第10話 日曜日、オフの日ぐらい将軍のことを忘れたい
県立中川高等学校。
それが俺の通う高校の名前だ。県内ではトップ層に当たる進学校というわけでは別段なく、一応は進学校と言われているが中流クラスの学校である。ただ、それでも2~3年に1度はあの旧帝国大学の中でも最大の難関、この日本を代表する東大に現役生を送ることもある。それに毎年旧帝大の北大、東北は必ず出している。だから、進学校とも言われているわけだ。中川市という県の中央に位置しているため県の北、南、西からと各地から生徒が通ってくる。
ちなみに男子校。共学校ではない。そもそもこの県には共学校というものが存在してない。進学校の中ではの話だが……。
さて、そんなことよりそろそろ自己紹介をしたいと思う。
俺の名前は川波重。
2年4組出席番号12番。誕生日2月12日。血液型A型。身長171センチ、体重58キロ。好きな食べ物ハンバーグ。嫌いな食べ物漬物。好きなこと陸上の長距離特に5000m走。陸上部所属。
嫌いな先生
将軍こと大泉先生。
これが俺のプロフィール的なものである。
さて、いよいよ物語をはじめていこうじゃないか。
◇◇◇
日曜日。
今日は1週間ある曜日の中でも唯一部活が休みの日だ。
そんな説明は専修したような気がするので今回ははしょる。さて、先週は将軍に対して俺達は反乱を起こした。明日からその反乱はますます活発化するものだろう。明日からどんなことをするのか。その計画を立てる。確かにそんなことが大事かもしれない。しかし、昨日の部活の練習の後に、清田にこんなことを言われた。
「あまり背負いすぎるなよ。来週どんなことをするかっていうのは俺が考えておくから明日ぐらい休んでろよ」
ようは、あまり俺が背負いすぎているようだから日曜日のオフぐらい休んでいろということらしい。
本当はいろいろと将軍をどのようにして倒すか考えたいところであるが、清田にここまで気を遣わせてしまったので悪いと思い今日は休むことにする。
先週は、新しいラノベを買ったんだが、今週はどうしようか。新しい本はまだ出ていない。となると、自分の部屋にある本を読み直す必要がある。
俺は自分の部屋にある3つの本棚を見つめる。
俺は意外と几帳面な人間だ。
本棚にはラノベがぎっしり詰まっている。それもラノベのレーベル別、50音順作者の並び方をしている。あ1ー1、あ2-1のような順番にも気を使っている。本棚だけは立派な状況になっていた。
それが何だと言われたらまあ、お終いになってしまうがそれだけ俺が本棚の整理に気を使っているということがわかるだろう。
さて、早速本でも読むか。
俺は本棚から適当にライトノベルを取り出す。
俺が取り出した本は、カナミ文庫の『ヒステリアス』というラノベであった。このラノベはカードゲームの話だ。どんなカードゲームかというと歴史上の人物がモチーフであり、主人公天皇寺神武が歴史上の人物を実際にその場に召喚して戦うカードゲームの戦いに巻き込まれ、歴史上の人物を召還し、日本の秩序を不安定なものにしようとしている悪の組織の者とカードバトルするという話だ。
現在、2巻まで登場しており、累計発行部数は5万部と好調である。3巻は来月出ることが決まっておりさらにはカードゲームも実際に発売するそうだ。
俺は歴史が好きなのでこの話もかなり好きである。
とりわけ1巻のバトルにおける主人公神武が自身の名前と同じ神武天皇を召還するシーンは何回も読み返しているほどだ。
俺は、これで何回目かわからない『ヒステリアス』の読書を始める。
◇◇◇
1時間後。
無事に本を読み終える。
本を読むだけで1日が終わるのがもったいない。だから、俺は家の外に出る。適当に歩き回ることにした。
俺の住んでいる中川市はそこまで遊ぶ場所はない。ゲーセンは少し離れた場所にあるが、そこまで行く気にならない。
とりあえずぶらぶら歩くことにしよう。
ぶらぶら県道沿いを歩いていると前から見知った顔の男が歩いてきた。
「雄一?」
「ああ、重か。久しぶりだな」
源雄一。
俺の中学時代の同級生だ。現在は、中川市の北部に位置している田縄市にある田縄高校に通っている。田縄高校は中川高校よりも偏差値が若干低くなっているが、評判は上々である。県最北部の進学校と言ってもいいレベルの学校であるからだ。
雄一は、中学時代はあまり勉強ができないというイメージである田縄高校に受かったのは奇跡だと学年の先生に言われていたが、現在は学年1位で旧帝大は分厚いと言われているほどの学力を持つようになった。そんな話を別の奴に聞いたことがある。それが本当かどうか俺は知らないので聞いてみる。
すると、雄一は、
「ああ、今は1位だよ。部活もやってないし、塾に行って家に帰ったら真面目に勉強をしている。人間頑張ればここまで変わるんだね」
「お、おおずっと勉強できるってすごいな」
「まあ、疲れたら寝るし、息抜きは大事だと思うよ」
頭のいい奴の言うことは少し俺には分からない。
そのあとは、中学時代のようにたわいのないような話をした。時間が経つのは早かった。1時間ぐらい話していた。
1時間以上話すのも雄一に悪いし、そこで解散した。
俺は家に帰った。
明日からはまた学校である。将軍を倒すことができる日がそう遠くない。俺にはそんな気がしていた。
明日から頑張ろう。
そう思い、俺は寝たのであった。




