますます悪くなり、多くの人が希望を失ってきた。冷静に考えるべきは君の方だ天瀬くん。もはや私たちに、待ち続ける時間など残されてはいないことに気づくんだ」


 今度は、直正が厳しい声音で誠次を揺さぶりかける。

 全身にほとばしる熱い熱が、誠次の頭の中を芯から真っ白にしかける。それは、理想を共有し、信じていた相手に裏切られた悲しみと絶望、そして、怒りと激しい反感から来るとても抑えられない感情であった。


本城千尋ほんじょうちひろさんだって、この魔法学園にいる……! 彼女が巻き込まれても良いのですか!?」

「ああ……だから私は、君ならばと信じているのだよ。君ならば今宵、確実にこの魔法学園で起きる戦いで、私の娘や多くの魔法生を守ってくれ、そのためにその刃を振るってくれると、信じているのだよ。そうなのだろう? 魔法世界の剣術士は、人を守る、と」

「……っ! 俺、は……っ」


 直正のその言葉に愕然とする誠次の隣で、一希はふっと微笑んでいた。


「そうだよね。君はいつだって、そう言う考えだった。最後まで人を信じ、誰かを守るために刃を振るった――その結果が、これだよ。君の正義は、大人に利用されている」


 そうして一希は、そっと持ち上げた右手で、眷属魔法の魔法式を組み立てる。


「っ。離れろ、天瀬くん!」


 そんな姿を見た影塚が、一希に向けて攻撃魔法を放とうとするが、そんな一希の前に立ったのが、他でもない誠次であった。


「だ、駄目だ影塚さん! 話し合いで解決する方法があるはずです! 一体みんな、どうしてしまったんですか!?」


 ――まだ、誠次は諦めてはいなかった。全身を伝う汗でさえ震え、振動を起こすほどにがくがくと鳴るか弱い両足。それでも意地でそれらを踏ん張らせ、誠次は必死に叫ぶ。


「この場にいるみんなが協力すれば、もっと別の良い方法で、現状を打開する事だって出来るはずなんです――!」


 叫ぶ誠次の右耳でしかし、きゅんと、所謂風切り音が響く。

 視界の右端から突き出た重い黒色の光と、その耳障りな甲高い音にぎょっとすると、誠次の後ろから突き出た刃が、誠次の首筋に、そっと撫でるように添えられる。


「誠次……君の理想は、もう誰の耳にも届く事は無い」


 そして、背筋をぞくりと震わせる、至近距離で左耳への一希の声。

 彼が出す吐息が誠次の左耳の鼓膜を震わせるほど、一希は誠次の背にぴったりと近づいていた。


「一希……。その、剣は……?」

「僕のレーヴァテインさ。魔法犯罪者と゛捕食者(イーター)゛を斬る為に、使っているんだ」

「まさか、俺を斬ったのは、本当だったのか……?」

「ああ、本当さ」

「一体、なぜ……。どう、して……」


 ぴくりとも動けないでいる誠次の左肩に顔を添え、一希は微笑んで答える。


()()()()()()()。君が家族を殺した゛捕食者(イーター)゛を憎んでその剣を振るうのと同じ、僕も家族を殺した魔法犯罪者を憎んでこの剣を振るっている」

「ち、違う……。俺がこの剣を振るうのは、仲間を守るためだ……!」

「建前はもういいよ。いくら綺麗事を並べようと、その根底にあるのはやはり、家族を殺した者への復讐心のはずだ」


 誠次の汗ばんだ茶色の髪をそっと触りながら、一希は言う。


「もういいだろう、誠次? これでよく分かったはずだ。最後まで信じられるのはやはり、己のみ。結局みんな、だれもが自分の理想だけを求めて戦っている。彼らだって結局は、ただ君の力だけを求めているだけだ。君は利用されていたんだ」


