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閑話1

 オウルフォートレス魔導士団の門から外へ出ると、夕暮れ時の街は仕事帰りやこれから仕事に出向く人々で賑わっている。マージェリーは雑踏を慣れた足取りでスルスルとすり抜け、夕飯用にベーコンサラダサンドを馴染みの店で購入し、少し早足で自宅へと足を向ける。

 見慣れたレンガ造りの3階建ての建物アパートメントが見えてくると、マージェリーはほっとしたように肩の力を抜いた。

「ただいま戻りました!」

オーク材の扉を押すと、玄関ホールのソファーに腰かけていた中年女性がにこやかに笑顔で出迎えてくれる。

「おやマージェリーお帰り。今日は早いね」

 ニコニコと気さくに笑いかけてくれる中年の女性はこのアパートメントのオーナーであるレインさん。学生時代からお世話になっているマージェリーにとって、彼女は第二の母とも言える人だ。

「明日は早朝から森へ行くので今日は早いんです~」

「あらあら、お勤め御苦労さま」

簡単に挨拶をして自分の部屋へと足を進める。1階一番奥の部屋が彼女の部屋だ。


 鍵を開けて扉を開けば、小さなキッチンとテーブル、ベッド、机、本棚とクローゼット。

仕切りのないこの一部屋がマージェリーの大切な城だ。ちなみにトイレとシャワーも狭いがあるのが魅力だ。なるべく節約!と思って学生時代から変わらずこのこじんまりとした部屋をマージェリーは借りている。

 紙に包まれたベーコンサラダサンドをテーブルに置き、キッチンで手を洗ったマージェリーはふぅと一息付く。暫くぼーっと視線を天井に彷徨わせていたが、今日の出来事を思い出しマージェリーはローブに皺が付くのも構わずベッドの上にダイブし、「うきゃああああ」と奇妙な声を上げながら左右へ転がった。


『貴方が無事で良かったです』

『是非お友達になりましょう。宜しくね』


 彼の青緑色ターコイズブルーの瞳はとても優しかった。誰にでもああ(・・)だとは聞くけれど、それでもマージェリーは嬉しかった。友達になってくれるとハノーヴァーは言ってくれたのだ。これからゆっくりとハノーヴァーを知っていければ良いと思う。そして自分の挙動不審な態度を思い返し更に激しく左右に転がったマージェリーは、最終的にベッドから落ちた。シングルサイズなのでこんな動きをしていたら落ちるのは当たり前だった。

「・・・・・・ったたたたたたた」

 肩を強かに打ったマージェリーはその落ちた体制のまま痛みを堪える。1階に住んでいて良かったと一部冷静な思考が考える。


 ハノーヴァーが微笑んで話しかけてくれるのは嬉しかったけれど、マージェリーはどうしても素直に言葉を返せなかった。嬉しい、けれどなんだか悔しいという不思議な感情。彼は誰にでも優しく笑いかける、それは自分だけではないと思うと湧き上がってくる淀んだ気持ち。それに加えてムズムズとする気恥ずかしさが加わり、なんて酷い態度だったのかと気分が落ち込む。こんなにも感情が変わる事が初めてすぎて、「困ったなあ」とマージェリーは床の上に倒れたまま途方に暮れた。

お久しぶりです。

更新が大分ゆっくりなので、とりあえず検索除外にしてあります。

連載が安定してきましたら検索除外を外そうかと思っておりますので、のんびりとお付き合いいただければ幸いです。

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