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今日も無難に生きる  作者: 山芋
イタリア短期旅行編
16/28

それでも足掻き続ける


「それで彼女はいつ頃目覚めそうですか?」


「出血死寸前だったので、かなり時間がかかるかと。血までは彼女の体力的に難しいので」


 転移して生存者の所へ移動している途中で彼女を見つけた。怪我の具合からほんの数分前に気を失っていそうだ。一命は取り留めたが、ここに彼女を置いておく訳にはいかないので、来て早々に引き返す事になった。


 緊急事態なので、倫理的に断れない一般ハートな私は、仕方なくもう一度『転移』をする事になった。やる気満々な坂目さん的には不完全燃焼かもしれないが、復讐はまたの機会に持ち越しをお願いする。


 それにもう()()()()()()()()()から、行く理由もないだろう。


「それにしても基地を襲撃が確認しただけでも二箇所あって、更に壊滅したなんて一大ニュースですね」


「……そうですね。日本の第一級狩人に招集が掛かるかもしれません」


「そこまで群馬攻略する必要あるんですか?たしかに土地が増えれば良いことありますが、資金を考えたら放置が一番いいですよ?」


「あぁ、そう言えば田中さんは第四級でしたね」


「はい。なのに前線に送り込まれましたが」


「すみません。群馬に国が力を入れているのにはちゃんとした理由があるんです。()()()の」


 「その前に安全圏まで行きましょう」と、群馬から完全に出る為に歩き出した。


「防衛上ですか?」


「はい。本来なら魔物は『大量発生』や『魔王化』などの特殊な条件でないと、人間の領域に来ないことは狩人組合から発表されてますよね?」


「そうですね」


「狩人の仕事は定期的に間引いて人間の領域を拡大する事です」


「そう言われてますね。日本だと殆ど人間の領域なんで実感ないですが」


「彼らはその()()()()()に当て嵌まるんです」


「あぁ、確かに彼ら人間と近い知性を持ってますね。それなら狩人と同じようなことしても納得………かなりヤバくないですか?」


 頭の中に群馬付近の日本領土が獣人により、蹂躙される光景が横切った。


「実際には彼らは繁殖能力や自然発生が低くて、群馬での遭遇率を考慮して、多くても千人程度の集団しか居ないとわかってます。すぐに侵略しても彼らからしたら守るのも大変です」


「すぐに侵略は無いんですか」


「少なくとも一週間はそうでしょう」


「そんな危機なら日本でも唯一『九つの星』に選ばれてるあの人も参加するんですかね?」


()()ならするでしょうね」


 師匠だったんだ……、規格外な実力もそれが要因か。


「安心ですね〜」


「私は強制参加させられますが」


「……………」


 いやぁ〜、期待されるって大変だね!


「服部大佐と他の狩人達の復讐は必ず成し遂げます」


「あまり熱が入りすぎないようにね」


「…………ありがとございます」


 冷静さを失ってるかと思ったら全然冷静だった。


「もうかれこれ数十分歩いてるからそろそろ」


「危ない!」


 既視感を強く感じる攻撃が私達を襲った。()()()()()()だったけど………。


「どうしようかなぁ」


「諦めるのも手だぞ?」


「それをできたらここには元々居ないんだよね〜」


 不安な事に負傷者を庇う為に盾になった坂目さんは、脳を掠る形で損傷している。微かに治療されていて生きてはいるが………、重要器官の治療は擦り傷でも三十分、彼女の容態的に二時間は最低でも掛かる。


「考えは纏まったか?」


「最悪な状況とは分かりましたね」


 前回も襲ってきた狼の獣人が後方に居た。こちらを完全に見下しているのか、構えることも無く悠々としている。


「足留めの意味はないのでは?」


「そこの気絶してる人間だ」


 視線の先には真坂さんが転がっていた。顔が泥で汚れてる………。


「それで?」


「置いて行け」


「えぇ」


「足留めは基地に行かせない事だ。その劣種が生きていると長に失敗したと思われてしまう」


 面倒くさい状況になっちまった。


 多分、彼女を引き渡せば二人は生きて出れる。わざわざ、ちょっとしたミスを誤魔化すわけでも無く解決に来る几帳面な奴だ。約束すれば破る可能性の方が低いだろ。


 ただ、生還した後がとんでもなく面倒。一緒にいるのが一般人なら無視して奴に引き渡すが、居るのが有名人なんだよなぁ………。世間は根拠とかが明確で無い時は好みで判断する。つまり、凡人とイケメンだとイケメンの主張が正しいと判断される。信用的にも彼女の方が上だ。


「ーーーまぁ、私には不可能ですね」


「お前達二人は生きて帰すと加えても?」


「その後に結局死んじゃうので」


「面倒な種族だな」


 敵に同情されちゃった。


「そうか。では◯ね」


「そんな物騒ですよ〜」


 目測では今は確認できないが、何と無く「ここだ!!」と相手の弾を止めてみた。


 ………ゲーセンのお菓子崩すマシーンみたいな感覚。


「◯ぬまでが伸びるだけだぞ?」


「いやぁ、見逃していただいたら助かるんですが」


「無理だな」


 前回逃げ出す要因となった弾幕を、瞬きをニ回する間に放たれた。あれ、こんなに早く出せたのか。


「ほら、彼女がここに近づかなければバレませんよ!」


「……………」


「良い提案で、うぉお!?」


 無言で更に追加されたが、雨がスローモーションに見えるアニメの覚醒シーンを真似て、『スキル』で雨を止めて修行した私には効かない。


 …………あの時は親に温かい目で見られた。


 でも、近所の人が「魔物が雨を止めてる!」とか通報してヒヤヒヤしたのは良い思い出です。親の「まさかね……」の視線は怖かった。どうでもいい理由で警察にお世話になる所だったぜ。


 しばらく耐え忍んでたら弾幕が止み、敵が興味深げな表情でこちらをみていた。


「お前、名前は何て言う?」


「田中です」


「………そうか、これ以上はイタチごっことやらになりそうだ」


 逃げ回るゴキブリを見る目で言われたが、生きる為ならしぶとく生きるが人間さぁ〜。物語なら、これは見逃される展開ーーー



「だから()()()()()()


「へぇあ?!」


 全身に鎧を纏った第二形態の敵が襲いかかってきた。




 








 


 命懸けで足掻くとは言ってません………(´ω`)



『九つの星』:世界において最も強い証。常任理事国の同意の下与えられる人類の希望。太陽系の大きさ順に序列が決められており、『太陽』『木星』は大国の首脳と同等の権利を有する。第一級狩人とは一線を画す実力者。



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