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だらしのない復讐者と共犯者になった男 〜inde ”Vengeance“ day〜   作者: 岩波備前
着火

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5/15

4話

「赤城君、君は今日でクビだ」


「はい?」


翌日。


会社に出勤した俺は上司に依頼されていた鞄を手渡した。

鞄を確認した上司の口から放たれた最初の言葉が、これだ。

労うでも、褒めるでもない。


クビ、と。


「この話は上からも認められている‥‥‥私の独断では無いんだよ」


「何故ですか!!理由を聞かせて下さい!」


普段は無気力な俺でも流石に抗議をしなければならないと思い、上司に詰め寄る。


「‥‥‥中身は見ていないんだな?」


「ええ、言われた通り見ていませんよ」


「そうか」


俺の抗議に対し、短い返事で答えた上司は、何を思ったのか、その場で鞄を開ける。

俺にだけ見えるように。


「‥‥‥これ、は‥‥‥」


現物は見たことが無いが、テレビやネットなどのメディアで見たことがある代物。

袋に詰められた、白い粉。


―――――麻薬だ。


「君は今、中身を確認した。つまり、君はこれの関係者となった」


「そんな、今ので‥‥‥」


理不尽さと意味の分からなさで頭が混乱する。


「この事務所にいるのは••••••私と君だけだ。ちなみにこの会話は録音しているし、映像も残してある」


そう言いながら、胸元のポケットから小さな機械を取り出す。


そして、天井の一点を目線で指し示す。そこに目を向けると、小さなレンズのようなものが見えた。


(‥‥‥嵌められた)


瞬間、自分の立場を理解する。


「‥‥‥で、どうする?今なら穏便に済ませることが出来るが?」


赤城の立場と思考を理解した上で、再び問を重ねる。


その目は赤城の行動を見透かしているようであった。


(‥‥‥気に食わない)


赤城はその目を見てそう思った。


「‥‥‥誠に遺憾ではありますが••••••本日で辞めさせていただきます。‥‥‥長い間、お世話になりました」


上司に向かって深々と礼をする。


「‥‥‥辞める?いや、君は‥‥‥」


少しだけ思惑から外れた赤城を不思議そうに見つめる。

その目を見て、ほんの僅かだが溜飲が下がった。


「構いません。俺から、この会社を辞めます」


「そうか。分かった。後で手続きをしてくれ••••••書類は私が受け取るよ」


その後、短い文章を作り、上司だった人間に提出する。


これだけでこの会社における赤城の10年近いキャリアが終わった。







「無職だ‥‥‥」


数少ない私物を片付け、会社を後にする。

子どもたちが楽しそうに登校している中、その横を通り過ぎる赤城の足取りは重かった。


意地を張る為だけに自主退職を選んだが、その事について早速後悔していた。


「意地を張るんじゃなかった••••••」


後悔先に立たず。

そんな言葉が頭をよぎる。


「ぁぁあああっ!ちくしょう!今日も飲むぞっ!」


やけ酒をしなければ気が済まない。

今後を考えたら、節制に努めなければいけないが、それは無理な相談だ。


「今日も行くか••••••」


今日で3日目だが構わない。

赤城はその時まで、自宅アパートで寝ることにした。

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