政略結婚ってむずくね
というわけで、織田とは正式に和議を結んだ。
これで一安心…とはいかず、半兵衛の言う通り浅井朝倉と同盟を結ぶ策を考えることになった。
「信長はどう出るか…皆はどう思う」
三人で話していても始まらないということで、一色家みんなで集まって知恵を絞ることに。
「やはり、織田家の女を人質として嫁に出すのでは?」
下野守が恐る恐る口に出す。
「まぁ定石だな。それが一番手っ取り早い」
この時代の人は各々好きな相手と結婚できなくて、家と家をつなぐ政略結婚とのこと。
同盟の証拠や和平の条件として利用されて、武士の家の女性たちは敵になるかもしれない相手へ嫁いでいたらしい。
俺は恋愛あんましたことないから分かんないけど、好きになれるもんなん?
俺は無理かも。
「織田に嫁に出せる女子などいましたかね」
稲葉伊予守殿が唸るように言う。
確かに。そんなばかすかばかすかお嫁に出していたら女の人足りなくならない?
すると俺の横にいた隼人佐が答えてくれる。
「このように大事な同盟ならより己に近い女を使うかと」
「近い…娘とか妹とかか?」
「信長の娘はまだ幼子です。嫁がせるなら妹…しかも同じ腹から生まれた妹かと」
なるほど。
信長は正室の子、つまり同じ腹から生まれた女の子も正室の子。
いくら先代の話といえども、正室か正室じゃないかはこの時代大きいだろう。
それにやっぱ、自分と同じお母さんの方が人質レベルとしては高そう。
「となると…二人考えられますな」
「実の妹となると浅井朝倉も断らないのでは…」
暗い雰囲気が部屋を包んだ。
みんな下を向き、考えこんでしまった。
確かにこのままでは織田と浅井朝倉との同盟は叶わない。
その時、物凄い勢いで襖が開けられた。
そばに控えていた久作が刀に手をかけるが、その訪問者は随分可愛らしかった。
「兄上!」
「お貞…どうした」
一つ下の妹だった。
可愛い顔は赤くなっており、鼻息がフンフン漏れていた。
「兄上、お困りですか」
「聞いてたのか」
「申し訳ございません。しかし私に妙案がございます」
家臣皆が開けたスペースに座り込む貞。
そして急に顔を上げたかと思えば、こちらを見上げながら宣言するように言った。
「私を嫁にお出しください」
…
「ん?」
「姫様…?」
みんなポカーンとしている。
「ですから」
そしてもう一回、大きく高らかな声で妹は言った。
「私を、浅井朝倉どちらでも構いませぬ、嫁がせてください!」




