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6.メイドのリア

 



 私はリア・ウェスト、15歳。メイドです。先日ロズベルト公爵家のアリエス様の専属メイドになりました。



 以前聞いた話では、アリエス様は手のつけられない面倒な娘という事でしたが、そんなことはありませんでした。


 ただ、初対面の人との会話が苦手な様で、私との会話も緊張していました。私は勿論、屋敷内の者なら誰でも知っているであろう彼女の名前を名乗り、突然友達になって欲しいと言ってきたのです。

 正直どのように返せば良いのか分かりませんでしたが、とりあえずメイドと主人では友達にはなれないという事を教えました。するとお嬢様は、そんな事は関係ないと言ってきました。



 家からほとんど出たことのないお嬢様は、おそらく歳の近い話し相手が欲しいのでしょう。だから専属メイドとして来た、歳の近い私と友達になりたいと言ったのだと思います。



 お嬢様が立場など関係ないと言っても、周りの人々は許してくれないでしょう。ですが何度無理だと言ってもお嬢様は譲りませんでした。


 そこで、私は別の手段を取る事にしました。お嬢様には友達になると言っておいて、実際には普通のメイドと主人として接するのです。そうすれば周りの人々から何か言われることもなく、またお嬢様も話し相手が出来るので文句は言わないはず。少し酷いかもしれませんが、私がお嬢様と友達になれないのも事実なのです。まあ、お嬢様と二人きりの時だけ少し態度を変えておけば良いでしょう。










 私とお嬢様の初対面から数日が経ちました。


 どうやら私は勘違いをしていた様です。お嬢様はただ話し相手が欲しかったのではなく、本当に私と友達になりたかった様で、私がメイドとして馴れ馴れしくない、素っ気ない態度を取る度に落ち込むのです。そして、潤んだ瞳で私を見つめてくるのです。


 私よりも背が低く、可愛らしい顔のお嬢様が、潤んだ瞳で私を上目遣いで見つめてくるのです。それを受け流す事は私には出来ませんでした。ついついお嬢様の願い事を聞いてしまい、ほとんど毎日、お嬢様と一緒に屋敷の庭を散歩したり、部屋で話したりと、一日中行動を共にしているのです。まあ仕事内容はあながち間違ってはいないのですが、少し仲が良すぎると言いますか。しかし私はもうお嬢様に素っ気ない態度は取れなくなってしまいました。




 これは自惚れかもしれませんが、お嬢様は私を慕ってくれていると思います。そんなお嬢様が落ち込んでいる姿を見たくはないのです。だから私は出来るだけお嬢様と仲良くして行きたいと思います。私に許される範囲で。


 そんな決意?を持って私は朝の仕事に取り掛かります。今はお嬢様を起こしに向かっている所です。



 今日もまたお嬢様と私の一日が始まります。





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