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第23話 ジンの出立

若干、内容を加筆します。

 「じゃあ、行ってきます。」


 レッサーフェンリル討伐の二日後。ジンはレオンと共に、村人達の見送りを受けていた。ジンは今日、村を立つのである。


 「気を付けていくんだぞ。」

 「頑張ってね。」


 ジンの両親が、激励の言葉をかける。


 「無理だけはするなよ。」

 「辛いと思ったなら、村に帰ってくるんだぞ。」

 「お前はまだ子供なんだからな。気負い過ぎるなよ。」

 「たとえ逃げたとしても、お前を責める人間はいないぞ。」


 村の人達が、ジンを気遣う言葉をかける。


 「ジン、ジンがもっと強くなって帰ってくるの、待ってるね。」

 「ジンなら絶対大丈夫だよ。」

 「頑張って英雄になれよ。」

 「でも、俺達も負けないからな。」


 マリーら子供達は、ジンがもっと強くなって帰ってくると信じる言葉をかけ、自分達も頑張ることを伝える。それを聞いたジンは、笑顔で答える。


 「ありがとう、皆。・・・じゃあ、行ってきます。」

 「彼のことは、私に任せてください。必ず立派な人間に鍛えてみせます。」

 「お願いします、レオンさん。」


 村人達に見送られ、ジンとレオンは王都に向けて出立するのだった。




 「王都には、十日ほどで到着する予定だよ。道中、町や村があればそこで泊まるけど、なければ野宿になる。大丈夫かい?」

 「大丈夫です。外で寝ることに抵抗はありません。元々、山育ちですから。」

 「それはよかった。」


 ジンの村から王都までは、十日ほどの距離がある。道中に町や村はあるものの、それほど多くはない。そのため、野宿する必要がある。レオンはジンに、野宿は平気かと尋ねるも、山奥の村で生活し、逆行前に数えきれないほど経験していたジンに問題はなく、涼しい顔で大丈夫だと答える。


 「一応、私が寝ずの番をするけど、君にも手伝ってもらうかもしれない。そこは、覚悟しておいてほしい。」

 「分かりました。」

 (・・・とは言うものの、子供に野宿や寝ずの番はキツイだろう。極力町や村で泊まることにしよう。多少時間はかかるが、その方が彼のためにいい。)


 レオンは、子供であるジンに配慮し、できる限り宿で止まる方向で旅をすることを考える。

 一方、ジンの方が、予定より早くレオンに弟子入りできたことから、予定していた計画の変更を考えていた。


 (・・・予定より早く王都に行くことができるのなら、今後の予定を色々変更することになるな。特に、今後の修行のために必要なものをすぐ手に入れられるようになったのは大きい。予定よりも早く強くなれる。そうなれば、あれを手に入れることが容易になる。十五歳になってからじゃ、時間的、実力的にかなり無理をしないといけなかったからな。・・・四年後に発見される遺跡。そこの宝を手に入れる・・・!)


 逆行前、ジンがレオンの許に弟子入りしてから一年後に、王都周辺で複数の遺跡が発見された。王国の調査隊が調査したところ、その遺跡には膨大な宝があった。金銀財宝はもちろんのこと、優れた武具や禁術が書かれた書物、未知の効能の秘薬など、枚挙に遑がない。

 その情報を聞きつけた盗賊や犯罪組織、邪教徒までもが遺跡に忍び込み、調査隊を巻き込んでの壮絶な奪い合いが行われた。その結果、双方多数の死者を出した。

 事態を重く見た王国は、騎士団を派遣して宝を残らず回収し、厳重に管理することにした。だが、それまでの間に宝の幾つかは奪われ、王国はその回収に追われることとなった。その回収の依頼を、ジンも受けたことがあった。

 長い年月をかけて、大半は回収に成功したものの、魔族が王国を侵攻した際、苦労して回収した宝も、他の宝共々焼失、永久に失われてしまったのだ。辛うじて残ったのは、功績のある人物に与えられた武具くらいであった。おかげでジンは、【超人法】を作る際に禁書を参考にすることができなかった。


 (金銀財宝や武器も欲しくはあるが・・・狙うは禁書と秘薬だ。それがあれば、俺はもっと強くなれるし、【超人法】を更に改良させられるかもしれない。・・・他の人間に見つかる前に、絶対に手に入れてやる・・・!)


 「・・・でも、ジン。今日は、野宿はしないで済みそうだよ。この調子で行けば、村に着くから、今日はそこの宿に泊まることにしよう。」

 「・・・。」

 「?どうかしたんだい、ジン?」

 「!い・・・いいえ、ちょっと考え事を・・・。」


 考え事をしていたジンは、レオンの話を聞いておらず、慌ててレオンの方を見る。それを見たレオンは、優しそうに微笑む。


 「・・・そうだね。親元を離れるのは辛いことだからね。考え込むのも仕方ない。」

 「・・・あはは・・・すみません。」

 「謝らなくていいよ。辛いのなら、そう言えばいい。私は怒らないから。」

 「・・・ありがとうございます。」


 レオンは、ジンが親元を離れて寂しい思いをしているのだろうと判断した。ジンは、勝手に勘違いした師匠に苦笑しつつ、怪しまれなくて済んだと安堵するのだった。

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