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真面目な話が

シンシアが他の人と付き合ったら?

良かったねと素直に言える。


リンダが他の人と付き合ったら?

これも良かったねと言うだろう。


クロノが他の人と付き合ったら?

・・・

・・・・

・・・・・

良かったねと言えないな。


やっぱり、俺、クロノの事好きなんじゃないかよ。これが能力のせいなのかどうかはわからないけど、ああやってくっついて来られるのが嬉しいのはクロノだけなんだな。


クロノの足は柔らかかったなぁと思い出してブクブクと湯船に潜って無意味に息止めに挑戦して意識を他に持って行こうとしていた。


バタン


えっ?


「へへ、来ちゃった」


バッと後ろを向く叶多。今日は灯りすら消していないのだ。クロノはバスタオルを巻いてはいるがその下は裸だ。


「な、何やってんだよっ。さっきの話しを聞いてただろっ。まだ酔ってんのかっ」


「今から酔うから大丈夫」


そしてじゃぼっと入って来る。


そして俺のおちょこにお酒を入れて飲む。


「ねぇ、カナタ」


「な、な、な、なんだよっ」


「私ね」


「うん」


「ジェイソンってやつに襲われそうになった時にカナタの名前呼んだんだ」


「昨日、寝言で俺に助けてって言ってたぞ」


「会ったその日になんでカナタに助けてって言ったんだろうね?」


「スキル持ってるの俺だけだったからじゃないのか?」


「そうかも。あと、下僕でもいいって言った人を召喚したのにどうして間違えてカナタが来たのかな?」


「たまたま同じ名前のやつが隣に居たからだろ?」


「そうかなぁ?」


「お前が召喚する方法とか知らんからな。そうとしか思えんぞ」


「私ね、勇者の二人も女神の為に魔王を倒すと言ってくれてた人を召喚したの。で、あの二人は私を見ていきなり好きだって言ったの。なんなのこいつら?と思ったけど、魔王を倒すとか本気で思ってる人なんて中々いないの。であいつらは何か褒美をくれないと魔王討伐しないっていったし、私は何かをあげることも出来ないからあんな条件出したんだ」


なるほどね。


「普通召喚された者は神に見返りを求めないものなの。それなのにいきなり条件出されるなんてあり得なくない?」


「まぁ、関係ないところで命を掛けて戦うんだから何か報酬欲しいと思うのは当然じゃないか?」


「カナタの言った崇拝だっけ?そんな能力が私にあったらそんな条件出してくると思う?」


「あ、そうだね・・・」


「だから私がモテるとかは能力じゃないと思うんだ」


「じゃあなんだ?」


「可愛いからじゃない?」


「お前、自分でそんな事言うか?」


「ねぇ、カナタ」


「な、なんだよっ」


「私の事は可愛いと思う?」


「いや、まぁ、思う・・・」


「私の事を好きかもしれないって言ってくれたのは可愛いと思ったから?」


「いや、違うと思う。シンシアもリンダも可愛いと思うからな」


「じゃあなんで?初めは大嫌いだと言ったよね?」


「上手く言葉で説明出来ないけど、シンシアやリンダが他に彼氏が出来たら良かったねと言うと思うけど、クロノが他の人と付き合うとかになったら良かったなと言えないと思う」


「うふふふ。私もカナタが他の人を好きになったらイヤ。っていうか悲しい」


「そっか」


「私に崇拝させる能力とかモテる能力があったらカナタは初めから好きだと言ってくれたんじゃないかな」


「俺は無神論者だからな。神なんて信じてなかったからじゃないか?」


「それくらいで抵抗できる力しか無い神の能力っておかしくない?」


「・・・・」


「カナタがこっちに来てモテるっていうのはこっちの人達がカナタの強さを感じるからじゃない?」


「強くないぞ」


「これから強くなるんでしょ?カナタはきっとあの勇者より強くなるんじゃないかな?」


「そこまでは無理だろ?」


「私ね、下僕でもいいからって言った人を召喚する時に見返りも無く私を守ってくれる人だったらいいなと思って召喚したの。あの勇者達で懲りてたから」


え?


