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エピローグ

 日比樹くんは、約束してくれた。


 もう誰も、傷つけないと。


 そしてごめんなさいと謝ってくれた。


 嘘をついたことを。

 人を傷つけてしまったことを。


 私と話す水月くんを見て、もしかしたら私が彼のことが好きなのかもとか、彼に取られてしまうかもしれないと焦ってしまったと、そう話してくれた。


 ……水月くんのことを好きになるなんてことはないだろうに……子供というのは、純粋過ぎて恐ろしい。


 素直に、正直に生きて欲しいと言ったから……取られたくないから刺したというのも、また別の意味で怖いけれど……。


 でももう、しないと約束してくれた。


 だから、私も……。


「刺したのは、私」

「…………」


 場所は病室。

 訪れたのは、四人部屋の病室。


 その入り口側のベッドに腰掛けていた水月くんに、私は頭を下げることも無く、淡々とそう嘘を告げた。


「これで、約束は果たしたから」


 他のベッドに人はいない。

 名前プレートはかかっていたから、きっと出かけているのだろう。


 だから好都合とばかりに、私は嘘を吐いた。

 昔の私なら考えられない、その嘘を。


「……………………そっか」


 間を置いてから、ため息を吐き出し、水月くんは納得してくれた。


「じゃあ俺は、また死ねなかったんだな」



◇ ◇ ◇



「どうして~、あの嘘を受け入れたの~?」


 嘘……そう、嘘だと言うことは分かりきっている。

 あの転校生の言葉は。


 ゆかりが病室を訪れて、昨日はあの転校生と帰ったと事前に話してくれていたから。


「間違いなく葉柄を刺したのは~、あの男の子だよ~?」


 放課後に入ってすぐ、その男の子の元にお礼を言いに行こうと思ったらしいゆかり。


 でも、会う手段が思いつかず、とりあえず出会った住宅下の公園に向かっても出会えず、待つこともしないでここへと来てくれた。

 そして俺と少し話をして、今日の授業のノートのコピーを取りに近くのコンビニへと向かい、帰ってきたところで、さっきの嘘の告白を病室前で盗み聞いて……ということらしい。


 お見舞いに来てすぐに、俺を刺した犯人の話題は全く出しもしなかったってのに……まさかとっくに犯人の目星もついてたとはな。

 っつか、あの子供まで『前人間』とか、俺全く気付かなかったぞ。


「……ま、あの真面目な正義感の塊でもある転校生が嘘まで吐いて庇ったんだ。掘り下げるのは野暮ってもんだろ」


 ま、あれだけ心配した姉貴がこの話を全て聞いて納得するとは思えないが……今朝聞かれた通り、見れずに逃げたって話し続けてりゃ良いだろ。


「それに、収穫もあった」

「収穫~?」

「『前人間』は本当に俺を殺せる可能性があるってことが分かっただろ?」


 初めて、日にちを跨いでも治らない傷を負わされた。


「これが分かっただけ十分だ。それに、あのガキも転校生も、まだ別の町に行った訳でもねぇ。また何かしらの機会に恩を売れるかもしれねぇだろ」


 特に転校生。

 アイツはその可能性が最も高い。


 今は自分がどうしていくべきか定まったばかりで安定してるだろうが、昔までの自分もある種正しかったと気付いた時、また悩むことになるだろう。

 そのときにまたトラブルに巻き込まれれば……あるいは……。


「…………」


 と、ゆかりがどこか悲しそうな表情を浮かべていることに気がついた。


「どうした? なんか気になることでもあんのか?」

「ううん~……大丈夫だよ~」


 努めて明るくしようとしている感じがする。


 もしかしたら何か俺に隠し事でもあるのか……?

 例えばそう……転校生に、俺を殺さないように頼んだ、とか。

 それに協力する、とか。


 ……まさかな。

 ゆかりは俺が死のうとするのを手伝ってくれている。

 そんなはずはない。

 きっと何か不安材料があるんだろう。


「…………」


 そうだな……あの転校生を、俺達がいつも放課後に集まっているあの空き教室に呼ぶようにするか。


 近くにいればチャンスも増えるだろうし、ゆかりの懸念事項を解消できる手立てだって生まれるかもしれない。


 何より、せっかく死へと近づけれた一歩を、みすみす手放すわけにもいかない。


 クラスで孤立している今なら、転校生も部屋にやってきやすいだろう。


 今の内に、傍に置いておいた方が良いに決まっている。


 尽くせる限りの手は尽くそう。


 俺が、死ぬために。


 進めた死への一歩を、さらに進めるために。


 次こそは、この命を……果てさせるために。


 でもま……その前にまずは……。


「……ゆかり」

「……ん~?」

「退院したら、また勉強見てくれよ? またこうやって遅れちまったんだからな」


 やれやれと、苦笑いを浮かべながら言う俺に……ゆかりは今までの翳りを吹き飛ばし、嬉しそうに笑って言った。


「うんっ。まかせて~」

 当初は葉柄と灯が入れ替わりながらの一人称で書いてました。

 ただそれだと感情移入し辛いという指摘を受けたので、三人称に書き換えてました


 途中で挫折したけどね♪


 スランプ中に書いたものだからまぁこんなもんか…

 と思いながら読み直してみると、スランプ中とか関係ない面白さだって言う…

 つまりどうあろうと面白くないって事だよ


 ある出版社に応募したとき、文章をぼろっかすに叩かれてからスランプだけど、結局何も成長していない。

 そして次に投下する奴もコレと同時進行してたものだっていう…


 でも次のはもう書いたままをコピペしていくかなぁ…

 もちろん改行とかはするけど

 その投下はいつにするかなぁ…とりあえず今回みたいに一年後、ってことはないようにします。

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