 一希の言葉を受け、誠次は黒く揺れる瞳を、壇上から油断なくこちらを見下ろしている大人たちへと向ける。


「そこで誠次……。今度は僕と力を合わせてみないか? 僕と君の利害は一致しているはずだ。僕たちが力を合わせれば、この国の平和は近づく」

「今度は光安と、手を組めと言うのか……!?」

「いいや違う。魔剣を持つ僕と君だ。あの人も指摘した通り、僕は光安も薺総理も信じてなんかいない。今は理由があり、仕方なく協力しているが、それもじきに必要なくなる。僕と力を合わせて、この国を作り直すんだ」

「本気なのか……?」

「冗談に聞こえるかい? 今もこの国を支配しているのは彼らと同じような醜い連中だ。例え国を治める人が変わったとしても、悲劇は繰り返される。ましてや、傷ついた女性を無理やり演説の場に立たせようとしている野蛮なレジスタンスが国を乗っ取ってもね。僕と君の圧倒的な力と、()()()()()を持つ心があれば、この国も、やがて世界をも変えられるはずだ。僕たちの思い通りの国を作ろう。そうすれば、もう誰も悲しまないで済む。誰かの命令も指図も、受けないんだ」

「思い通りの、国……?」

「ああ。君の守りたいものも自由に、余すこともなくすべて守れる。それはまさしく――僕たちの永久の楽土アヴァロンと言うべきものさ」


 一希の言葉が誠次の耳を優しく撫で、全身へと染み渡っていく。

 警戒心をむき出しにしていた黒い瞳が、やがて力をなくしていき、全身の力すらも、抜けていく。


「――耳を貸しては駄目だ、天瀬くんっ!」


 遠くの方から影塚の声が頭に直接響くようにして聞こえ、誠次はようやく、一希による催眠状態から開放される。しかし、全身に漂う倦怠感は抜けきらずに、誠次はその場に両膝をついて倒れてしまった。


「《ライトニング》!」


 一希が誠次の傍から離れた事により、影塚は雷属性の攻撃魔法を発動する。

 その他にも、体育館の二階部に潜んでいたレジスタンス構成員たちが、一斉に攻撃魔法を発動。バックステップを行なった一希を、もれなく狙っていた。

 一方で一希は、右手に握った身の丈以上はある太刀の漆黒の刃に、左手をそっと添え、軽く息を吸う。


「グリートン!」


 左手で展開した魔法式に太刀の先端を突き入れ、黄色い光を一瞬にして纏う。

 一希の眼前にまで迫っていた雷撃の攻撃魔法が、一希のレーヴァテインから発生した光により、分解されて消滅していく。


千尋ちひろ……?」


 背後から風と共に到来した黄色い光の膜を見て、誠次は呆然とした思いで、呟く。まさか、自分だけだと思っていた力が、一希も有していたことに、ショックが大きかった。


「……」


 誠次の声を聞いた直正の表情がやや曇ったが、その表情は影塚が伸ばした腕によって、遮られる。

 一希への魔法攻撃は無効となり、レジスタンス構成員たちは手も足も出せずに、体育館の中央にて立ち尽くす一希の動向を、固唾を呑んで見守っていた。

 一希は油断なく、黄色のレーヴァテインを構えたまま、高らかな声で告げる。


「レジスタンス。猶予は午後六時。弁論会夜部の開催時間ちょうどまでだ。それまでに雨宮愛里沙の身柄をこちらに明け渡すか、殺害をした証拠、及び彼女が所持している全情報を光安に明け渡せ。それがすべて確認できなかった場合、僕たち光安はここで開催されている二大魔法学園弁論会中に、無差別攻撃を開始する。これは、僕たちの正義の為の戦いだ」


