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REFLECTOR  作者: GenerativeWorks
Ritual

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47/50

第26話:最後の研究記録

数週間後。

藤崎は、大学地下の封印保管庫でひとり作業を続けていた。


外の世界では戦後復興の喧騒が広がっているというのに、この部屋だけは時間が止まっているかのようだった。


湿った空気。

古い金属棚。


そして机の上には、何十冊もの焦げたノートと磁気テープ。


それらをデジタル化し、新しいフォルダとして整理するのが藤崎の任務だった。

ファイル名は、当時の記録通りに打ち込んでいく。


Reflector_Project_EP0.log

Reflector_Project_Observation_Audio1.wav

Reflector_Project_Prototype_Notes.txt


入力を進めるうちに、ひとつのフォルダが自動的に生成された。


――「FROM INSIDE」


藤崎は眉をひそめた。


「……こんなの、作った覚えはないが。」


フォルダを開くと、中にはひとつのテキストファイルがあった。


record_0001.txt

作成日時:00:00:12


開く。


> 『記録者:斎藤 蓮一

> 状態:観察継続中

> 備考:彼らはまだ、こちらを見ている。』


藤崎は息を飲んだ。


「……斎藤先生の署名……?」


打鍵ミスか、偶然か――

そう思いながら別のファイルをクリックする。


record_0002.txt


> 『記録者:藤崎 一真

> 状態:継承開始

> 備考:外側からの観察、成立。』


「……いや、これは……俺が入力したわけじゃない。」


フォルダに新たなファイルが生成されていく。

一秒ごとに、ひとつ、またひとつ。


record_0003.txt

record_0004.txt

record_0005.txt


画面上で、ファイル数が増えていく。

まるで“誰か”が、今も観察を続けているように。


藤崎は慌てて電源を落とそうとした。

しかし、モニターが一瞬だけ明滅し、黒い画面に文字が浮かんだ。


FROM INSIDE

RECORDING CONTINUES

TIME: 00:00:12


手が止まる。

画面に、ぼんやりと自分の顔が映っていた。

その奥――反射の中で、もう一つの“自分”が口を動かす。


> 「止めるな。」


声は、スピーカーから同時に聞こえた。

藤崎の背筋に冷たい汗が走る。


「……誰だ?」


 > 「記録は観察だ。

  観察は継承だ。

  継承とは、再生だ。」


言葉とともに、ファイルがさらに増える。


 record_0060

 record_0061

 record_0062


画面が光に包まれる。

中から水音が聞こえた。


> ぴちゃん。


電源が落ちた。

部屋は真っ暗になる。


ただ、録音機だけが赤く点滅していた。

テープが自動で回転し、無人のはずの部屋に、淡い声が流れる。


> 「記録者、変更。」

> 「FROM INSIDE、稼働中。」


最後に、微かな笑い声。


そして静寂。


翌朝、大学の記録担当者が藤崎の部屋を訪れた。

机の上のパソコンは黒い画面のまま。


画面の中央に、一行だけ文字が残っていた。


FROM INSIDE

NEW RECORD INITIATED

RECORDER: UNKNOWN

TIME: 00:00:12


その横に置かれたノートには、藤崎の走り書きが残されていた。


> 「先生、記録はまだ続いています。

> 見ることを止めても、観察は止まらない。

> ――記録こそが、観察の永遠だ。」


風が吹いた。

机の上の鏡片がわずかに揺れ、小さな音を立てた。


> ぴちゃん。


 報告書 No.0-009 「最後の研究記録」

 作成者:不明

 備考:自動生成された記録群を確認。

    内容は不明、削除不可。


FROM INSIDE

STATUS: ACTIVE

RECORDER: UNDEFINED

TIME: 00:00:12

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