死の草原です4
冒険者のアンデッドたちが動き出した。
アンデッドオペラウルフとは違い、冒険者のアンデッドは基本的に3種類がいた。生前に魔法使いとして後衛をやっていたもの、戦士や剣士として前衛をやっていたもの、そして、武器を持たない獣人だ。
一般的に、人がアンデッドとして甦るとその動きは緩慢になってしまう。上位種になればなるほどそれはなくなっていき、そのうち生前の動きを越えると言われているが、今目の前にいる連中はまさにそれを思わせる動きだった。
「うぁょぁあ」
1ヶ所に固まる俺たちにアンデッドオペラウルフたちを追い抜いて狼獣人のアンデッドが迫ってきた。即座にユウカの斬擊が足を狙って放たれるも、ギリギリ当たらない高さのジャンプでかわされてしまった。アンデッドは勢いをまるで落とさずに向かってくる。
「『火炎壁』」
まだ距離があるうちに片足でもと思って『火炎壁』を使ってもそれをやすやすと突破してきた。他のアンデッドたちもその身を炎に包まれながら突破してくる。
『火炎壁』を突破した狼獣人のアンデッドにヒツギが棺桶をたたきつけたが、それすらも受け止めて前進してきた。一瞬足を止めたアンデッドにマナのマジックハンマーが飛ぶ。足元めがけて放たれたハンマーをまた低空ジャンプでかわしたところでユウカの飛ばした斬撃が頭を跳ね飛ばした。通常のアンデッドならばこれで止まるのだが、こいつは止まらずに迫ってきた。
「ちょっと気をつけてくれよ。『竜化』『ブレス』」
頭のなくなったアンデッドに狙いを絞って『ブレス』を放った。奥の『火炎壁』を突き破って直接エルフも狙ってみたが、ヴァンハルトに殴り落された。
「ドワーフがいないよ!」
真ん丸男が『火炎壁』の炎を吸い込み始めたことで奥がまた見えるようになってきたが、そこにいたのはアンデッドたちと3人だった。また地面の下かとヒツギが棺桶を構えるも、相手の方が速かった。
「どりゃっしゃあ!」
地面の振動に気が付いたユウカがバックステップで下がった瞬間、のこぎりを真上に構えたドワーフがドリルのように回転しながら飛び出してきた。『竜化』によって生えた尻尾に『獣の一撃』を付与してさらに打ち上げようとしたが、回転に弾かれてしまった。それでも方向は変えることができ、少し離れたところに落ちた。
「せぇえい!」
地面を抉りながら滑るドワーフにヒツギが棺桶を振り下ろす。ドワーフは地面にのこぎりを突き立て、柄で受ける形で防いだ。すぐに反対の棺桶も追加でたたきつけるが、1つ目の棺桶の下からするりと抜け出していて、重なった棺桶が地面を叩くだけで決定打にはならなかった。
「こいつは任せて!」
もう一度頭から潜ろうとするドワーフに針と棺桶を飛ばして牽制するヒツギが俺たちに告げた。俺は答える代わりにコルクにちらりと目をやって援護にいかせる。コルクはチェーン系の魔法も使えるしあのドワーフにはもってこいだろう。
向かってくるアンデッドを『ブレス』と『エアロ』の乱れ撃ちで吹き飛ばしていると、真ん丸男が『火炎壁』をすべて吸い込みきった。そこを狙ってマナがヘルフレイムを放つも、それもぱくりと食われてしまう。おいしそうに咀嚼する様子はどことなくヒメを彷彿とさせるが、かわいさでは9000億倍ヒメの方がかわいい。
初めは強化されたアンデッドに対してどれくらい効くのかがわからなかったから『竜化』して『ブレス』を放ったが、攻撃する対象を増やすために使った『エアロ』を見れば、威力を上げたことは正解だっただろう。『エアロ』はもともと一撃の威力が低いスキルではあるが、アンデッドオペラウルフならば1発で吹き飛ばすことはできた。しかし、冒険者アンデッドたちは5発以上当ててようやく吹き飛ばせた。さらに言えば、熊獣人のアンデッドなんかは10発同時にぶつけて耐えるほどだったのだ。ただでさえ『竜化』ででかくなったことでユウカとマナが動きにくくなっているのに余計な負担を増やすことにもつながるから、あまり邪魔にならない『エアロ』は最適だと思うが、アンデッドでこれだとヴァンハルトや、あのドワーフには牽制にもならないかもしれないな。
真ん丸男にあまり動かれないようにマナが様々な魔法を撃ち続けながら俺とユウカでアンデッドと他2人の牽制をし続けていると、冒険者のアンデッドは数体、そしてアンデッドオペラウルフが全滅した。
普通に頭を切り飛ばしたり胴体を真っ二つにしても死なないアンデッドたちだが、その対処法は意外にあっさりと見つかった。向かってくるアンデッドたちの対処をしている中で、俺の攻撃で頭が吹き飛んだアンデッドオペラウルフが完全に動かなくなったのだ。先にそれに気づいたのはユウカだった。最初は偶然ダメージが蓄積していただけかと思ったみたいだが、2体3体と同じようなアンデッドオペラウルフが増えていく中で確信に変わったそうだ。
