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天才少年は魔法が使えないけれど、  作者: 阿田 雨
第二章
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第四十一話:作戦会議


「それでは作戦会議を始める!」


 放課後になると、ノイズたち運動会出場組は、クラスに集まっていた。ノイズが、運動会に向けて作戦を考えると言い出したことをきっかけに、ノイズを中心に、他の四人は椅子に座りながら、ノイズの話を静かに聞いていた。


「よし、まずはこの紙を見てほしい」


 そういってノイズはポケットから一枚の折りたたまれた紙を取り出し、机の上に置いた。他の四人は椅子から立ち上がり、その机を囲む。


「これは、運動会の参加種目の一覧表でやんすね?」

「あぁ、そうだよ。上から玉入れ、百メートル走、借り物競走、障害物競走、それと、二人三脚とクラス対抗リレー。ここまで午前までに行われる種目。逆に午後はクラス対抗綱引きのみで、他はダンスとかそういったものになる」

「……ダンスとか、表現種目は点数には入りませんけど、面白そうですよね。私たち出ませんけど」


 ネクロは少し寂しそうにそう言った。ノイズは頭を掻いて、少し言葉に詰まるも、すぐに本題に入った。


「とりあえず、各種目はクラスの中で一人だけ出ることができて、二人三脚は二人出ることになる。ただ一人足りないところは僕が出ることになってる。ちなみにうちのクラスは人数が少ないから、その分は配点を高く見積もることでカバーする話らしい。あっちも、できるだけフェアな条件で潰したいみたいだな」


 ノイズはそこまで言うと、顔を上げて、全員の顔を見やる。他の四人は、ノイズの方に視線を集中させる。その時、ドッグの口が開いた。 


「そうか。それなら簡単だな。すべての種目で一位を取れれば、簡単に優勝できるな」


 ドッグは眼鏡を上げながらそう呟いた。他の人はそんな彼を静かに見つめる。ドッグは何か変なことを言ってしまったのか気になり、


「何か変だったか?」


 と尋ねると、ケミスが迫真の顔で、


「いや、普通に無理でやんすから。冷静に考えて、クラス対抗綱引きとか勝てるわけないでやんすよ。五人しかいないでやんすし」


 と当然のことのように述べる。ドッグは眼鏡を上げながら、その言葉を飲み込んでいるようだった。ウツイは、雰囲気を良くしようと、微笑みながら、


「まぁ、ドッグ君が言ってることは合ってるし、ケミス君が言ってることも合ってると思うな。だからこその作戦会議なんだよね?」


 と、ノイズに主導権を握らせようとする。ノイズはその言葉に誘われるように、自分の考えを語り始めた。


「そうだな。とにかく、勝数は多い方がいい。綱引きは捨てとはいえ、一勝はしておいて、最低限の得点を回収する。そういう感じで各種目ごとに作戦を練ろうと思ってる。ただ、今回の種目は基本的に走る競技がほとんどだ。だから、これからは走る速度を上げるために、運動会まで練習しようと思う。玉入れは玉入れで練習することにしよう。ただ、そういう作戦を練る前に、今回はとりあえず種目分けをしようと思って、みんなに集まってもらったんだ」

「……分かった。やりたいことは把握した。けど、これって得意とか不得意とか競技によってあるものなのかな? 私はそういうの分からないけど、できれば私でも勝てそうなやつがいいかなぁ」


 ネクロは首を傾げながらそう言った。ノイズは顎に手をついて、その返答を考えていたが、しばらくしても出てこず、黙ったままになってしまっていた。その時、ドッグは腕を組みながら、


「そんなものはここにいる者にも分からない。なにせこの競技たちはどちらかといえば、面白さ、エンタメ性を重視している。特に、玉入れや借り物競争はそれが顕著に見られる。つまり、上手かどうかで選ぶ必要は薄いな。ただ、確実に言えることがあるとすれば、百メートル走だけは、競技性の高い、つまり実力勝負にはなるだろう」


 と、冷静にその問いに答える。ケミスもその話を聞きながら、何度もうなずき、


「そうでやんすね。逆に障害物はあまり運動の不得意が影響しにくいでやんすね。どれだけ焦らずに、それぞれの障害物をこなせるかが問題でやんすからね」


 と胸を貼りながら、自慢気にそう言った。ノイズはなぜそんなにも堂々としているのか理由は分からなかったが何も言わないでやることにした。


 それからしばらく経ち、話し合いは進み、イズは椅子に座って、目を閉じながら悩んでいた。


「とりあえず、いろいろ話をしたわけだし、とりあえず、深いことは考えずにどれに出たいのかをそれぞれが言えばいいんだよね?」


 ウツイは、今まで話し合った結論を確認すると、ノイズは何も言わずに静かにうなずいた。


「俺は玉入れに出よう。走るのには自信がないんだ」


 ドッグは眼鏡を上げながら、そう言った。


「それなら僕は、障害物競走に出場するでやんす。僕は運動不足でやんすから、これなら一位確実でやんすよ」


 ケミスは、なぜか胸を張りながら、自信満々に宣言した。ウツイは、まだ悩んでいるのか、頭を左右に揺らしている。


 すると、ネクロが自信なさそうに自分の肩の少し上ぐらいまで手を挙げると、


「……あの、私二人三脚出ます。ノイズ君、一緒にやりませんか? 男女の方がいいでしょう?」

「……あー、そうだね。うん。男女の方がいいとは先生から言われたかな。全然大丈夫だよ」


 ノイズはとっさにそう言われ、すぐに了承してしまった。


「それなら、私は借り物競走やろうかな。面白そうだし」


 ウツイは、ノイズに続いて、微笑みながらそう言った。ドッグは全てが決まると、手を一回叩くと、


「これで決まりでいいのはないだろうか? 俺は玉入れ、ケミスは障害物競走、ウツイは借り物競走、ネクロは二人三脚、ノイズはネクロと共に二人三脚、そして余った百メートル走に出場ということで。もちろん大丈夫だよな?」


 今までのことを整理しながら、ノイズの方を見ながら、これで大丈夫かを確認する。ノイズは、すぐに


「大丈夫だよ。それでいこう」


 と、頷きながらそう答えた。しかし、ノイズは少し苦笑気味に笑みを浮かべていた。


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