 一希は通告を残し、最後に一瞬だけ、膝立ちをする誠次の背中を見つめてから、体育館を後にする


「追いますか!?」

「無駄だ。追えば死ぬぞ」


 レジスタンスの構成員たちに、直正はそう大きな声を返す。

 そうして体育館に残ったのは、呆然としたまま動かなくなってしまった誠次と、短すぎる猶予を告げられたレジスタンスたちであった。


「……天瀬くん」


 直正を庇っていた影塚が、誠次にそっと声をかける。


「――すべきだ……」


 俯いていた誠次は、ぼそりと、力のない声を出す。


「弁論会を中止にすべきです! このまま夜の部を行うのは危険すぎます! 魔法生たちが……みんなが巻き込まれてしまう!」


 光安による無差別攻撃が行われたあかつきには、多くの混乱が起きる事に違いはない。

 誠次はそう直正に訴える。

 しかし、こちらを見下ろす直正の表情に、変化はなかった。


「……言ったはずだ天瀬くん。多くの人が、この薺による不当な支配によって、命を落としてきた……。魔法世界になってから訪れたこの人による暗黒の時代は、一刻も早く終わらせなければならない。そのためには今宵の多少の犠牲も……致し方あるまい」

「……っ!」


 呆然とした面持ちのまま、誠次が顔を上げて直正を見る。

 直正は深呼吸をするように深く息を吸って、目を瞑っていた。そして、その双眸そうぼうを開けたときにはもう、一人の娘の父親としての優しい面影はなく、この国の行き先を思う厳格な一人の政治家としての意地を孕んだ形相を見せていた。


「雨宮愛里沙による演説は強行させる。光安が阻止を狙うのであれば、我々は全力を持ってそれを阻止するために戦おう。そのような光景は、ここに集結した報道機関によって全国に知らされ、光安の実態を知らしめられるチャンスなのだ」

「嘘だ直正さん……。それではこの弁論会が悲劇となる! 関係ない魔法生までもが巻き込まれてしまう! 雨宮愛里沙さんだって、殺されてしまう!」

「かつて祖国フランスの為に戦ったジャンヌダルクと言う女性は、火刑に処され、死後により聖人として崇められた。彼女あまみやの死もまた、そのように後世に語り継がれる事となるだろう。この国を変えようとした、救世の乙女としてな」

「それは彼女にとって悲劇に他ならない! そんな悲劇の歴史を繰り返すつもりか!」


 腕を振り払って反論する誠次に、


「悲劇ではない! この弁論会における戦いで命を落とすであろう人々の魂を含め、革命と救世への気高き道標となる! 現状のままで良いと思い、幻想の平和に浸っている国民の目を覚まさせるには、人心をうつ気高き犠牲と、人が命の火を散らす崇高な戦いが必要だ!」


 豹変した直正の考えを否定し、誠次は汗ばんだ髪と顔を必死に左右に振るいながら、弛緩しかんしきった身体を無理やりに立たせる。


「戦いが崇高だと……!? 魔法学園ここを戦場にするつもりか……っ!」


 背中に装備していたレヴァテイン・ウルを引き抜き、誠次は吠えながらそれを直正に向けた。


「わざわざこのような目立つところで、彼女の事を伝えたのも、特殊魔法治安維持組織シィスティムと光安に争いを起こさせるためだったのか!」

「その通りだ天瀬くん。彼女がただ演説を行うだけでは完全ではない。悲劇が起こるべき戦いの中でこそ、それでもこの国を変えようとする強い信念に、大衆は目を覚ますことだろう! 光安も特殊魔法治安維持組織シィスティムも、全力で雨宮愛里沙の演説を阻止しようと戦うことだろう。その瞬間こそが、大衆が知るべき真実の一幕だ!」


 直正は腕を伸ばしてそんな宣言を行うと、今一度誠次へ向け、手のひらを差し出す。


「そして、魔法世界の剣術士。唯一魔法が使えないと言う残酷な運命に抗い、それでも自らが信じる正義のために戦い続ける君の姿もまた、多くの人々の心をうつ。最後にもう一度訊こう、天瀬誠次くん――剣術士。私たちと共に、戦う気はないか?」


