浴衣に慣れてないとこうなる
訓練が終わってヘトヘトになったので、トーマス達の宿屋でご飯を食べ、リズの着替を取りに帰る。
「すぐに出て来るからさ、シャワー浴びていいか?」
「いいよ」
リズは新しく服を汗臭くしたくないらしい。
本当にすぐに出て来たリズはちゃんと女の子の服が似合っていた。
「じゃ、送って行くよ」
と、ゲートを出してゴーレンへ皆を送り届け、次の休みに迎えに来る約束した。
「お前、そんな格好してると女に見えるもんだな」
「うるせえっ。始めっから女だっ」
「いや、それなら言葉使いとかなんとかしろよ」
「もう染み付いてるのが変わるわけねぇだろっ」
と、その場で跳ねて怒ったリズの胸元にテトラは気付いて真っ赤になった。
「なっ、なんだよっ?」
「い、いや。何でもねぇ。それより家まで送って行ってやる」
「はぁ?自分で帰れるっての」
「うるせぇ」
とテトラは無理矢理リズに付いて行き家まで送り届けた。
(なんだよアイツ?人の家まで付いて来やがって)
テトラはリズが上の下着を付けて無いことを分かってしまったのだ。そしてちゃんと女の子として見えるリズに変な奴が絡まないように心配して送ってくれた事はリズにはわからなかった。
翌日以降も叶多達のトレーニングは続き、次の休みには丸一日やっても動けなくなるとこはなくなってきた。
皆でハポネの宿に行く前日に丸1日使って仕事を片付けていき、人力車の試作品をいつもの店のライバル店に営業を掛けた。
「ぜひ仕入ましょう。30台お願いします」
「そんなにたくさん買うの?」
「はい。これが全部納品されるのには3ヶ月はかかるのですよね?」
「そうだね。毎月10台ぐらいしか納品出来ないと思う」
荷車の受注もまたたくさんしたからな。
「ということは、あの店は最低3ヶ月間は真似出来ない訳です。その間に一気に差別化をはかれるってものですよ」
なるほど、その為にこれだけの台数を買うのか。
ついでに洗濯機に新しいのが出てないか見てみる。2層式って面倒なのだ。ヘトヘトになってから洗濯するのがつらい。
「これ、昨日入って来た最新式です。ライバル店にもありませんっ」
おおー、乾燥機能付きの全自動。いきなり未来へと来た感じだ。
「これ、いくら?」
「はい、金貨1枚のところ、銀貨90枚まで頑張ります」
「そっか。なら、向こうの店に入荷するの待つよ」
「え?」
「いや、あっちの店は新生活を始める時からのおなじみでね。いつも何も言わなくても限界まで値引いてくれるんだよ」
「ち、ちなみに何をお買い上げなさったので?」
と、今まで買った物を説明する。値段は言わないけど。
「そ、そんなにたくさん・・・」
「もう一通り揃ったからこれからもうあまり買わないけどね。うちの仲間はもうすぐ家が出来たらたくさん買うと思うよ」
ということで銀貨70枚まで下がったので購入。
「仲間がどっちで買うか決めてないから頑張ってね」
「カナタ、これ何?」
「全自動洗濯機。これがあったら全部やってくれるからお前でも出来るぞ」
「ふーん」
やる気なさそうだなコイツ。
家に戻って早速使ってみる。
二人用にしちゃかなり大きい。まぁ、大は小を兼ねるだ。これなら毛布とかも洗えそうだな。
風呂から出て、洗濯物を放り込んでスイッチを押したら朝には出来てる。
服によってはシワになるな。アイロン買わなきゃな。
で、翌日はお楽しみの旅行だ。
リズ達を迎えに行ってハポネへ。缶詰工場に顔を出して皆を紹介。ゴーレンで買うより安いので帰りに大量買いして帰るとのこと。
宿の晩御飯は鯛、メバル、サワラがメインみたいだ。春の訪れを食べ物で感じられるのはいいね。
皆も旨いと喜んでいる。
「サワラってタタキや刺身で食べられんだね」
と、仲居さんに聞く。今までサワラは味噌かなんかに漬けた奴を焼いたのしか食べたことがなかったのだ。
「これは今朝の釣り物です。サワラは鮮度落ちが早いので、釣り物が合って良かったです」
予定では塩焼きだったらしいが、釣り物の良い奴が入荷したのでメニューを変更してくれたとのこと。
旨いわこれ。
メインは鯛。旬には少し早いらしいけど美味しい。刺身はもちろん、天麩羅、鯛飯、鯛シャブも抜群だ。今日のメニューはクロノの世話をする必要がないので叶多はガツガツと食っていた。
「なぁ、トーマス。一度俺達とクエスト行かねーか?」
とフランクがトーマスに共闘を申し入れてくる。
「何のクエストだ?」
「魔族討伐。前の強制クエストで逃げられた奴の住処がわかった。国からの依頼だ。報奨金もデカいが、これが誰も受けなくて強制クエストに変わったら取り分は雀の涙になるんだよ」
「失敗したときのペナルティは?」
「今回は無い」
「なら、様子を見て無理そうならカナタが居れば逃げられるってこったな?」
「そうなんだ」
「よし、受けるか。カナタ達もそろそろ実践させなきゃならんしな。そのへんの魔物や盗賊は訓練にもならんからちょうどいい」
と、トーマスは受けた。
