マナの転移物語です13
今回もマナ視点です。ご注意ください。
マイさんたち2人と別れて、トーチさんと一緒に私はギルドの奥へと向かっていた。
資料保管庫でさすがに魔法を撃つことはできないし、普通に訓練所でやるのでは、上位魔法を制御するには実力が足りていないような人たちの目にも触れる可能性がある。そこで提案されたのが今向かっている訓練所だった。
「これから行くのは私だけというか、代々のギルドマスター専用の訓練所だから、自由に魔法とか使えるからね。三級資料まで読み始めてるのにはさすがに早すぎて驚いたけど、そこまでいってるならいろいろと試したい魔法とかもあるんじゃない?」
「そうですね。ちょっと試してみたい理論があったので自由に魔法が撃てるっていうのは助かります」
「まあ自由って言っても限度があるけどね。それに」
トーチさんは立ち止って私の方を向いた後、目の前に人差し指を突き出した。
「言っておくけど、今からやるのは資料を見せてあげている交換条件の勉強会なんだからね。そこだけは忘れないように」
「わかってますよ。その中でちょっと試すだけです」
「ほんとにわかってるのかなー?」
トーチさんは疑わしそうに言った後、再び目的地へ歩き出した。
「わかってますよ。ちゃんと約束は守ります。それにしても、さっきは聞けませんでしたが、国王様の急な用事って何だったんですか? 時間的に考えると国に戻ってすぐだったんですよね?」
「……マナちゃんって聞けばなんでも答えてもらえるって思ってない?」
「そんな簡単な世界ならもっと楽に生きてますよ」
「気になる言い方をするね。まあマナちゃんにも関係あるかもしれないことだから着いたら教えてあげるよ。もうすぐそこだし」
先に角を曲がっていたトーチさんが指さした廊下の先を見ると、突当りのところに他の部屋とはどこか様子が違う、真っ白い扉があった。
「あそこが目的地だよ。さ、入ろうか」
トーチさんに続いて、私は中に入った。
部屋の中は、机に椅子に棚と、特に変わった物はなかった。
「技術的な話はここでやろうか。ただ、魔法を撃つのは奥の部屋でね」
「あ、はい」
そう言いながら普通に席に着いたトーチさんに促されて私も対面に座った。やっぱり普通だ。
「ギルドマスター専用だなんて言ったからちょっと身構えちゃった?」
「まあ。思っていたよりも普通で……」
「まあ普通はギルドマスター専用なんて聞いたらすごいのを想像するよね。ワイバーンの剥製があったりとか」
「いや、さすがにそこまでは」
「そう? 『赤の軍団』のとことかそんな感じだよ?」
「そうなんですか……」
「まあぶっちゃけると私専用の部屋は他にもあるからね。ここには何も置いてないけどそっちはすごいよ?」
「そっちにすごい惹かれますけどとりあえずここにはないならいいです」
「つまんないのー。っと、そんなことしてる場合じゃなかったんだ。多少時間は空くとはいえ次の予定もあるからね。時間は有限だよ」
「それならさっきの話の続きをしませんか? 私にも関係があるって」
「うーん、その前に、改めての確認なんだけど、マナちゃんはグリムの町から飛ばされてきたんだよね? 敵の魔法で、このベスティア獣神国まで」
「町中というわけではないですけど、結果的にはそうですね」
「そっか。マナちゃんの判断で構わないんだけど、その転移魔法って、何度も連発できるような魔法だった?」
「あの魔法自体は無理だと断言できます。使った本人も無理だって言ってましたし、そもそもが転移箇所が完全ランダムになっている魔法ですから、狙った場所に飛ばすような使い方はできないはずです」
「なら、その魔法でなくてもいい。その場所、もしくは敵のアジトから他国にまで転移させられる魔法を使えると思う?」
「できると思います。読んだ資料の中にもありましたけど、今の魔王って、基本的にずっとアーディアの中央部にいるはずなんですよね? だったら、そこからグリムの町まで転移しているのは間違いないので」
「大軍ならどう?」
「不可能とも言い切れないでしょうね。私が実際に戦った印象でしかありませんけど、敵、あの女魔族は、渦を使って転移を行っていました」
「渦って、マナちゃんが『魔法学園』に現れた時にもあったやつだよね?」
「そうですね。あんな風に、空中に生み出した渦を使った転移魔法です。普通の転移魔法みたいに、対象を決められた地点に移動させるというよりは、あの渦を使って、異なる二点間をつなげるような感じですね。距離が遠ければその分魔力は使うでしょうから長時間は無理かもしれませんが、転移させる数でどうこうって感じではなさそうでした」
「渦を使った転移魔法……どこかで聞いたことがある気がするんだけどなぁ」
「特殊な種族とか?」
「うーん……ごめん、思い出せないや。また思い出したら話すよ。で、まあなんでこんなことを聞いたのかなんだけど、ベスティア獣神国とも西側で隣接しているヤカリ森国の様子がおかしいらしいんだよね」
「おかしいって随分抽象的ですね」
「いろんな報告が入っていて混乱してるみたい。北の国境付近にモンスターの大群が現れたってものや、ヤカリ森国の守護龍、森林龍王様の様子がおかしいって話、はたまた女王であるハイエルフ様の守護で決して大樹のそばを離れない守護者たちが軒並み森中に散っていったとか、通常の状態じゃないってことだけは確かなようなんだけど、わけがわかんないんだよね。でも、それが本当である可能性を考えて、敵の転移を警戒して結界の見直しに追われてたってわけ。誰かさんが実際転移できないはずの部屋に入ってきちゃったし」
「ごめんなさい」
「そう思うなら私に例の魔法、早く教えてよ! 私ばっかり話すんじゃなくてさ」
前のめりになったトーチさんの表情を見ていると、心からヤカリ森国のことよりも上位魔法の話が優先順位が上であると、そう思っているのがなぜかはっきりとわかった。
「そうですね。それじゃあ教えていきますけど、これから話すことの大部分は未確定な情報ですし、私自身精査することもできないことが多いです。それでもかまいませんよね?」
「もちろん。新しい魔法の前ではそんなことは些細なことだよ! 理詰めなんて後でいくらでもできるし、私はそれを知らないという知識が身につく。そうすればそれを調べる方法もまた探せばいいんだよ!」
「そうですね。ではまず初めにその認識を正しておきましょうか」
「正す?」
「私が教える魔法たちは上位魔法と呼ばれる、少なくても900年以上前の魔法使いたちが使っていた、失われてしまった過去の魔法です」
私は、真剣な表情でトーチさんに上位魔法の話を始めた。
どうもコクトーです。
今回もマナ視点ですのでステータスはなしです。
微妙に間に合っていない気もしますがロスタイムと言うことで。
思うように話がまとまらなくて…今もまとまってはいないですが(メソラシ)
コロナウイルスが世界的にやばくなってきましたね。自分も周りにいないと思っていたら、中途の新規配属初日に、そのうちの1名の方が濃厚接触者ってことで仕事に来れないと…。
だんだんと身近なところまで迫りくる恐怖…
副鼻腔炎になった自分が言える話ではないですが、皆さんも体調には十二分にご注意ください。
ではまた次回




