病院はどちらですか?
「もしもし、病院ですか。ここに重病の患者g。」
「フッ。させるか。」
そう言って、僕の右手から携帯を奪い去る、生徒会長。この姿を見て、彼のことを生徒会の中でも一番偉いくらいについている、生徒会長だと誰も思わないだろう。だって、やったこととか僕の携帯をひったくっただけだよ?しかも、確信犯で現行犯。仕方ない。
「あっ、僕の携帯……。お巡りさんこいつです。」
「うるせぇっ!」
僕の声に反応する生徒会長。僕は君を思って言ったんだぞ。どうせそのままそれをずるずる引き摺って、あとで、黒歴史になって後悔するんだ。それとも、彼はもう現代医学では救えないぐらいまで、遠くにいってしまったと言うのか?僕としても、兄がそんな風になってしまうのは残念だけど、もう、救えないのだから、仕方ないかな。僕だって、善意の押し売りをしたいわけではないし。
「はぁー、茶番はここまでにして、本番に入るぞ?」
「罪状は、窃盗罪です。」
「だから、もういいって!!」
ちっ。もう少し付き合ってくれたっていいのに。そんなんだから、お前はもてないんだ!!えっ?もてないんじゃなくて付き合わないだけだって?その通りだけど、ここでぐらい愚痴を言わせてよ。同じ顔なのにちっとももてない僕なんだから。僕の思考を遮るように、彼は言葉を口にする。
「でだ。俺と、お前で異世界に行くぞ。」
「行くぞって、えーと確かアレガルドだっけ?もうあそこにはようないでしょ?」
彼は僕の言葉を聞いてそして、鼻で笑う。ウゼェ。最近キャラが迷走気味の癖に何やってんだ。そんなんだから、もてないんだ。だから、お前はもてないんだ。大事なことなので二回言いました。というか、本当にこいつ生徒会長か?生徒会長として求められそうな威厳とか、尊厳の欠片がちっとも見えないんだが。これだったら、まだ生徒会長就任直後の方がさまになってたぞ。はぁー。僕はため息をつく。なんで生徒会長は、こんなにも残念なんだろう。僕のせいではないことは確かなはずなんだが。残念生徒会長……。僕を鼻で笑った生徒会長は、続きを口にする。
「次に俺たちがいく世界は、イセレグルって異世界だ!!」
「イセレグル……?まぁ、この前と違う世界なのかもしれないけど、僕がいくりゆうはないないよね?」
「いや、副会長として来てもらう。これは生徒会長命令だ。」
とうとう、職権乱用し始めたよ……。めんどくさい。それなら僕は副会長権限を発動させ……、そんな便利なものないですか。そうですよね。どうして僕は、こうやってめんどくさい出来事に巻き込まれる人に、巻き込まれるんだ。僕は巻き込まれているのが九割を越えるからって、お前だけに巻き込まれてる訳じゃないんだぞ!春休みなんて、知らないところで巻き込まれてたんだぞ。ドロドロした三角関係に巻き込まれたり、皆がやろうとしない委員会を五つも請け負ってたんだぞ。まぁ、平委員の僕は特に忙しくもなかったけれど。あのときは何を請け負ったかな。風紀委員、図書委員、委員長、保険委員、美化委員。誰もやらないからと五つも請け負ったのが間違いだったな。と、昔の自分の過ちについて考えると、生徒会長は言葉を続ける。
「とにかく、これは決まってる出来事だ。反論は認めない。」
「はぁー。分かったよ。結局、巻き込まれるんだもんなぁ。」
「くくっ。安心しろ、助っ人を呼んである。」
いや、別にお前と二人だから命の危険とかは感じていないんだけど。というより、僕足手まといだろうからやっぱパスしていい?え?駄目?そうですか。彼は、生徒会の装飾の飾られた重そうな(実際重いと何度でも言いますよ。)扉を開き、そこには、二人の人影がーーー。
「って!舞さんと、火凜さん?」
「あぁ。この二人だぞ。四人パーティがいいと思ったからな。」
「や、だからってどうしてその二人を……?」
他にも、強そうな人ならいそうなのに。いや、この二人が弱いわけじゃなくて、むしろ僕よりも強いんだけど…。そもそも、火凜さんは僕と同じく生徒会役員で生徒会長はさっき、来ないって言ってたばっかりじゃ……。
「うん、俺も何人か候補がいたんだけど、誰も異世界とか知らなさそうだから。」
確かにそれもそうか。と、今になって思い至る。確かに、今から異世界にいくんだ、ついてきてくれって言ったて誰もついてこない。逆に僕みたいに携帯電話で病院に電話をかけるかもしれない。着いてきてくれるのはそうだな、異世界に行ったことのある生徒会役員と僕たちと一緒に異世界に行った風紀委員長の舞さん、それから、異世界人のメリアさん、そして、図書委員長の彼女、刻読 意読さんぐらいかな?
「て言うかこの二人がいるんだったら僕要らなくない?」
彼は口を耳元に近づけて話す。耳に吐息が当たって少しくすぐったいのだが。
「(女子二人と男一人とか俺、無理だから。)」
以外や以外。僕も彼とは長い間一緒に暮らしているけど知らなかった。
彼は以外と、人間味のあるやつだった。
読んでくださってありがとうございます!!
実はまだ異世界編は終わっていなかった……。何て雰囲気じゃないですね。いつものようにコメディーに。どうしてこうなった。主人公くんがいけないんだ!!