第8話 魔物狩り
「・・・本当にやるのか・・・?」
「・・・うん。ストロンさんは、下がっていて。」
村長の許可をもらった翌日、ジンは、ストロンと共に、魔物の縄張りにいた。
今日、ジンはここで、ウルフ種の魔物を狩ることにしていた。
「何度も言うが、ウルフ種の魔物はただのウルフとは違うぞ。スピードもパワーも桁違いだし、知能も高い。お前の力が子供離れしているとはいえ、危険な相手だぞ。」
「分かってるよ。」
(・・・知能が高いといっても、たかが知れているんだけどな。まあ、一般人の感覚からすれば、ストロンさんの考えが常識だけどな。・・・さて、グレーウルフはどこかな・・・?)
ジンは、心配するストロンを尻目に、目的の魔物を探す。すると、しばらくして、目の前に灰色の大きなウルフを発見する。
「!出た!グレーウルフだ!」
「・・・早速お出ましか。幸先いいな・・・!」
グレーウルフ。外見は灰色のウルフだが、大きさは獣のウルフの倍ほどもある、凶暴な魔物である。基本的に群れで行動し、下手をすれば村一つ滅ぼせるほどである。もっとも、こんな魔物でも、魔物の中では最弱の部類に入るが。
(一匹・・・となると、こいつは偵察役か。好都合だな。)
「・・・逃げるぞ!グレーウルフの群れが近くにいるはずだ!こいつは、群れて行動する!」
獲物を見つけて喜ぶジンとは対照的に、ストロンは恐怖し、逃げるようジンに告げる。
ストロンが森で腕試しをして逃げ帰った相手が、このグレーウルフだったのだから。その時の恐怖が、ストロンの脳裏に過る。
「・・・大丈夫。こいつは偵察役だから、まだ余裕がある。鳴かれる前に仕留める。」
「な・・・何を言って・・・!?」
ジンの言葉に、ストロンは困惑する。だが、ストロンが言い終わる前に、ジンは動いていた。ジンは、あっという間にグレーウルフの肉薄する。グレーウルフは、突然目の前にジンが姿を見せたことに驚愕し、目を見開く。
(・・・俺の想像通りだ。グレーウルフくらいなら、問題なく倒せる!)
そのまま、ジンは手にしている剣で、グレーウルフの首を一閃する。グレーウルフは、自身が切られたことを気付くこともなく、首を切り落とされていた。
「・・・な・・・!?」
目の前の光景を、ストロンは信じられなかった。まだ、十歳に満たないジンが、自分が苦労したグレーウルフを苦も無く倒したのだ。それも、一撃で。目の前で見ているというのに、信じられるものではなかった。
(・・・こいつ・・・本当に子供なのか・・・!?・・・俺より強い・・・!)
困惑するストロンを尻目に、ジンはグレーウルフを背負うと、ストロンの許に来る。
「ストロンさん、これ、お願いします。」
「!?あ・・・ああ・・・!・・・!?」
ストロンは、言われるままにグレーウルフの死骸を受け取るが、ストロンは、あまりの重さに体勢を崩しかける。
(・・・思った以上に重い・・・!・・・あんなに軽そうに背負っていたのに・・・!?)
ストロンは、ジンの子供離れした力に、再び驚愕する。
「・・・じゃあ、あと二、三匹ほど狩ったら帰るから。」
「!?」
なんと、一匹だけではなく、まだもう一匹か二匹狩ろうと言うジンに、ストロンは唖然としてしまう。
「・・・まだやるのか?」
「うん。じゃあ、ちょっと行ってくるね。」
ジンは、そのまま森の奥へと進んでいく。ストロンは、ジンを止めることができなかった。いや、完全に思考が停止し、そこまで気が回らなかったというのが正解だった。
しばらくして、ウルフを二、三匹どころか十匹ほど狩ってきたジンを見、ストロンは完全に考えるのをやめるのだった。




