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2.相手の情報を収集しましょう

説明が多くてごめんなさい。

 オウルフォートレスの騎士団と魔導士団の本部は王城の周りを囲うように隣接して建っている。その建物周辺には騎士・魔導士養成学院、他施設や訓練場が広がる。さらに外周は大きな塀で囲われ、その先には貴族の家や城に勤める者たちの家々が広がり、更にその先からは城下町が栄えている。

 マージェリーは休憩時間を使って騎士団の訓練場へと足を向けながら、思考を遥か彼方へと飛ばしていた。


 ハノーヴァーに興味がなかったマージェリーは彼に関する情報がほとんどない。

 知っている事と言えば、先日同じ隊になったこと、思慮深く穏やかな人だったこと、それに反して容赦ない冷静な戦い方をする人、名前がハノーヴァー・ホランド、年齢が23歳、第2騎士団所属の騎士と基本的な情報のみ。あ、あと絵本の中の王子様みたいな容姿。


 まさかハノーヴァーを好きになるとは全く予想の範疇外だったマージェリーはううんと唸った。

(なんで好きになっちゃったのかな・・いやでもハノーヴァーの事を思い浮かべるだけで動悸が激しい。まるでコツコツと貯金している貯金額を眺めて高揚している時と同じ気分だ)

「効率悪いわね。前情報がないのは痛いわ」


「さて」

 訓練場に辿り着いたものの、マージェリーは訓練場入口に行かず訓練場脇の茂みへとガサゴソと潜り込んだ。そこは身長160センチのマージェリーがしゃがみ込んでも存在を隠してくれる程の生垣だった。

 先ほど買い込んだサンドイッチを取り出し食べながら、訓練場が見えるようにガサリと茂みをかき分ける。


 いた。---マージェリーの視線がひたりと訓練場に固定される。視線の奥先にはハノーヴァーが見える。


 第2騎士団の騎士たちの休憩時間がまだ先なのはとっくに調査済みだ。騎士達は剣と盾を構えた者、剣だけの者、槍を構える者と、それぞれ武器を持ちペアになって打ち合いを行っている。武器は殺傷力を落としてある刃先を潰してある練習用のものだ。

 ハノーヴァーは紺色の髪の盾を装備した騎士と剣を合わせていた。すらりとした身体に灰色と白を基本とした騎士服をきっちりと着込み、訓練の時に装着する革鎧を身に付けている。

 青緑色ターコイズブルーの瞳が真剣に相手の騎士の動きを見つめる。盾と剣がぶつかり合い、火花が散る。ハノーヴァーの淡黄色の髪が彼の動きに合わせなびき、太陽に煌めき白銀色に輝く。優しげな王子然とした風貌とは似つかわしくない力で力強く長剣を相手に叩き込む。


「格好良すぎでしょこれは」

 マージェリーはハノーヴァーから目が離せない。好きになるまでは全く、まあああったくこんなに気分は高揚しなかったのに、惚れた欲目か滅茶苦茶格好良い。ヤバイ。今までキャーキャー言っていた女子たち、今まで騒がしいとか言ってしまってごめん。


「なになに、リーは誰が好きなの?」

「ぎゃっ!?」

 ぼふっと、マージェリーの背中に人の重みがのしかかる。前かがみに倒れたマージェリーが茂みに頭を突っ込んだ。こんな事をマージェリーにするこの声の持ち主は一人しかいない。


「ミア! 物凄く痛い!」

 マージェリーは葉っぱまみれになった濃茶色の髪をバサバサしながら頭を上げ、のしかかってきた同じ魔導士であり学院の同期である友人ミアを涙目で非難する。

「えへへごめんごめん! リーがどこかに行くみたいだから尾行しちゃった★」

 テヘペロと淡い水色の髪の美少女であるミアがマージェリーに笑いかけた。

 ミアの容姿は儚げな清楚系美少女で回復魔法が得意な為、【癒しの天使】と呼ばれ非常にモテる。

「尾行しないでよ・・・」

 ミアはまつ毛の長い大きな瞳をぱちぱちさせながら訓練場を覗き込む。

「リーが見ていたのはあの騎士? ああ、女子に大人気の有望株でフォート辺境伯の次男坊ホランドさんじゃん。リーってばああいうのがタイプだったっけ?? ホランドさんはなんだか癒し系だよねぇ」

 しかし口を開くと人の話を全く聞かない弾丸トークに、見た目と中身のギャップが激しすぎる不思議系。同期の魔導士達からは非常に残念な目で見られる。

 マージェリーはがばっとミアの両肩に手を置く。

「え、ミアは彼を知ってるの!? 教えて!」

 しかし、こういう時にはミアの弾丸トークはありがたい!

 にこぉっとミアが笑う。

「大好きな親友の為なら私が知っている事は全部教えちゃうよー!! ただし後でスミス亭の新作ケーキを奢ってね」

「くっ、趣味貯蓄の私にそれを言うか! けど乗ったあ!」

「やったあ! ええとね、ホランドさんはフォート辺境伯の息子で、お兄様が1人、妹さんが1人、で私のお兄ちゃんがホランドさんのお兄様と友人だから今日帰ったらお兄ちゃんに色々聞いてみるね」

「すごい! ありがたやー!」

 マージェリーは歓声を上げながらミアをぎゅうぎゅうと力いっぱい抱きしめた。

 と、二人の頭上から呆れた声がかけられる。


「・・・お前ら何やってんの」

 訓練場から茂みを覗き込む、学院同期の友人でもあり騎士のバレッジが二人を見下ろしていた。

※騎士・魔導士養成学院は合同で行う訓練が多いので、同じ時期に入った騎士見習いと魔導士見習い達は友人になる確率が高いです。

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