40 これが喧嘩かはわかりませんが色々謎が解けました
あのときはこうだった。
そのときはこうだった。
そんなことを2人で言い合った。
「ギルツハーク様は、私が好きなのではなくて、婚約者がいなくなって寂しく思われているだけなのでしょう?そういうの、すごく、嫌ですっ!」
売り言葉に買い言葉、ではないけど、勢いでそう言ってしまった。
「そうじゃない!俺は、ディアが、クラウディアがずっと好きなんだ!」
「そんなの嘘だってわかります!」
「嘘じゃない!」
ギルツハークがそう言って、私の手を握った。
急に距離が近づいて、ドキっとする。
「…だって、いつも、私のことを見ようともしなかったじゃないですか」
ドキドキして、声が小さくなってしまった。
「それは、ディアが可愛いから。その…こんな可愛い子が俺の婚約者なんだなと思ったら、ニヤケてしまいそうで」
ギルツハークの言葉に、唖然とする。
「え…じゃあ、ニヤケないように…顔を背けていたんですか?」
「そうだよ。男たるもの人前でニヤケるなんて…ダメだろ。ディアの婚約者としてびしっとしていないと」
そう言われて、そんな理由で顔を背けられていたのかと唖然とした。
握りしめてしまっていた白い薔薇の花束をテーブルの上に置く。
「2人で外に出かけたとき、すぐに帰ろうとおっしゃったのは?私と一緒に歩きたくなかったんですよね?」
私がそう言うと、ギルツハークから「君を他の人に見せたくなかったんだ」と言われて、力が抜けていく。
「君は何も言わないから、プレゼントもデートも、満足していると思っていたんだ」
ギルツハークがそう言った。
たしかに、私が不満を訴えたことがなかった。
「…花嫁教育で、そういう不満は言うべきではないと教えられていたので」
そう伝えると、ギルツハークが「ああ…」と声を漏らした。
私とギルツハークは、もっと早く、こうやって気持ちをぶつけ合うべきだったのね。
「…ほかには?どんなことを言わずにいてくれたの?」
ギルツハークにそう言われて「とりあえず座りましょう」と椅子をすすめた。
ここまでずっと立ちっぱなしだった。
「ああ、そうだね」
ギルツハークがそう言って座る。
それから、淑女たるもの紅茶を飲めと言われたことや、婚約者のことは察することが大切だと言われたことなんかを話した。
「それで、いつもディアの考えが暴走していたんだね」
ギルツハークがそう言って苦笑いした。
「暴走してました?」
「うん、かなり。俺の想い人がエリックだ、とかね」
そう言われて、そんなこともあったなと笑った。




