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マナの転移物語です12

今回もマナ視点です。ご注意ください。



 試験から3日が経ち、今日も私は『魔法学園』にある資料を読み漁っていた。


 マイさんのところに戻ってきて、改めて試験の合格を言い渡された私は、2人が個室として使っている、二級資料の保管庫横にある部屋につながるスペースをお借りして、さっそく資料を読むことにした。

 『魔法学園』のギルドメンバーであればだれでも読むことができ、魔力や魔法の属性、魔道具とは何かなど、基本的な内容が多い五級資料。個々の魔法に関する内容等、少しだけ踏み込んだ内容の比率が高くなった四級資料。既存の魔法や魔道具を構成、そして構成するパーツそれぞれの意味や活用法など、魔法、魔道具の改造や活用に関する内容が多い三級資料。魔法学の歴史やその闇について触れた内容が多く、危険思想や凶悪な実験により生まれた魔法など、管理されてしかるべきと判断された内容が書かれた二級資料。そして禁術指定された魔法や、使い手が限られた固有魔法などが書かれた一級資料。2人に教えてもらった大まかな資料の区分はそんな感じだ。

 この資料の分類について教えてもらう際に、資料の取り扱いルールや、ここでの生活のルールなど、色々と教えてもらった。ギルドメンバーではないから資料はすべてマイさんかミイさんにとって来てもらわないといけなかったり、1人ではギルドの中をうろつかないというルールが追加されたけれど些細な問題だ。


 五級資料から順に持ってきてもらい、すべての内容を理解し終えたら次の等級へ。そう意気込んで実際に読み始めてみると、私の『力』はかつてマツヤナさんのところで資料を読んでいた頃とは比べ物にならないくらい強くなっていることを実感した。魔法分野に限った話ではあるけれど、一度読んだ資料が次から次へと自分の知識へと変わっていくのだ。

 さすがに試し撃ちをするわけにはいかないからあくまで頭の中ではあるけど、五級資料をすべて読み終える頃には百近い数の魔法の改造案を作りだせていた。これまでの経験の中で、無意識のうちに疎かにしてしまっていた基本的な部分。それを改めて見つめなおすだけで、私の魔法の幅は大きく広がった。夜が明けたことに気が付かないほど集中してしまっていた点は反省すべきではあるけれど、これで今まで以上にメイの役に立つことができる。


 一日中資料を読み続けた結果、早読みのモノクルの使い方にも慣れ、今の時点で四級の資料まではすべて理解できた。これまでの内容は別に目新しいようなものではなかった。もちろん私の知らない魔法の知識もあったけど、どちらかと言うと既存の知識の再確認と、自分の認識との差異を埋めるのがメインではあった。だけど、三級資料(ここ)からはまだ知らない活用方法や解釈などがでてくるはず。かなり楽しみだ。


「次の資料を持ってきました」


 机の上に積んである三級資料に目を通し始める前に少し休憩をとっていると、ミイさんがお願いしていた追加の本を抱えてやってきた。


「ありがとうございます。こっちのを読み終えたら読ませてもらいます」


「無理はなさらずに。あら、お姉さまは?」


「今は読み終わった山を片付けてもらってますよ」


「そうでしたか。どこの資料だったかわかりますか?」


「四級の資料です。あれで最後だったので」


 読んだものから順に片付けてもらってはいるけど、マイさんもミイさんも常に対応できるわけではない。自然と読み終わった本の山ができてくるのだ。当然それだけの量を持ってきてもらっているからその山もでき、現実から目をそむけたくなるくらいには散らかっていると言える。それでもどの資料がどこにあるのかは把握できているし、一冊もなくなったりしていないのは2人のおかげだろうね。


「なら場所はわかりそうですね。私はこの後仕事で出ますので、戻るまではお姉さまにお願いします」


「たくさん持ってきてくださいましたし、しばらくは大丈夫だと思いますよ」


「そうだとよろしいですね」


「ははは」


 初日に朝まで読み続けた前科があるからか、ミイさんはどこかいたずらっ子のような感じで苦笑いするしかない私に笑いかけた。昨日はちゃんと夜には寝たし、あんなことはもうやらない……はずだ。


「お姉さまにも声はかけていきます。万が一お姉さまが戻られるまでにどなたかいらっしゃいましたらしばし待ってもらってください」


「わかりました」


「それでは失礼します」


 ミイさんは何かをとりに個室に戻り、すぐに出ていった。それを見送った後、ぐっと伸びをして体をほぐし、私は三級資料に目を通し始めた。




「やっほーマナちゃん! 遅くなっちゃってごめんねー」


 夕方までマイさんのお世話になりながら資料を読み漁っていると、トーチさんを連れたミイさんが戻ってきた。トーチさんと会うのは初日以来になるのかな。

 もともとは、初日の夜、上位魔法のことについて教えるために来るという話だったが、結局その日の内には来れなくなったとマイさん経由で伝えられていた。国王様から緊急通信による呼び出しを受けたとのことで、どうしても来られなかったそうだ。


「いやー、まいったよ。急に呼ばれるんだから」


「国王様からの急な呼び出しなんて……もしかしてユウカたちのその後とかが分かったんですか!?」


 困ったように笑いながら話すトーチさんに対して、私も資料を机の上に置いて詰め寄るように尋ねた。


「呼び出し自体は違う用事だったけど、一応その話も聞いてきたよ。ユウカも奴隷ちゃんも無事だって」


「よかった」


 ユウカだけじゃなくてアンナたちが残っているからなんとか逃げ切ってくれているとは思っていたけど、実際に他人からそれをはっきりと言われると安心した。力が抜けて少しふらっとなったけれど、すぐに机に手をついて耐えた。


「ちょっとマナちゃん大丈夫?」


「はい。ちょっと安心して力が抜けちゃいまして」


「まあわからなくもないけどね。でも、本人に直接会ったわけじゃないから、安心するのはまだ早いと思うよ。私も国王様が冒険者ギルド経由で状況を聞いたのを教えてもらっただけだし」


「それでもですよ。さすがにここで嘘をつくのは誰にとってもメリットにはなりませんから」


「それもそっか。そういえば、資料はどれくらい読めたの? そろそろ五級くらいは終わりそう?」


「トーチ様、もう三級まで読み始めてますよ」


「早くない? マナちゃんって速読とかできる人?」


「速読と言うか、この早読みのモノクルを使ってますので。それにしても、やっぱりちゃんとした資料があると違いますね。できそうなことがかなり増えました。」


「道具はさすがに貸し出しさせられないからね。うちの子にもやってないことだし。マナちゃんのためになっているならそれは重畳だよ」


「貸していただけるとしてもこれを使っていたと思いますよ。思い入れのある道具ですから」


「それはそうと、トーチ様、用があったのでは?」


「そうだ! 今日はもうこの後何もないからね。この後、教えてもらうよ」


 こうして、突然のことながら、3日間先延ばしになっていた勉強会の時間がやってきた。


どうもコクトーです。


今回もマナ視点ですのでステータスはなしです。


先週は投稿できずすいませんでした。今週は間に合いました。


自分の周りでは幸いまだ出ていませんが世間はコロナでやばいですね。

一日も早く落ち着くことを祈っております。


ではまた次回

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