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FUMA1912  作者: 香鶏仙幸
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第七話 真相を知る者

「っは!!」

 アルベルトが目を覚ますと、そこは病室であった。体中はほぼ包帯で巻かれており、体中が焼ける

ような痛みに襲われている。


「!! 目を覚ましました!ピタゴラスさん!遂に目を覚ましましたよ!」


看護師がそう言うと、病室の奥からピタゴラスが出てきた。


「目を覚ましたな少年。あの後、まさかとは思い私が君を追わなければ、君は溶け切っていたかも

 しれないんだぞ?感謝したまえ」


そうピタゴラスが微笑むが、アルベルトはうつむいていた。キュリーから言われた、

父の真相が受け止めきれないのである。そんなアルベルトを見て、ピタゴラスは

「やはりか」という顔つきでアルベルトに聞いた。


「君の父の真相を知ったんだな。それと少年。中央研究所で黒いタキシードの男を

 見ただろう?」


そうピタゴラスが問うと、アルベルトは静かにうなずいた。


「やはりキュリーがいたか。」


そのピタゴラスの答えに、アルベルトは顔を上げ、口を開いた。


「奴を知ってるのか?」


「あぁ。中央研究所事件以来、我々軍が何年も追う男だ。知らんはずがない。

 軍が隊員をフューマ体質にしたのも、フューマ体質である奴に対抗するためだ。

 まさか君が行った日に奴もいたとはな。奴がいた理由はわからんが、

 君を一人で行かせてしまった私の責任だ。すまない。

 それと聞かせてくれ。私が来るまでに、なにがあった?」


アルベルトはピタゴラスに父の真相。中央研究所で行われていたことをあらいざらい喋った。


「......。申し訳ないが、軍の言う【実験の失敗で研究所が大破】というのは嘘だ。

 君が出会ったキュリーという男が言う事が真実なのだ。

 そして君の父親の行った外道な事も、軍は隠ぺいしている。それが現実だ。

 受け止めきれんだろうが、理解してくれ。」


そのピタゴラスの言うことに、アルベルトは強く拳を握りしめた。

尊敬していた父が外道であった事と、自分の目標であった【フューマをこの世から消す】ということへの執念が高まったからである。フューマさえなければ、父も死なず、普通の科学者であったかもしれない。

人の命が多く失われなかったかもしれない。キュリーは堕ちなかったかもしれない。

さまざまな考えが、アルベルトの脳をよぎる。そんなアルベルトを見て、またピタゴラスは質問をする。


「どうする?旅はやめるか?私は君の父も知っておったし、軍や世を変えたい。

 私はまだ続けるぞ?」


この質問に、アルベルトは沈黙する。そしてそれが5分ほど続いたのち、意見を発した。


「俺は親父も、キュリーも、軍も許さねえ。でも、それをすべて狂わせたのはフューマだ。

 そんな力は、許さんどころじゃない。なんとしてでも消してやる。

 ピタゴラス。俺はあんたと一緒だ。」


アルベルトの真実を受け入れた眼差しを見て、ピタゴラスは微笑んだ。


「お前はめげないな。流石私を圧倒しただけある。.....。よしわかった。

 私も、君の旅に同行しよう。そうすれば、エリクサーも見つかるかもしれん。

 構わないか?」


そのピタゴラスの質問に、アルベルトは少し笑みを浮かべた。だが、軍人のくせに旅をしていいのかとピタゴラスに聞く、それにピタゴラスは、「私を舐めるなよ。こうみえても階級は少佐だぞ?

ある程度のことは可能だ」と自慢げに答えたのだった。病室に笑いが生まれた。

 そして一か月が経ち、退院の日が来た。

アルベルトはフューマ体質のため、傷が早く癒えたのだ。アルベルトは荷物を抱え、完治した体で

駅へと向かう。


「まったかピタゴラス?」


「待ちくたびれたぞ。少年。安心しろ。軍には東部への調査と伝えてある。さ。いくぞ。」


「ああ」とアルベルトは答え、ピタゴラスと共に汽車へ乗り込んだ。

二人の向かう先はバジリス東部にある港。目的地はエリクサーの見つかった西洋である。

アルベルト。いや、同じ目標のフューマ使いの二人の旅が始まった。



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