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『無限転生した俺、最弱辺境村から“神殺し”へ至る〜継承スキルで世界最強になったので、滅びの運命を変えます〜』  作者: Y.M
第1章

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観測の逆流

静止は、一瞬だった。


 だがその一瞬に、世界の“上下”が入れ替わる。


 空の視線がレインを見ているのではない。


 レインが“空の奥”を見返していた。


 ミナが息を呑む。


「え、今……何が起きてる?」


 セリアは魔法陣を維持しながら顔をしかめる。


「観測が……逆流してる?」


 リシアは言葉を失う。


「見てる側と見られてる側が……」


 ネアは小さく頷く。


「入れ替わってる」


 レインは剣を握ったまま、空を睨む。


「見たいんだろ」


「だったら見せてやるよ」


 その瞬間――


 蒼黒の拒絶核が、脈打った。


 ――ゴォォッ!!


 空間が“裏返る”。


 空の奥にあった視線が、初めて揺れた。


『観測エラー』


 淡白だった声に、わずかなノイズが混ざる。


『対象……再定義不能』


 ゼノスが静かに言う。


『いいぞ』


「何がだよ」


『向こうが“お前を理解できていない”』


 レインは笑う。


「今さらかよ」


 ミナが叫ぶ。


「でもそれってチャンスじゃない!?」


 セリアも目を見開く。


「逆にこっちが主導権取れるかも……!」


 リシアは息を呑む。


「でも……危険すぎる」


 ネアは空を見上げたまま言う。


「もう戻れない」


「どっちが上か決める段階」


 空の視線が揺れる。


 そして――


 再び“更新”が始まる。


『再分類:試行1』


 世界が書き換えられる。


 王都の形が一瞬だけ歪み、別の構造へ変化する。


 だがすぐに崩れる。


『失敗』


 ミナが息を呑む。


「今の……世界ごと改造しようとしてる?」


 セリアが歯を食いしばる。


「でも通らない……レインの拒否が邪魔してる!」


 リシアが小さく呟く。


「拒否が……フィルターみたいになってる」


 ネアは静かに言う。


「もう防御じゃない」


「“編集阻害”」


 レインは剣を肩に担ぐ。


「好き勝手やってんじゃねぇよ」


 空の奥の視線が、わずかに“怒り”に似た揺れを見せる。


『異常存在確認』


 ゼノスが静かに言う。


『来る』


 空間が沈む。


 今度は“書き換え”ではない。


 もっと直接的な圧。


 レインの存在を“切り取る”ような力。


 ミナが叫ぶ。


「レイン!!来てる!!」


 セリアが防御を展開する。


「間に合わない……!」


 リシアが震える。


「やめて……!」


 ネアは一歩前に出る。


「違う」


「これは“処理”じゃない」


「“試験”」


 その瞬間だった。


 レインの拒絶核が、静かに形を変える。


 蒼黒の光が“線”になる。


 斬撃ではない。


 境界そのもの。


 ゼノスが言う。


『覚えろ』


「何をだ」


『お前は“拒否する側”だ』


 レインは空を睨む。


「知ってるよそんなの」


『違う』


 ゼノスの声が鋭くなる。


『拒否は“力”じゃない』


『“境界の定義”だ』


 空の視線が迫る。


 世界が切断される直前。


 レインは一歩踏み出した。


「ならこうだ」


 剣を振る。


 蒼黒の線が走る。


「《終律・境界反転》!!」


 ――ズガンッ!!


 世界が“切れない”。


 代わりに――


 “切ろうとした側”が弾かれた。


 空の奥で、初めて明確なノイズが走る。


『……反転』


『概念衝突』


 ミナが叫ぶ。


「今の効いた!!」


 セリアが驚く。


「攻撃そのものが戻された……!」


 リシアが呟く。


「反射じゃない……“意味の入れ替え”」


 ネアは小さく笑う。


「やっと対等」


 空の視線が沈黙する。


 そして――


 ゆっくりと引いていく。


『再評価保留』


 短い言葉。


 だが、それは撤退に近かった。


 ゼノスが静かに言う。


『引いたな』


 レインは息を吐く。


「……勝ったのか?」


『違う』


『また“次の試験”が来るだけだ』


 ミナが肩を落とす。


「もう慣れてきたのが怖いんだけど……」


 セリアは空を見上げる。


「これ、終わりないやつよね」


 リシアは小さく笑う。


「でも、今は戻ってる」


 ネアはレインを見る。


「次はもっと上手くやってくる」


 レインは剣を肩に担ぐ。


「上等だ」


 空は静かに青いままだった。


 だがその奥で――


 何かが“学習”を続けている気配だけは、消えていなかった。

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