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『無限転生した俺、最弱辺境村から“神殺し”へ至る〜継承スキルで世界最強になったので、滅びの運命を変えます〜』  作者: Y.M
第2シーズン第1章

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帰還者

 “帰還者”。


 その言葉が響いた瞬間、車内の空気が変わった。


 顔なし乗客たちが、一斉に後退る。


 番号03ですら動きを止めていた。


 ミナが小さく呟く。


「……そんなにヤバいやつ?」


 男は冷や汗を流したまま答える。


「下層で一番会いたくない類だ」


 少年――帰還者は、静かにレインを見ていた。


 感情がない。


 敵意もない。


 だからこそ不気味だった。


 首元の黒い痕だけが、微かに脈打っている。


 レインは剣を握ったまま聞く。


「どこから来た」


 少年は少し考える。


「向こう側」


 ミナが即座にツッコむ。


「雑すぎるでしょ説明が!!」


 だが少年は、本当にそれ以上覚えていないようだった。


 リシアが不安そうに言う。


「忘れたって……どういうこと?」


 男は低く答える。


「帰還者は、“戻ってきた時に自分を失う”」


「名前も、過去も、だいたい消える」


 静寂。


 ミナがレインを見る。


 今のレインと少し重なった。


 存在が薄れる感覚。


 自分を保てなくなる恐怖。


 その時。


 列車が再び大きく揺れる。


 ドゴォン!!


 巨大な腕が車体を掴んだのだ。


 天井が軋む。


 窓の外では無数の目がこちらを覗いている。


 車掌が静かに告げる。


『運行限界まで残り一分』


 ミナが叫ぶ。


「一分って何の!?」


 車掌は答えない。


 代わりに、車内の赤いランプが回転を始める。


 警報。


 そして窓の外の景色が、徐々に“崩れ始めていた”。


 空間の境界が溶けている。


 セリアが目を細める。


「航路そのものが消されてる」


 帰還者はそれを見ても動じなかった。


 むしろ懐かしそうに呟く。


「また壊れてる」


 男が睨む。


「お前、何を知ってる」


 帰還者は静かに答えた。


「外はいつもこうだよ」


「ちゃんと閉じてないと、すぐ混ざる」


 リシアが混乱する。


「混ざる……?」


 その瞬間。


 窓の外に、“別の景色”が映る。


 森。


 青空。


 普通の街。


 学校。


 一瞬だけ、“地下じゃない世界”が見えた。


 ミナが目を見開く。


「今の……!」


 だが次の瞬間には消える。


 代わりに巨大な目がガラスいっぱいへ張り付いていた。


 ミナが悲鳴を飲み込む。


「ひっ……」


 帰還者が、小さく笑った。


「ほら」


「混ざり始めてる」


 レインは帰還者を見る。


「お前、どうやって戻った」


 帰還者は沈黙する。


 そしてゆっくり、自分の首元へ触れた。


 黒い痕。


 レインと似ている。


 だがもっと深い。


 まるで“焼き付いている”みたいだった。


「切ったんだよ」


 空気が止まる。


 ゼノスが即座に反応する。


『危険ワード確認』


『終律系統反応を検知』


 男が顔を青くする。


「まさか……お前も」


 帰還者は初めて少しだけ笑った。


「昔ね」


「でも失敗した」


 その瞬間。


 列車全体が停止する。


 ガコン。


 完全停止。


 灯りが消える。


 真っ暗。


 ミナが息を呑む。


「……止まった?」


 車掌の声だけが響く。


『運行不能』


『空間固定崩壊』


『緊急降車を開始します』


 次の瞬間。


 車両の床が、“消えた”。

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