 誠次は溜まりに溜まった熱い息を、大きく開いた口から吐き出す。


「断る……! 貴方方のやり方は間違っている! 争いの果てで生まれる悲劇ではなにも変わりはしない! これでは昨年のテロと同じだ!」

「ふ。剣で人を斬り、悲劇を生む君が言う台詞かね? 守る為とは言っても、その正義の栄光と賞賛の代償として生まれるのは、斬られた側の敵の流血という歴史だ。私たちも君も、特殊魔法治安維持組織シィスティムも光安も……その点では、皆同じだ」

「違う……違う、違うっ! 戦う事で正義を示すと言うのならば俺は……戦いでそれを否定してみせる!」


 目の前が真っ白になりかけ、また全身から熱を放出した誠次は、レヴァテイン・ウルを構えてステージにまで一気に突撃していた。

 

「奴を止めろ!」「俺たちはずっと耐えてきたんだ!」「死んでいった仲間の為にもっ!」


 二階部からは、今度は誠次目掛けて、次々と攻撃魔法が降り注ぐ。

 それらをかわしながら、誠次は爆発の中を掻い潜り、ステージの上へと飛ぶ。


「うおおおおーっ!」


 両手で握ったレヴァテイン・ウルを、直正の頭上から振り下ろそうと、手前で飛び掛かったのが最後。

 棒立ちをする直正が、誠次の視界から一気に消えていた。何が起こったのか、誠次の身体は直正に到達する直前で、宙に浮かび上がっていた。

 

 ――許してくれ、天瀬くん――。

 

 真下を見れば、緑色の魔法式が輝いており、それを発動したのは直正の傍に控えている影塚であることも気がつく。

 風属性の魔法を真下から浴びた誠次は、レヴァテインごと全身を宙に吹き飛ばされていた。


「ぐあっ!?」

「《グレイプニル》」


 次いで影塚は、宙に浮かんだ誠次の身体に、床に展開した魔法式から無数の魔法の紐を出現させ、誠次の身体を縛り上げていく。

 身体の前方に来た魔法の紐は何本か斬り裂いた誠次であったが、足や首に回された魔法の紐には対処できずに、縛られ、今度は床に向け、全身を強く引き寄せられる。

 そのままステージの上にうつ伏せで這いつくばらせらた誠次は、影塚が冷酷な表情でこちらを見下ろしている様を、首に魔法の紐を締め付けられた状態で見上げることとなる。


「かはっ! か、影、塚……さんっ!?」

 

 魔法の紐が視界を塞ぐ中、その間から誠次は、影塚を睨みつける。


「僕もこれ以上、大切なものを失いたくないんだ。そのためにはもう……多少の犠牲はやむを得ない段階まで来てしまっている……」

「貴方方は悲劇を生み出そうとするために戦おうとしてしまっている! そうではなく俺たちは……悲劇を生み出さない為の戦いをするべきだ! その過程で生まれてしまう相手の憎しみは……戦った代償として血を流した俺たちが誠心誠意に受け止めてこそ、それこそ真の正義の元、正当な戦いとなるはずだ! 争いで世界を変えると言うのならば、崇高な戦いは大義名分の元により生まれるべきだ! まことに紡がれるべきは悲劇の歴史ではなく、人々が手を取り合った栄光と繁栄の歴史だ!」

「水掛け論の言い訳だな。そうだ、もう佐伯隊長の様な人を作らない為にも、これは必要なことなんだ」


 ぎちぎちと、首にまで誠次を縛る影塚の魔法の紐は、まるで身体に刻印を刻むように、巻き付けられていく。

 呼吸のハンデを背負い、それでも誠次は、必死に抗おうとする。


「争いでこの事態が変えられるはずがない! 例え争いが手段となってしまったとしても、それが結果となるべきではない! 時に血を流し、戦う事が必要だったとしても、それが果たして正しいことであってはいけない!」

