5日目. 料理万歳!
採掘を終えた葉月がはしごを伝って地上に戻ると、すっかり夕方になっていた。
まずは採取した素材を必要な分だけ残して、ストレージに収納する。
整理整頓は大事だ。
水車の横にある石臼を確認すると、すっかり中の小麦はなくなっていて、全て小麦粉になっていた。殻やふすまなどはソラが吸収済みなので、白くて細かな粉だけになっていて、どこから見ても小麦粉だった。
パンを作るには酵母菌が必要になる。
(酵母菌ってりんごから作れなかったっけ? うどんなら発酵させなくてもいいから作れそうだけど、めんつゆが無いからなぁ……)
小麦粉を作ったはいいが、食べるのはひとまずお預けになりそうだ。
葉月は小麦粉の入った箱をインベントリに仕舞いこんだ。
ひと仕事を終えたソラが葉月の肩に飛び乗る。
「ソラ、お疲れ様」
ソラがぷよぷよと揺れていたので、葉月はお礼を兼ねて撫でておいた。
ぷにょりとした感触が気持ちいい。
葉月は夕食の準備を忘れてソラを愛でた。
ぐう、と葉月のおなかがなったので、夕食の準備に取り掛かる。
(さて、今度こそ甘くない食事を作るよ!)
完成まで時間のかかる料理を先に作ることにして、葉月は採取したばかりの岩塩をクラフトして一センチほどの板状に加工する。
葉月は岩塩を鉄板代わりに使うことで、焼いた食材に塩味がつく、一石二鳥を狙っていた。
かまどの上段には板状の岩塩を入れ、岩塩の上には乱切りにしたジャガイモ、たまねぎ、にんじん、トマトなどの野菜を乗せる。
調理の際に出たたまねぎの皮やにんじんのヘタと皮はあとで出汁をとるのに使うので、よけておく。ジャガイモは皮をつけたままでも十分だ。トマトのヘタはソラに処分してもらった。
かまどの下段に石炭を入れて火をつける。
あとは三十分ほど待てば野菜のオーブン焼きが完成する。
その間に、葉月は鍋を作る。
空いているかまどに鉄鉱石を放り込み、石炭で加熱すれば、鉄インゴットが出来上がった。
何度かこれを繰り返して鉄インゴットを作り、鉄インゴット五個でクラフトすれば鉄鍋が完成した。
予備に鉄鍋をもう一つクラフトしておく。
次に葉月はできたばかりの鍋に水を汲み、かまどに乗せた。
火をつけてお湯を沸かしている間に、たまねぎ、かぼちゃ、キャベツ、大根、トマトは適当に一口サイズにカットする。
鍋の中にたまねぎの皮、かぼちゃの種とワタ、キャベツの芯、大根のヘタと皮、それにさっきとっておいたたまねぎの川とにんじんのヘタ、皮を合わせて投入し、出汁をとる。
これで野菜の出汁が取れる。
三十分ほど煮出したところで、もう一つの鍋に出汁だけを移動させ、切っておいた野菜を投入した。
(やっぱりざるもほしいな……)
砕いた岩塩を入れて野菜スープにする。
オーブンの中をのぞくと野菜もちょうど火が通ったようだ。
ミトンが無いので、万能ツールをヘラ状に変化させて岩塩ごとオーブンから取り出した。
葉月はオーブン用の天板を作ることを頭の隅にメモした。
作業台で木材を木の棒にクラフトし、もう一段階クラフトして箸を作る。ついでにスープを飲むためのお椀とスプーンも木材をクラフトして作成した。
若干たんぱく質が足りないものの、まともな食事は涙が出るほどおいしかった。
少し作りすぎたと思ったのに、残った料理はソラが全部食べてくれたのでまったく残らなかった。
使った食器もソラが汚れだけをきれいに吸収してくれる。念のためさっと水につけてすすいでおく。
寝る前にソラ風呂とソラ洗濯機が大活躍したのは言うまでもない。
異世界移住5日目
空腹度:●●●●●●●●●●
体力:●●●●●●●●●●
経験:Lv.28→29
従魔:ソラ(スライム:Lv.5→6)+子分スライム×8(トイレ用)
称号:移住者 (初心者)、豆腐建築士、臆病剣士、ソラの飼い主、二級建築士、節約家 New!
スキル:土木:Lv.4、建築:Lv.5、農家:Lv.3、木こり:Lv.4、大工:Lv.7→8、採掘:Lv.5、調教:Lv.3、石工:Lv.3、料理:Lv.1→3、鍛冶:Lv.1




