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『無限転生した俺、最弱辺境村から“神殺し”へ至る〜継承スキルで世界最強になったので、滅びの運命を変えます〜』  作者: Y.M
第2シーズン第1章

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代償

 静寂。


 誰も動けなかった。


『君が消える』


 E-マイナス1の言葉が頭から離れない。


 風の音すら聞こえない。


 世界そのものが止まったようだった。


 最初に反応したのはミナだった。


「却下」


 即答。


 あまりにも早かった。


 E-マイナス1ですら少し驚く。


「まだ説明していないけど」


 ミナは腕を組む。


「聞かなくても却下」


 男が頷く。


「珍しく同意見だ」


 リシアも頷く。


 セリアも。


 アヤも。


 誰も反対しない。


 レインだけが黙っていた。


 E-マイナス1は小さく笑う。


「仲間想いだね」


 その言葉に皮肉はなかった。


 純粋な感想だった。


「でも事実だ」


 銀色の瞳がレインを見る。


「アークは第七席の設計だ」


 静寂。


「世界を再起動するための装置」


 風が吹く。


「そして」


「その起動条件は」


 一拍。


「第七席そのもの」


 誰も言葉を発せない。


 レインは理解してしまった。


 なぜ昔の自分が誰にも話さなかったのか。


 なぜ最後の保険にしたのか。


 なぜ記憶ごと封印したのか。


 全部繋がる。


 第三管理者が震える声で聞く。


「つまり……」


 E-マイナス1は頷く。


「第七席を燃料にする」


 静寂。


 塔の頂上。


 第七席が目を閉じる。


 否定できない。


 事実だからだ。


 レインの脳裏に断片が流れる。


 過去の自分。


 第七席。


 世界分割の日。


 そして。


 誰もいない部屋で設計図を書いている。


『もし僕が壊れたら』


 ペンを走らせる。


『誰かが止めてくれるように』


 設計図に最後の一文を書く。


『代償は僕自身』


 記憶が終わる。


 レインは拳を握る。


 昔の自分らしいと思った。


 最後まで。


 自分を犠牲にする前提で考えている。


 その時。


 第八席が前へ出た。


「なら駄目だ」


 全員が見る。


 金色の瞳が真っ直ぐレインを見ている。


「絶対に駄目だ」


 静寂。


 その声は強かった。


「三百年前と同じじゃないか」


 風が吹く。


「また自分だけ消える気か」


 レインは答えられない。


 第八席の顔には怒りがあった。


 悲しみも。


 後悔も。


 全部あった。


「だから失敗したんだ」


 その言葉に。


 第七席も目を伏せる。


 反論できない。


 それが真実だから。


 終焉因子が脈動する。


 ドクン。


 ドクン。


 ドクン。


 世界の崩壊が進む。


 ゼノスが警告する。


『残り時間』


『二十日』


 減っている。


 どんどん。


 容赦なく。


 世界は待ってくれない。


 その時。


 ミナがレインの前へ立った。


「聞いて」


 静寂。


 レインは顔を上げる。


 ミナは真剣だった。


 珍しいくらいに。


「もしレインが消える方法しかないなら」


 一拍。


「その方法は間違ってる」


 風が吹く。


「だって」


「それで救われる世界って」


「絶対に変でしょ」


 静寂。


 誰も笑わない。


 単純な言葉。


 でも。


 強かった。


 地下世界の頃からずっとそうだ。


 難しい理屈じゃない。


 当たり前のことを言う。


 だからこそ刺さる。


 E-マイナス1は黙って聞いていた。


 そして。


 少しだけ目を細める。


「なるほど」


 銀色の瞳が揺れる。


「だから君だったのか」


 ミナは首を傾げる。


「何が?」


 E-マイナス1は答えない。


 だが。


 その表情には初めて迷いがあった。


 終わりしか知らなかった存在。


 その考えが少しだけ揺れている。


 その時だった。


 ゼノスが突然叫ぶ。


『発見』


 全員が振り向く。


『アーク設計図の隠し領域を確認』


 静寂。


 レインが目を見開く。


「何?」


 光の設計図が変化する。


 今まで見えなかった部分。


 最深部。


 そこに新しい文字が浮かぶ。


 誰も知らなかった最後の記録。


 そして。


 第七席の声が再生される。


『もし君たちがここまで来たなら』


 全員が息を呑む。


『たぶん僕は失敗している』


 苦笑混じりの声。


『だから最後の本命を残しておく』


 静寂。


 第八席の顔色が変わる。


 第三管理者も。


 E-0も。


 全員が設計図を見る。


 そして。


 次の言葉に凍り付く。


『アークは保険だ』


 一拍。


『本当の計画は別にある』


 世界が静まり返る。


 三百年前の第七席が隠していた。


 本当の最後の切り札。


 その名前が。


 ゆっくりと設計図に浮かび上がった。


計画名


リユニオン計画


(第65話へ続く)

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