表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『無限転生した俺、最弱辺境村から“神殺し”へ至る〜継承スキルで世界最強になったので、滅びの運命を変えます〜』  作者: Y.M
第2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

97/203

命名の瞬間

地下世界のすべてが、静止していた。


 いや、正確には違う。


 “静止しているように扱われている”。


 未登録領域の中心は、わずかに揺れている。


 形になりかけては崩れ、崩れてはまた生まれる。


 それはまるで――呼吸の直前。


 ミナが小さく呟く。


「ほんとにこれ……今から名前つける流れなの?」


 セリアは静かに頷く。


「ええ。“名前待ち状態”に入ってる」


 リシアが不安そうに言う。


「名前つけたらどうなるの……?」


 ネアは一言だけ答える。


「確定する」


 レインは未登録領域を見上げる。


「じゃあ、決めるだけだな」


 ゼノスが静かに返す。


『命名権限:例外存在に一時付与』


 ミナが即座に叫ぶ。


「なんで毎回レインに権限いくの!?制度どうなってんの!?」


 未登録領域が、わずかに“こちらに傾く”。


 待っている。


 ただ待っている。


 決定を拒まないまま、拒絶もしない。


 リシアが震える。


「これ……怖いっていうか……静かすぎる」


 ネアは静かに言う。


「うん」


「“初めて完全に中立になってる状態”」


 セリアが目を細める。


「でも中立って、実質一番危険なのよね」


「どちらにも転べるから」


 レインは剣を肩に担いだまま、一歩前に出る。


「名前か」


 少しだけ間を置く。


 地下がほんのわずかに“緊張”する。


 ミナが息を呑む。


「ねえ、ほんとに今決めるの?」


 レインは答えない。


 ただ、未登録領域を見る。


「お前はさ」


「まだ決まってねぇんだろ」


 未登録領域が揺れる。


 肯定でも否定でもない。


 ただ“聞いている”。


 ネアが小さく言う。


「応答してる」


 レインは続ける。


「ならいい」


「お前は――」


 その瞬間。


 地下世界の“すべての層”が一瞬だけ重なる。


 牙も、管理核も、空白も、ログも。


 全部が“見ている”。


 ミナが息を呑む。


「今、世界全部こっち見てない?」


 セリアは低く言う。


「ええ……命名が“世界定義の更新”になってる」


 レインは静かに言った。


「“境界”だ」


 ――その瞬間。


 未登録領域が“止まる”。


 そして次の瞬間。


 ゆっくりと、確定する。


『新規層:境界層ベースライン・フロント


 リシアが息を呑む。


「名前……ついた……」


 ミナが青ざめる。


「今ので世界変わったよね!?」


 セリアは小さく息を吐く。


「ええ」


「“区切りができた”」


 ネアは静かに目を閉じる。


「これでようやく」


「“扱えるものになった”」


 境界層は、静かにそこにある。


 拒絶も侵食もせず。


 ただ――世界と未知の間に“線”を引いたまま存在している。


 ゼノスが静かに告げる。


『境界層:安定化』


『ただし次段階の発生確率上昇』


 ミナがぼそっと言う。


「安定したのに不穏なのやめて……」


 レインは剣を肩に担ぐ。


「なら次だな」


 セリアがため息をつく。


「ほんとに次行くの早いのよね、この人」


 境界の向こう側で、何かがわずかに動く。


 まだ名前も、形も、意味もないもの。


 ただ確実に言えるのは――


 “境界ができたことで、向こう側が目覚めた”ということだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