表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/131

第69話:空の王者と空中戦


 翼竜の咆哮が崖に響き渡る。

 

 まどかといろはは、卵がある巣から少し離れた場所に陣を取った。


 「いろは、支援お願い!」

 

 「うん!まどにゃんは正面お願いね!」


 いろははすぐに光彩符でまどかを守るバリアを展開し、陽焔の輪で防御バフを付与する。

 

 まどかはナイフを逆手に握り、翼竜と対峙するが──


 「……また飛んだ!」


 翼竜は地面すれすれの高度を滑るように移動し、なかなか近距離に降りてこない。


 たまに降りてきたかと思うと、すぐにまた飛び上がる。

 

 少しでも飛ばれればナイフでは届かない、かといって無理に飛び込んでも、翼の一振りで弾かれるのが関の山だ。


▶︎ いや飛んでるのズルくない!?

▶︎ まどにゃん空戦慣れてなさそう

▶︎ バリアで押し上げよう!

▶︎ いろは魔法援護がんばー!


 いろはの中距離魔法が時折翼をかすめるが、大きなダメージにはつながらない。

 

 まどかもイリュージョンリリィで遠距離攻撃をするが、元々ダメージの大きい技ではないため、大きな効果は見られない。


 「くーっ、攻撃届いてるけど、効いてる感じしないんだよなーっ!」


 まどかが舌打ちをして小さく跳び退いた瞬間、翼竜が羽ばたいて地上へ降り立つ。


 ついに接近のチャンスが来た。


 「いろは、援護お願い!」


 「戦鼓の印! 火力と速度、少し上げたよ!」


 支援を受けたまどかが踏み込む──しかし、少し攻撃を当てただけでまた翼竜は再び飛び上がろうとする。

 

 また逃げられる、そう思った瞬間まどかが呟く。


 「あー……もう、いいや!!」


 助走もなく跳び上がり、翼竜の足を両手で掴んだ。

 暴れる翼竜からのダメージを無視して、そのまま空中へ持ち上げられる。


▶︎ おいおい!また飛ぶのか!?

▶︎ いやまどにゃんが捕まってるwww

▶︎ 強引すぎて草

▶︎ これがまどにゃん流空中戦!


 翼竜がバランスを崩した。


 その脚にしがみついたまどかは、何度も翼竜にナイフを突き立てる。


 「このまま引きずり下ろすッ!」


 空中での連撃。ナイフの軌跡が何本も空を切る。

 さらに《スカーレットライン》で深く一閃、翼の骨を断ち切った。


 翼竜が絶叫を上げ、空中でバランスを崩す。まどかもろとも急降下。


 「いろはあああああっ!」


 「はいはい! 光彩符っ!」


 いろはが地上に複数のバリアを展開。


 無理矢理空に飛びあがったせいで態勢を制御で出来ず、まどかは複数のバリアの上を転がるように少しずつ勢いを殺しつつ地面に落ちる。


 翼竜はまどかよりわずかに遅れて地面に激突。羽ばたきもがくが再度飛び上がる余力は残されていない。


 「とどめいくよっ!」


 まどかはすぐさま駆け寄り、胸元へ《スカーレットライン》をもう一度。


 翼竜は爆発するようなエフェクトを残して、消えていった。


▶︎ ナイフで飛行ボス撃墜ってすごくない?

▶︎ やっぱこのコンビつえーな

▶︎ かなり強引だけどなんとかなるんだよなぁw


 いろはが駆け寄ると、まどかは腰に手を当ててドヤ顔をきめていた。


 「ふぅ……計算通り!」

 

 「えぇ?! すごい行き当たりばったりだった気がするんだけどー?」


 「はは、ばれた? ……ってかちゃんと受け止めてくれてありがとう!」


 「ふふ、信頼と実績のサポーターですので!」


 戦闘が終わり、通知が表示される。


 《クエスト進行更新:翼竜の卵を回収し、報告へ戻れ》


 「さて、これで孵化器が手に入る……はず」

 

 「うん。あの卵、どんな子が出てくるんだろう……!」


 2人は、静かに崖の上へ戻っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