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Crust-接近-
13/25

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彼方から飛ぶ光の如きのミサイルを、十重に重なる数多色のヴェールに自らの軌跡を落とし込み、まるで人の手をスルリと抜ける猫のように弧描いて捩り躱す。人の手に依るコントロールでは有り得ない機動のせいで高高速度でデタラメな横滑りをすら起こそうとする機体を、生物の介在を考慮しない推力の放射で強引に制御する。しかしもし、彼の載る機が生物であったなら、或いは初めて全力で跳ね回るその姿こそ楽しげに見えたのではないだろうか。

廻り転ずる天地(あまつち)が跳ねて回る機の内の彼の身体に致死のストレスを与えるようとするのを、纏ったリパルションはその働きを以て完全に守っていた。鎧は`それ`の庇護の下に、薄く引く紐のごとき引力のことごとくを防いでいる。

`ピアース`へ進む路は幾らでもある。しかしそのいずれかを選択し飛ぶ内、選ばれなかったものはまるで龜透し(かめすかし)のように色を薄くしてゆき、やがて消えて行く。連なり続くそれらの因子の瞬間を事象、その集合が時間と呼ばれるものだと彼は理解した。そうしてその先にあるもの-即ち自らのルートを塞ぐ障害-を見る事を望むと、`主語の無い`答えは瞬く間に三重へと絞られた。その先に彼は自分を見る八の悪意を見つける。

それらは絶妙にフォローしあっており、それらの描く数多色の軌跡は`ピアース`へ向かうルートを著しく捩じ曲げていた。`ピアース`は未だその遥か奥へとあったが、それを遠目で捉えたままより近くのそれら八つを知覚すると、パイロットは先とは違う色の波がそれらへ飛ぶのを感じた。それらは`ピアース`と同じように球を張り巡らせたが、それはより小さく、薄いものだった。波はそれに容赦無しに食らいつき、カリカリと光る粒を散らす。

≪look on≫

間も無く彼にはそう告げられた。無意識に数多のヴェールの可能性を見るうち、それらの妨害によって`ピアース`を無効化するまでに制限時間を越えてしまう事に気付いていた。詰まるところ、妨害さえ無ければ時間は十分とは言えずとも足りるはずだ。

≪了解≫

誰でもない声が`綱の向こうから`聞こえた。すると、背後で彼にあらゆる干渉を起こさずあった群れがヴェールに干渉し、瞬く間にねじ曲がったルートを捻り直した。



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