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『無限転生した俺、最弱辺境村から“神殺し”へ至る〜継承スキルで世界最強になったので、滅びの運命を変えます〜』  作者: Y.M
第1章

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次の観測者

 青空は、もう“安心できるもの”ではなくなっていた。


 見た目は同じ。


 雲も流れている。


 鳥も飛んでいる。


 ――それでも、世界のどこかが「観察されている」という圧だけは消えない。


 レインは剣を肩に担いだまま、空を見上げていた。


「……ずっと見てくるな」


 ぼそりと呟く。


 ミナが隣で腕を組む。


「ストーカー世界とか最悪なんだけど」


 セリアが空を睨む。


「監視じゃないわ。記録よ」


 リシアが不安そうに言う。


「記録って……私たちがデータみたいに?」


 ネアは小さく首を振る。


「もう違う」


「“被験体”じゃない」


 レインが振り向く。


「じゃあ何だよ」


 ネアは空を見たまま言う。


「“サンプル”」


 その瞬間――


 空に、ひとつの“点”が生まれた。


 今までの裂け目とも、視線とも違う。


 ただの一点。


 だがその一点は、確実に“こちらを見ている”。


 ミナが息を呑む。


「今度は何……?」


 セリアが魔力を探る。


「反応が……新しい」


 リシアが震える。


「今までと“質”が違う……」


 ネアは目を細める。


「来た」


 レインが剣を握る。


「今度は誰だ」


 ゼノスが静かに答える。


『観測系統の“次段階”だ』


 空の点が、ゆっくりと広がる。


 裂け目ではない。


 “窓”。


 そこから見えるのは――


 今までの空白でも起源でもない。


 もっと“整理された世界”。


 まるで、棚のように並べられた無数の現実。


 ミナが声を失う。


「……なにこれ」


 セリアが顔を強張らせる。


「世界が……複数ある?」


 リシアが小さく呟く。


「並んでる……?」


 ネアは静かに言う。


「ここはもう一つ上」


「“観測の観測”」


 レインは目を細める。


「上ってまだあんのかよ」


 ゼノスが答える。


『ある』


『今見えているのは“管理層”だ』


 窓の向こうで、“何か”が動く。


 それは今までのどれとも違う存在感だった。


 監督でもない。


 起源でもない。


 ただ――


 “選別する側”。


『データ確認』


 声が響く。


 淡々としている。


 だが、圧倒的に冷たい。


『サンプル:継続観測対象に変更』


 ミナが叫ぶ。


「サンプルって言うな!!」


 セリアも怒鳴る。


「私たち生きてるんだけど!!」


 リシアが怯える。


「また上が……」


 ネアは静かに言う。


「まだ終わらない」


「上が“変わっただけ”」


 レインは一歩前に出る。


「で?」


 窓の向こうを見る。


「今度は何すんだよ」


 ゼノスが静かに言う。


『試験内容が変わる』


「は?」


『拒否でもない。選択でもない』


 間。


『“適応”だ』


 空気が変わる。


 窓の向こうの存在が、レインを見たまま告げる。


『個体:レイン』


『次段階試験対象に指定』


 ミナが青ざめる。


「また試験!?」


 セリアが顔をしかめる。


「いい加減にしてほしいんだけど!」


 リシアが呟く。


「今度は……何を?」


 ネアは静かに言った。


「生き残ることじゃない」


「“馴染むこと”」


 レインは笑う。


「馴染む?」


「誰にだよ」


 窓の向こうの存在が答える。


『世界に』


 沈黙。


 その一言は、今までよりずっと重かった。


 ゼノスが静かに言う。


『レイン』


「なんだ」


『これは今までと違う』


 レインは剣を握る。


「何が違う」


『“敵”がいない』


 ミナが呟く。


「じゃあ何と戦うの……」


 ゼノスは答える。


『世界そのものだ』


 空の窓がゆっくり閉じていく。


 だが最後に、“それ”は一言だけ残した。


『適応開始』


 レインは空を見上げる。


「……面倒くせぇな」


 ネアは小さく言う。


「でも、まだ序章」


 空は静かに青い。


 だがその裏側で、世界は確実に――


 “新しい試験”へと移行し始めていた。

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