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第21話 村への帰還

 「・・・終わったな。」


 レッサーフェンリルの死を確認したジンは、その場に座り込む。今までの緊張が解けたためである。


 「はあ・・・勝ててよかった・・・。」

 『ここまでうまくいくとは思わなかったぞ。貴様を選んだ私の判断に狂いはなかった。』

 「・・・こいつが俺達を完全に舐め切っていて、強い人間と戦った経験がなかったからだ。・・・こいつに油断がなければ、勝てたかどうか・・・。」

 『貴様は謙虚だな。』

 「・・・そんなんじゃないさ。」

 (・・・そう。俺は、こいつに逆行前の恨みをぶつけただけだ・・・。カッコのいいものじゃない・・・。)


 ジンにとって、この戦いは、ベオンとの約束と村を守るためだけではなく、逆行前の復讐でもあった。奴が動けなくなった後の容赦のない攻撃も、ベオンの手伝いというよりも、あの時の恨みを晴らすためのものだった。最後には、殺意と憎悪が抑えられなくなっていたのだ。英雄あるまじき行動だったのだから、誇れるものではないとジンは思ったのだ。


 (・・・英雄の戦い方じゃなかったが、逆行前の後悔の一つがこれで消えた。まだ油断はできないけど、村のことはとりあえずは大丈夫だろう。おかげで修行と次の目的に備えられる。)

 『・・・さて、では報酬だが、貴様がこの調子では、肉をもらうのは難しいな。』


 ベオンは、満身創痍のジンを見、レッサーフェンリルの死骸の処理はできそうにないと判断する。ベオンの推察通り、今のジンは、とても解体処理なのできる余力はなかった。だが、ジンはいい手を考えていた。


 「・・・いいや、村に帰って解体してもらえばいい。そこで、お前に肉をやるよ。」

 『村?・・・まさか、私も村に連れて行こうとでも言うのか?』

 「・・・ああ。」

 『・・・よいのか?魔物である私を連れて行くなど?』

 「解体だけじゃない。村の皆に、今まで村を守ってくれた恩人を紹介しないと。村の人間は、お前が守ってくれていることを知らない人間が多いんだ。今のままじゃ、俺みたいな勘違い野郎がまた来るかもしれないだろ。」


 ベオンの存在は、今の村の人間にはただの脅威としてしか伝わっていない。自分のような過ちを犯す人間が現れないようにするため、そして、自分がいない間、ベオンに村を再度守ってほしいと頼むため、ジンはベオンを村に連れて行くことにしたのだ。


 『・・・分かった。では、貴様の村に行くとしよう。』

 「ありがとな。・・・あっと、こいつの死骸は・・・。」

 『私がお前と共に背中に乗せていく。』

 「重くないか?」

 『問題ない。』


 ベオンは、レッサーフェンリルの死骸とジンを乗せると、ジンの村へと向かうのだった。

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