初めに言われたときはぴんとこなかったが、どうにも『不死殺し』がその理由だったようだ。途中でレベルアップしたことでようやく気付くことができた。スキルがありすぎるのも問題だな。
アンデッドオペラウルフが全滅し、冒険者アンデッドたちも残すは8体というところで、その動きに変化が生まれていた。エルフが杖で操る数が減ったというのもあるだろうが、さっきまでのように簡単には頭に攻撃を当てられなくなった。腕や足ならいくら傷ついても平気ということなのだろうが、ブレスを無理矢理弾いたり、後ろから他のアンデッドたちが撃った魔法にわざと当たってよけたりともう無茶苦茶だ。
しかし、エルフにもあまり余裕がないというのは見てとれた。最初こそ笑顔を浮かべながら杖を構えていたが、『鷹の目』で見ると彼女は歯を食いしばり、額に大粒の汗をかいていた。飛んできたユウカの斬撃を片手で払い落としながら横目で見るヴァンハルトの表情もどこかいらだっているように見える。
「かう!」
ヒメのファングショットが『ブレス』を受けようと足を止めた熊獣人のアンデッドの足をちぎり、その結果バランスを崩して頭を消し飛ばした。これであとは7体。そのうち6体は同じように足をやられ、腕のないものいる。そいつらに次々と『ブレス』を放って頭を潰していく。
「最後じゃ」
アンデッドたちの中で唯一負傷のなかった剣士のアンデッドをユウカが切り伏せた。アンデッドとしてはまだ生きているが、剣を根元から切り落とされ、縦に真っ二つに切られた。俺はユウカがぱっと後ろに下がったのを見てそのアンデッドも頭を潰した。これでアンデッドは全滅だ。
「こんなものか」
「はぁ、はぁ、はぁ、意味わかんない! なんで私のコレクションを殺せるのよ?」
杖を支えにしながらなんとか強く出るエルフだが、もうほとんど脅威を感じない。
「メイよ、竜化は解いておくのじゃ。ヴァンハルトがここまで動かん理由がわからぬ。何かしら考えがあるに違いないのじゃ」
ユウカが小声で俺に伝えた。助言に従って『竜化』を解くと、巨体に巻き込まれないように離れていたヒメも俺の側にはやってきた。それでもまるで警戒を解く様子がない。
「ゴルグ!」
「あーん。んー?」
ヴァンハルトがマナの放った魚のような形の魔法を食べた真ん丸男を呼んだ。そして、そいつに向かってエルフを蹴り飛ばした。
「きゃあ」
「あむ!」
真ん丸男は飛んできたエルフの頭を食べた。首から下はいらないとばかりにぽいっと捨て、ごぎゅりと聞きたくない音を立てながら口を動かす。
「仲間じゃないの!?」
「んー? もにゅのもにゅのもにゅなのー」
「副首領の指示だからな。これは回収するが」
ヴァンハルトはエルフの手放した杖を拾い上げて自身のアイテムボックスにしまった。その副首領とやらの指示がどんなものかは知らないが、初めに言っていた戦力を集めているという話に関係があるのだろうか?
「ごっくん! バートー、どうするのー?」
「竜になる男は俺がもらうが、あとは食べていいぞ」
「いいのー! わーい」
子供のようにはしゃぐ真ん丸男とは対照的に好戦的な笑みを浮かべるヴァンハルトと目が合った。俺は嫌な汗が背中をつたう感覚を感じてこっそりとエンチャント系スキルで強化を始めた。
「前座は十分だ。殺しあおう」
次の瞬間、目の前に現れたヴァンハルトに俺は殴り飛ばされた。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『最大
ビギナー(10) 格闘家(50) 狙撃手(50)
盗賊 (50) 剣士 (50) 戦士 (50)
魔法使い(50) 鬼人 (20) 武闘家(60)
冒険者 (99) 狙撃主(70) 獣人 (20)
狂人 (50) 魔術師(60) 薬剤師(60)
有効職業
聖???の勇者Lv15/?? ローグ Lv42/70
重戦士 Lv45/70 剣闘士 Lv41/60
神官 Lv35/50 龍人 Lv5/20
精霊使いLv12/40 舞闘家 Lv12/70
大鬼人 Lv5/40 上級獣人Lv3/30
魔導士 Lv5/90
非有効職業
死龍人 Lv1/20 魔人 Lv1/20
探究者 Lv1/99 狙撃王 Lv1/90
上級薬師Lv1/80 』
長らく書いてなかったせいか全然感覚が戻らない…
気づくと動画見てたりするんですよね(スットボケ)
ではまた次回




