表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
348/593

死の草原です5

 俺は一瞬で目の前に現れたヴァンハルトに殴り飛ばされた。スピードとパワーのエンチャントは間に合ったが、他のスキルよる強化が完全には間に合わず、咄嗟に両腕をクロスして防御を固めてダメージを少しでも減らす努力はしたが、腕がしびれた。

 飛ばされた勢いを利用しながら『空蹴り』でさらに距離をとって着地して、さっきは間に合わなかった『ガードエンチャント』で自身を強化する。俺を殴り飛ばしたヴァンハルトは、すぐ横にいたユウカの攻撃を前に飛び出してかわし、そのまま俺の方に向かってきた。


「『黒槍の雨』『黒雷』」


 先ほどのように一瞬で目の前にというわけではなく、走って向かってくるヴァンハルトに上下から拡散させた黒い槍を放つ。しかし、それをものともせずにこちらに向かってきた。その距離はみるみる縮まっていく。


「『ダークソード・纏』」


 ステュラを『ダークソード・纏』で強化して向かってくるヴァンハルトに突きを放つ。ヴァンハルトはそれを拳で迎え撃ってきた。ギィンと本来拳と当たった時には鳴らない音がなって1秒ほどの均衡ができる。突き出した腕を折られるのはユウカとの鍛錬で何度もあったからすぐにステュラを引き、手首を返して切り上げた。ヴァンハルトもそれを手刀で打ち、反対の腕が伸ばしてくる。こちらも『獣の一撃』でその腕を殴りつけて軌道をそらす。その時に殴った腕もまた金属のように固く、少し手が痛い。


「どうなってんだその体は! 『アイスロック』」


 ステュラと拳を強化しながらヴァンハルトと殴り合いをする最中、『アイスロック』でその足元を凍らして『鬼の一撃』を放った。ヴァンハルトが力を入れただけで氷は一瞬で崩されてしまったが、攻撃が初めてまともにはいる。それでも攻撃をいなしながらの一撃ではあまり威力が出ておらず、かすかに顔をゆがめるだけですぐにヴァンハルトが攻撃を再開する。


「今のは痛かったぞ」


「ぬかせ! 『ダークネスソード・纏』『ダークネスナックル・纏』」


 強化が足りないと判断した俺は闇魔法から暗黒魔法に切り替える。まだまだ俺が未熟なために、ステュラはともかく、手には多少ダメージがある。でも、どうせ今のままヴァンハルトを殴っても痛いのだから、向こうにもダメージが与えられる方が絶対いい。

 ヴァンハルトの攻撃に俺も攻撃を合わせる。さらなる強化は正解だったようで、薄皮一枚ではあるが拳を切り裂いた。それに驚いたのか、反対の拳を繰り出そうとしたのをぱっと引いて後ろに跳んだ。すぐに『ダークネスランス』で追撃するが、下がった先で地面を殴り、爆発させたように土を巻き上げて防がれた。確実にダメージを与えるために的を絞っていたせいでかわされてしまったのだ。


「血を流すのは久しぶりだな。もともと頑丈ではあったと思っていたが。これ(魔王珠)を入れてからはなおさらそれに磨きがかかっていたのだぞ?」


「その体の固さはその珠の影響だっていうことか?」


「この体は俺自身の才能というだけだ。たしかにこれのおかげで基本的な能力は上がったし、さらにもう一段階上にはいけるようになったのは事実だ。こんな風にな!」


 それまで赤い筋肉質の肌だったヴァンハルトの体が少しずつ金属の体へと変わっていく。首から上はそれほど変わりないが、腕や足は一回り太くなり、ゴーレムを思わせるようなゴツゴツとした肉体だ。


「これが俺の新しく手に入れた能力、鉄鬼人だ。先ほどのように切られるなんてことももうない」


「へえ。なら『剣閃・十』」


 ステュラを両手で握って十字の斬撃を放つ。まっすぐに飛んでいく斬撃だが。ヴァンハルトはよけるそぶりも見せずに真正面から受けた。たいして力を入れているようには見えないが、斬撃をまともに受けたヴァンハルトの体は無傷だった。


「この体に斬撃は意味をなさん。その剣もへし折ってやろうか?」


「そいつは無理だな。この剣の能力がそもそも折れないってもの」


「メイよけて!」


 ヴァンハルトと話す中で急に後ろから聞こえたヒツギの声で大きく跳んだ。俺の下を回転しながらドワーフが通り抜け、ヴァンハルトに迫った。しかし、よけるようなことはせず、そのまま突っ込むドワーフに裏拳をして横に殴り飛ばした。

