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彼に映る色はもはや目で捉える裏側の虹彩だったが、しかし変わらずに強く眩い波粒を放つ光体はその認識に在り続けた。
重力と光点の方向は機体に併せ延々と早々と変わり続けている。`綱`の先の声の主たちの干渉で酷く捩じれた道は直され続けていたが、しかしそれでもなおその道は捩じくれていた。
水の蒸気の成すヴェールが彼方重なり層と成り、遥か頭上、或いは眼下へと移り変わるその光点から射す線を遮断する。機体はやはり瞬く間に粛粛に轟々と火を吹き白帳を抜け、機首を上げ下げまた振らし。もはや光点がどの方向に在るのか、生身の瞳では捉えようの無いほどだった。しかし`因子`たる世界を覗くゴーストは、その光点だけでなく在りと新ゆる事象の総てを認識しており、故に道から逸れることは無い。
彼の道には寄りそうように-というよりも、彼が寄り添わせている-別色の道があり、それからは悪意たちへの糸のようなヴェールが繋がっている。それらの動く方向の答えを`それ`は出し続けており、パイロットはそれを延々と躱し続け`ピアース`へ向かっていた。クルリクルリと廻る騎に、迫り光を生むが主、空の水面を貫いて、曲がり向かうは騎の元へ。早さを除きゆやゆよと、追って追い越しまた下がり。薄い大気の大海を、跳ねて駆け行く数数多。
≪`ピアース`射程圏内≫
`ピアース`を取り囲んでいる球に取り付いていた波が一際激しくなると、球はぴしゃりと崩れた。一瞬後に`ピアース`からは遥かに小さな、しかし強固な球が形成され、それに伴うようにメッセージが描かれた。
≪敵機体リンケージ解除≫
≪随伴機は敵随伴機と戦闘中に付き支援不可≫
≪対象の撃墜に移行≫
有人機として研ぎ澄まされた彼の機にはミサイルが無く、よってバカらしい程に非効率なドッグファイトをするしか無いようだった。