「だから人違いじゃなかったと思うんだ。下僕でもいいと言った人とは違ったけど」


「そうだったのか・・・」


「ねぇカナタ。知ってる?」


「何を?」


「私ね、カナタの事を好きなんだよ」


「知ってる」


そして二人でふふふと笑い合う。


「カナタ」


「なんだ?」


「私を一人にしないでね。本当は自分の世界で一人でいるの嫌だったんだ」


「クロノ」


「何?」


「お前が望む限りずっと一緒に居て守ってやるよ」


「うん♪」



クロノは酔って寝る事無く先に風呂から上がって着替えた。


風呂から出て冷たい水を飲んで少し風に当たって火照った身体を冷やす。


「さ、灯り消して、そろそろ寝るぞ」


そして、一緒に寝ようと言われて、同じ布団で初めて一緒に寝たのであった。ただ一緒に寝るだけだが、二人の距離はまた近付いたのであった。




日が登り、部屋が明るくなってきた頃に二人の目が覚める。


「きゃぁぁぁぁぁっ」


「どうしたっ?」


「なんで一緒に寝てんのよっ」


え?


「どうしてって・・・?」


「あれ、花火はいつ終わったの?」


マジかよ・・・


「お前記憶ないのか?」


「へっ、変な事してないでしょうねっ」


「そう思うならパンツはいてるか確認してみろよ」


バッと浴衣を捲って確認するクロノ。パンチラならぬパンモロだ。


「ちゃ、ちゃんとはいてるじゃないっ」


「朝からご馳走様でした」


カナタの目の前で浴衣を捲った事に今気付いたクロノ。


「スケベっ、馬鹿っ、変態っ」


目覚めたクロノは元通りのクロノだった。花火の時の発泡ワインで既に記憶が飛ぶくらい酔ってたのか。


「お前の太もも柔らかかったぞ」


「酔ってる私に何をしたのよっ!最低ーーっ!」



昨日はお互いに真剣な話をしたのに全て元通りか。ま、これはこれで良かったのかもしれない。また同じ日々が続けられるんだからな。クロノとの距離は自分が気を付けていれば済む話だ。


朝食を食べながらもまだ真っ赤な顔をしているクロノ。


「クロノ、今日は日本酒の仕入れと昆布の仕入れ。その後は味噌とか色々買って帰るぞ」


「わ、わかってるわよっ」


クロノはホッとしていた。もしかしたら叶多が昨日真面目な話をしたことで自分から距離を置いてしまうのではないかと心配していたのだ。


そして叶多の反応を見るためにはいているとわかっているパンツを確認したのだ。


反応を見るためにわざと少しパンツを見せたとはいえ、思いっきり全開で見せてしまった。あんなに恥ずかしいとは思っていなくていつまでも赤面してしまった。


でも、話す前と同じ対応だった事が嬉しかった。


クロノは一晩中起きていて叶多の寝顔を見ていた。そして寝言でクロノの名前を呼んだ叶多のほっぺにチュッとしたことも内緒にしたのであった。



チェックアウトして日本酒の蔵元への紹介状を受け取り、一度ベリーカに着替えを置いて荷車でまたハポネへ。


蔵元で樽で日本酒を買い込む。


「ほう、他国にこの酒を?」


「これ、旨いですよね。今回はお土産にしますけど、また欲しいと言われたら仕入れて販売してもいいですかね?」


「はい、構いませんよ。お土産はこんなに飲まれるのですか?このお酒はさほど日持ちが・・」


「ハンターギルドの食堂とか火酒作ってる人とかお世話になってる人が多いんですよ」


「ドワーフの火酒?そんな物が手に入るのですか?」


「近々持って来ましょうか?」


「え?」


「俺、転移魔法みたいな物が使えるんですよ。さっきのベリーカまで帰ってこの荷車を取ってきたところですしね」


「で、ではお願い出来ますか」


「お試しなら1瓶差し上げますよ。それで気に入ったら樽で仕入れられるとお得です」


日本酒の樽は1つ銀貨3枚。10樽買ったので1樽無料でくれた。荷車も在庫確認して欲しいと言われたのでまた来ないとな。

叶多はベリーカに戻って樽をおろして昆布の仕入れに向かうのであった。



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