そんな事になってるとは知らずに叶多は鯛飯をうまうまと食べていた。
「ねぇ、食べてばっかりいないでかまってよ」
「今日は自分で食べられるものばっかりだろ?」
「ぶぅっ」
あーっもうっ。
「ほらっ」
鯛飯に刺身を乗せて大葉でくるみちょいちょいと醤油を付けてクロノに食べさせる。
「んふふふふっ」
「どうした?」
「美味しい♪」
「またイチャついてんのか?」
と、リズが目の前にやって来た。
「リズ、足っ、足っ。そんな座り方したら丸見えだっ」
浴衣で足を開いてしゃがんだリズはパンチラどころではない。思いっきり見てしまった。
「ばっか、見んなよっ」
「あんなに足広げた見えるだろうがっ」
「だから見んなってっ!」
「足閉じろっ」
俺に言われて真っ赤になる前に足閉じろってんだ。
真っ赤になったリズはそのまま逃げてった。
「なんで見るのよ?」
「見えたんだっ」
あーっもうっ。
メシも終わり、お風呂タイム。男女に分かれて大浴場に。
ー女湯ー
「ダメよ、カナタくんにパンツ見せて誘惑しちゃ」
「見せたわけじゃねーよっ」
「わざとカナタに見せたんでしょ?」
「なんで女神さんの旦那にそんな事をしなきゃなんねーんだよっ」
「カナタくんは禁欲生活してるのよ。いきなり襲われたらどうすんのよ?」
「あいつも私の事を女として見てねぇよっ」
「あら、リズ。いつも皆と着替えてテトラやニックに下着姿なんか見られても平気なのにいまさらなんじゃない?」
「カッ、カナタがじーっと見るからなんか恥ずかしくなったんだよっ」
「私も見せたらカナタはじーっと見るかしら?」
「もうっ、あんた達やめてよねっ。」
「リズと違って私はカナタをそんなふうに思ってないわ」
「リズ、カナタに手を出したらダメだからね」
「出すかよっ」
シンシアは自分のは叶多が見るか試してみようかと思っていた。
ー男湯ー
「え?魔族討伐に行くの?」
「あぁ、ヤバかったら逃げる。カナタが居ればそれが可能だろ?」
と、ハポネ酒を飲みながら合同で討伐することを聞かさせれる。
「強い?」
「あぁ。ゴーレンのハンターで対峙したが逃げられた。こっちは何人もやられたがな。動きも速ぇし、魔法もバンバン打ってきやがる」
フランクは渋い顔をしてそいう。
「魔法も物理も効く相手?」
「魔法はほとんど効かん」
「なら、リズはお留守してた方がいいね」
「テトラどうする?」
「そうだな。シンシアはどうするんだ?」
「あいつはアイスウォールとか出せるから連れて行く。修行の一環でもあるしな」
「まぁ、それならリズも連れて行くわ。一人で置いてったらどれだけ拗ねるかわからん」
ということで全員参加。魔族以外にも魔物もいるだろうから、リズにはそこで活躍してもらうらしい。
「で、お前さっきリズのパンツ見てたんだってな」
とテトラに聞かれる。
「見ようとしたんたんじゃないっ。浴衣で足広げてしゃがむからだろ?日頃から注意しとけよ」
「俺達はあいつを女扱いして来なかったからな。まあ、遠征に行ったら男女がどうとか言ってられねぇしよ。エルメスなんかも俺達と一緒に着替えたりするし、リズの下着姿なんざ見慣れたもんだ」
「だって、さっきはリズも真っ赤になって恥ずかしがってたじゃないか」
「カナタはリズを女の子として見てるからだろ?」
「だって女の子じゃん」
「そりゃそうだがよ、そんなの意識してたらパーティなんてやってけないだろうが?」
そう言われても、男じゃないからな。
「ま、あいつもあんな可愛らしい一面があると初めてしったわ」
とガハハハと笑うテトラだった。
風呂から上がってゲームコーナーに行くことになり、クロノにシャツとスパッツをはかせる。
男連中も来たので卓球で勝ち抜き戦だ。
トーマスエリナペア対フランクナタリーペア。
エリナが弱い分トーマスがカバーするもフランク達は絶妙なコンビネーションだ。押されたトーマスペアはエリナのお色気アタックでフランクがやられて負け。その後に鼻の舌を出す伸ばしたフランクはナタリーからグーでいかれてた。
続いてテトラリズペア対ニックシンシアペア
テトラペアの圧勝。シンシアが足を引っ張ったのだ。ごめんなさいと謝るシンシアをニックが慰めていた。
残りは俺とクロノ、エルメスだ。一人足りないのでシンシアがペアを組んだ。
俺達はお話にならない。
ガスッ
「痛って」
「ご、ごめん」
クロノにラケットで頭を叩かれたり、振りかぶって顔面を殴られたりするのだ
落ちた玉を拾いに行くとエルメスが少し足を開いてしゃがんで取ろうとしてまたもやパンチラが見えてしまった。
「見えてるぞ」
「えっち」
と、そうは言うがエルメスは恥ずかしそうな素振りを見せない。
そして再開して完敗した。
優勝はテトラリズペアだった。テトラにはエリナのお色気アタックも効かず動きの速いリズに翻弄されたのだった。
後はエアホッケーとかして酒を買い込みまた大浴場へいくというので、俺とクロノは個室へと行ったのであった。