 ドワーフはずんぐりむっくりの短い手足を器用に使ってバク転で体勢を整えると、のこぎりを肩に担ぐような格好で止まった。


「もう少し止め方というものがあるだろうが!」


「何をやっているのだ貴様は」


「主殿、すまない。向きを変えたことで邪魔になってしまった」


「ごめんね、メイ」


「ああ、大丈夫だ。俺も少し落ち着けた」


 もめるドワーフとヴァンハルトに向かって『バーストショット』を放って引きはがすと、俺はステュラをしまって改めて両手に『ダークネスナックル・纏』を纏わせて自分の拳同士を打ち付けた。


「ほう、力勝負でもするつもりか?」


「これでも鬼と打ち合う程度にはパワーには自信があってな」


「ただの鬼と思うなよ!」


 ヴァンハルトに向かって走りだした。直前で『小規模ワープ』で後ろに回り込み、その無防備な背中に『鬼の一撃』を放った。


「ぬるい!」


 ヴァンハルトは多少よろける程度で俺の一撃を受け、振り返りざまに殴った腕をつかんで地面にたたきつけた。肺からふっと空気が漏れて『ダークネスナックル・纏』が解けてしまうが、追撃が来る前につかんでいる腕を『獣の一撃』で蹴り上げて逃げる。その次の攻撃は地面に後ろ足をしっかりとついて受け止めたが、その地面ごと後ろに押されてしまった。力がぐんと上がってやがる。


「鉄落」


 押される俺を追うように跳んで拳を振り下ろすヴァンハルトに対して、俺は後ろに『小規模ワープ』を使って距離をとる。


「どうしたどうした力自慢!」


「足りないなら俺も強化するだけだ。『強鬼化』」


 別にヴァンハルトへの当てつけというわけではないが、俺は『強鬼化』で体を強化する。


「鬼人族? いや、俺の鉄鬼人に似た能力……しかし人が鬼になるというのは……そういえばさっきは竜になっていたか」


「いくぞ」


 強化した体で俺はヴァンハルトに向けて走り出した。向かってくる俺への迎撃の攻撃に合わせて俺もヴァンハルトを殴りつけた。さっきのように押されたりすることはなく、むしろその拳を押し返す。『ダークネスナックル・纏』と『獣の一撃・付与』を両手に施し、続け様にヴァンハルトを殴りつけた。一撃一撃にきっちりと迎撃を合わせてくるヴァンハルトだが、手に伝わる感触からその拳が既に砕けていることがわかる。

 拳が砕けて迎撃をしきれず、かといって『獣の一撃』のスピードではかわしきれず、俺の攻撃は少しずつヴァンハルトを追い詰めていく。


「がはっ」


 ヴァンハルトの攻撃を我慢して受けて、カウンターとして顔面を殴りつけた。鉄鬼人としての変化がなかった頭への強化された攻撃ということもあってかなりのダメージになったようだ。


「降参するか?」


「ダれが!」


 地面に倒れたヴァンハルトへ問いかけると、拳をぐっと握りしめて真っ赤に血走った目で叫びながら起き上った。砕けてるはずなんだが……治り始めてる?


「油断したダけだ! 鉄連拳」


 獣のようなうねりとともに連打を繰り出してくるヴァンハルト。その攻撃をこちらも連打で返しながら違和感に気づいた。


「お前、それは」


「ガあああ!」


 ヴァンハルトが突如頭を押さえて苦しみだした。それに伴って胸の球が怪しく光る。


「おい、やめろ! 飲まれてんぞ!」


「タリナイタリナイタリナイ! 俺はマダ強くなレル!」


 ヴァンハルトの叫びに合わせて光が強くなる。そして、光が一際強くなったかと思うと、大きめのビー玉ほどだった魔王珠が拳大の大きさにまで変化していた。



どうもコクトーです。


『刈谷鳴』

職業

『最大

 ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)

 盗賊  (50) 剣士 (50) 戦士 (50)

 魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)

 冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)

 狂人  (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)

 有効職業

 聖???の勇者Lv15/?? ローグ Lv42/70

 重戦士 Lv45/70   剣闘士 Lv41/60

 神官  Lv35/50   龍人  Lv5/20

 精霊使いLv12/40   舞闘家 Lv12/70

 大鬼人 Lv5/40   上級獣人Lv3/30

 魔導士 Lv5/90

 非有効職業

 死龍人 Lv1/20   魔人  Lv1/20

 探究者 Lv1/99   狙撃王 Lv1/90

 上級薬師Lv1/80 』

気づけばまた1対1に…え、ヒロイン? し、書籍版では出番増やしてあるから(露骨な宣伝)


ではまた次回

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