表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

第3話 処刑人【カルニフェクス】

「【処刑人カルニフェクス】だ」  


〜〜〜


「エンヨウのカルニフェクスは、ちと厄介だぞ」


 身体能力向上で上がっている聴力がエントランスの足音を感知した。


「まずいな…どうする?」


「それは、その女に聞きな」


 後ろを振り返ると息を切らした白髪のスリムな女がこちらを睨めつけていた。


「あんた…馬鹿じゃないの?」


「君は…?」


「聞いてるでしょ!キュールよ!まったく…私の潜入が台無しじゃない!」


「それは…すまない」


「もういい!終わったことは!」

「さぁ…ついてきて!」


 そう言いキュールは階段まで走った。


「早く!」


「あ…あぁ!」


〜〜〜


「このまま屋上まで駆け上がるよ!」

「組織の手配は間に合うかしら?」


「いつまで持ちこたえればいい?」


「どうだろうね、今急いで呼んだから10分後ぐいじゃない!?」


 そうしている内に屋上、36階の上に着く。


 エンヨウのビルが夜景を作っている。


「まずい、奴らもう20階まで来てる」


 キュールは右耳に手を当てながら大量のスクリーンを見ていた。


「後8分、確実に間に合わない」


「君はここで待ってて」


 レシェンが屋上と室内との中継地点の扉の前で立つ。


「あんた、奴らを足止めする気?」


「あぁ、自分の落とし前は自分でつける」


「駄目よ、殺される」

「あんたみたいな人、大勢見てきた!奴らに挑もうとする奴を」

「だけど、みんな呆気なく殺された!」


 レシェンはキュールの方を振り返る。


「少しは足掻いてみるさ」

「せめて君が帰れるくらいは」


 レシェンの顔は怖いぐらいに無表情だった。


「……いいわ」

「あんたを全力でサポートする!」

「後数分ぐらいは耐えなさい!」


 レシェンは静かに親指を立てた。


「奴らが来るよ!」


 足音が鮮明に聞こえてくる。


 心臓の音が激しく聞こえる。


 息遣いも少し荒くなっている。


「絶対に…生き残ってやる」


 カルニフェクスが扉を蹴飛ばし、埃が舞う。


 その埃から赤く光る閃光が計8個。


 もはや、自身の心臓の音すらも聞こえない。


「くたばれ!!」


 その拳はいとも容易くとめられた。


 埃が晴れ、その姿が鮮明になる。


 八つの赤いランプに規格外のガタイ、2メートルは余裕である。


 すると一つのランプが青に光る。


「ぐ…っあ!」


 急激に身体が重くなる。


「なんだ……これは?」


 あまりの力で地面にヒビがはいる。


「レシェン!」


 カルニフェクスは静かに近寄る。


「ドブネズミがエンヨウに逆らうとはな…」


 あまりにも低く圧のある声だ。


「まさか個人で攻め込んだわけじゃないだろう、貴様の所属している組織を聞き出すまでだ」


 レシェンは地面に這いつくばるしかない。


「くっ…かぁ!」


 カルニフェクスが大きく脚を上げレシェンを踏み潰そうとする。


「なんだ……」 


 銃声とともにカルニフェクスの顔から潰れた銃弾が現れる。


「こっち見なよ化け物、私はのけ者?」


 震える手を抑えながら銃を構えているキュールがいた。


「貴様は社員登録されていたはずだが、寝返ったか?」


 キュールの脳内に社員解雇の通知が流れる。


「これで私も助からない…か」


「愚かな、こちら側でないならば消すだけだ」


 カルニフェクスが高速でキュールに近づく。


「私も今の間油を売っていたわけじゃない」


 カルニフェクスが見えないトラバサミに引っかかる。


「引っかかったね!」


 トラバサミから電流が流れると同時にカルニフェクスが膝をつく。


「小癪な娘だ」


 立ち上がろうとするが、カルニフェクスはまた膝をつく。


「何をした…?」


「特製のサイバーウイルス入り、貴方には効果的かな!」


「芸がよく仕込まれた小動物だ」


 煙の出す音と同時にランプがまた一つ点灯。


「対策できてないと思ったのか?」


 カルニフェクスが高速で動きキュールの首を絞め上げる。


「っ!!」


「簡単に死ねると思うな、貴様らからエンヨウは聞き出したいことが山程あるようだからな」


 依然としてレシェンは地面に伏せていた。


「何してんだお前、あの小娘死ぬぞ」


 隣でエンロードが見下ろしている。


「わかってる!」


「だったらその銃を拾え」


 近くにはキュールの落としたピストルが落ちていた。


「たとえ相手が銃弾より硬くてもな」


 レシェンは全力で起き上がろうとする。


 しかし力を込める程、体を沈める力も強くなる。


「死ぬ気でその銃を掴み取れ」


「あああ!!!」


 全力で伸ばした手は何かに触れる。


〜〜〜


「そのままエンヨウに仕えていれば人生が上手くいっただろう、哀れな奴だ」


「あっそ…」


 キュールはやがて力が無くなりかけていた。


 その時。


「がぁ!!」


 とっさにカルニフェクスは手を抑え、キュールを手放した。


 一つの銃弾がカルニフェクスの頭を貫通していたのだ。


「貴様!何をした!」


 レシェンは鼻血を流しながら銃をかまえる。


「風穴の空いたてめぇの頭で考えろ」


 不思議とその手は震えていない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