第37話 ジンの提案
「・・・君の見つけた修行法を・・・試す?」
突然の提案に、レオンは驚く。
「はい。この修行法は、強い身体を作ることに重点に置いた修行法みたいなんです。どんな素晴らしい技も、あくまで身体があってのものです。この修行法を使えば、どんな技でも使える強い身体を作れるはずです。俺を見れば分かると思います。」
「・・・なるほど。確かに、どんな流派も、身体が強いことが大前提だ。君の言うことは正しい。」
「はい。それに、これは従来の修行と並行することもできるんです。日常の修行に、少し付加する程度なので。それに、その付加も段階的に増やすものですから、簡単に脱落する人間もでないと思うんです。」
「・・・ふむ。」
「もちろん、師匠が駄目だと言うなら、別に試さなくても構いません。・・・どうですか?」
「・・・。」
レオンは、ジンの提案をどうすべきか考える。
(・・・確かに、彼の見つけた修行法には興味がある。村の人達が言うには、その修行法のおかげで、子供から大人まで、弱いとはいえ魔物と戦えるようになったそうだ。ジンが短期間でここまでの強さを手に入れたのも、これのおかげだと言っていた。・・・特に訓練もしていなかった普通の人間でそこまで強くなれるのなら、修行している門下生達ならどれほどのものになるか・・・。)
しばし考えたレオンは、自身の考えをジンに伝える。
「・・・分かった。君の言う修行法とやらを試してみるとしよう。」
「本当ですか?」
「うむ。私も興味がある。君がここまで強くなることができた方法に。」
「きっと、俺よりすぐ強くなれると思います!ここにいる人達は、皆、才能に溢れる人達なんですから!」
「君は謙虚だな。君だって、ドレクに食い下がり、ケンドに勝っている。才能は君にもある。私が保証する。」
「・・・ありがとうございます。」
ジンの才能に太鼓判を押すレオン。ジンは、複雑に思いながらも、レオンの評価に感謝するのだった。
「・・・さて、それはいいとして、君にはどう修行を付けるべきかを考えないと。・・・さて、どうしたものか。」
「別に、上位弟子でも構いません。ここで腕のいい人達に揉まれること自体が、いい修行になると思いますから。」
「・・・それもそうだが・・・。」
レオンは納得していなかったが、実は、ジンは、ここでの修行自体はそこまで重要視していなかった。
(・・・修行については焦る必要はない。かつてやったことがあることを、もう一度やるだけだからな。重要なのは、次の段階に進むための準備だ。【超人法】の第二段階に進むためには、色々なものが必要になる。それが手に入ってからが本番だ。)
「それよりも、俺は必要なものがあるんです。できれば、それを用意してもらいたいんですが、いいですか?」
「?それは構わない。あまりに高価なものでなければね。」
「なら・・・。」
ジンは、レオンに自分の求めているものを言う。それにレオンは驚くものの、ジンの頼みは了承された。
同時に、ジンは上位弟子の扱いをすることに決まった。レオンは少々不満そうであったが、ジンにとってはそれで十分だったため、不満はなかった。
「ここが、君の部屋になる。好きに使うといい。」
「・・・。」
ケンドに案内され、ジンは自分の寝泊まりする部屋に着いた。そこは、逆行前のジンが使っていた部屋だった。
(・・・驚いたな。何の因果か、またこの部屋を使うことになるとは。)
逆行前と同じ部屋を使うことに、不思議な縁のようなものを感じるジン。ケンドは、そんなことは知らず、明日からのことを説明する。
「修行は、早朝の六時から始まるが、門下生はその五分前には訓練場に来ている。君も、そうしてほしい。」
「・・・分かりました。」
「あと、上位弟子と中位弟子以下では修行する場所が違う。君は、上位弟子からだから、私達と同じ場所に集まってもらう。」
「分かりました。」
「最後にもう一つ。ここの修行はとても厳しい。覚悟しておくように。」
「はい。覚悟はできています。ここを出るのは、皆伝を受ける時だと決めています。」
「皆伝と来たか。いい心意気だ。それを忘れないように。では、今日はもう休むといい。遠路はるばる疲れたはずだ。」
「はい。おやすみなさい。」
案内と説明を終えたケンドは、部屋を出て行く。ジンは、用意されたベッドの上に横になる。
(・・・明日から、俺もここに一員だ。・・・逆行前と比べて色々なことは変わりつつある。この流れをうまく利用して、自分をもっと強化して、ハート流も強くする。・・・見ていろよ、他の流派の弟子共!)
今後の展望を考えながら、ジンは眠りに就くのだった。