「……争いと流血を促す魔剣を持つ君が言えることではないさ……」


 影塚は哀し気に微笑み、誠次を睨む。


「だとしても、罪のない人々が傷つくのは間違っている! ましてやこれはまだ、守ることが出来る状況だ! 魔法生たちを、関係ないみんなを傷つけるなど……っ! そんな事態は……そんな悲劇は、俺が防ぐ! 俺がみんなを守るっ!」


 黒い瞳を揺らす誠次が叫ぶが、返答とばかりに返ってきたのは、首を始めとした体中を縛る紐の圧迫感による苦痛であった。


「守り続けてどうする!? 守り、耐え続けたその果てにあったのは……死だった! 最終的に仲間を守るために戦った佐伯さんは、仲間だった者に殺された! これは……あの人への弔いの為の戦いでもあるんだ!」

「こんなことをしても弔いにはならない! 俺たちが戦ってしまえば、それこそ奴らの思うつぼだ!」

「ああそうだ。この戦いは僕の復讐でもある。僕はずっと……影に生きてきた。日を浴びる人々に踏み付けられた者の怒りは、黒く染まり、何処へでもずっと後ろをついて回った。そうだ、僕たちは……いつか自分を光から隠した存在を――喰い尽くそうとしているんだよ。だからさ――」


 半眼となってこちらを睨む影塚に、かつての優しさも、かつてこちらの身を心配してくれた厳しさも、残されてはいなかった。尊敬していた隊長を殺され、その復讐に支配された男が、そこにはいた。


「僕の復讐せいぎのたたかいの邪魔をしないでくれ……天瀬誠次」


 その凍てつくようにするどい視線を受けた全身が、ぞくりと、あわ立つ。


「そん、な……っ」


 誠次を縛る縄は、さらに強さを増していく。誠次は透明な唾を吐き、意識を失いかけていく。


「……すまないな、天瀬くん。だが今まで私を信じてくれ、この魔法世界の為に戦士として戦ってくれた君へのせめてもの温情だ、命までは取る気はない。ただ……分かってもらえないのであれば、君を野放しにしておくのは危険すぎるのだよ。君をここへ呼んだのは、君に枷をつける為でもあった。もしかすれば共に戦う道を選んでくれるかとも思ったが、残念だよ」

「魔法生をやらせはしない……俺が、守る……――っ!」


 そう呻いた誠次が体育館で最後に見たのは、どこまでも冷酷に、こちらを見下ろしてくる直正の姿だった。

~解決策を伝授しよう!~


「みんなが仲直りするには、どうすればいいのだろうか……」

せいじ

           「どうしたのかね、天瀬誠次クン?」

                    ダニエル

「ダニエル先生」

せいじ

「実は今、人と喧嘩をしていて……」

せいじ

「仲直りするにはどうすればいいのでしょうか……」

せいじ

           「仲直り、か」

                    ダニエル

           「忘れてしまったのかね、天瀬誠次クン?」

                    ダニエル

「え……?」

せいじ

           「握手だッ!」

                    ダニエル

           「君はこれで、生徒会長殿とも仲直りしたであろうッ!」

                    ダニエル

「……ハっ!」

せいじ

「そうだ、その手があった!」

せいじ

「まさしく握手だけに!」

せいじ

「ありがとうございました、ダニエル先生!」

せいじ

「俺、行ってきます!」

せいじ

           「フム。行ってくるがイイッ!」

                     ダニエル


「ただ、いま……っ」

せいじ

           「もう、帰って来たのかね……?」

                     ダニエル

           「なにッ!?」

                     ダニエル

           「物凄くボロボロではないかッ!?」

                     ダニエル

「ぼこぼこに、されました……」

せいじ

「仲直り、出来なかった……」

せいじ

「無念……」

せいじ

           「大丈夫かね天瀬誠次クンッ!」

                     ダニエル

           「吾輩が今治療してやろうッ!」

                     ダニエル

           「ネバ―ギブアップッ!」

                     ダニエル

「ねば……ぎ、ばたんきゅー……」

せいじ

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