好みは似るって言うけれども
先日、父上が家督を継いだ。
なんでそんなに他人事みたいなのかって?
いや、なんか未だに凄さが分からないというか…。
自分のお父ちゃんが殿様ってしっくりこないというか…。
いや、転生した時のほうがよく分からなかったけどね?
しかも戦国時代?ぽいし。
あの時は訳が分からな過ぎて逆に落ち着いた。
「あぅ」
「若君、姫が落ちそうですよ」
あ、やばいやばい。
もう一度しっかり持ち直す。
二人目の妹、生まれました。
八歳差である。
「兄上、私にもお元を抱かせてください」
貞ちゃんも気になっている様子。
ちなみに今回生まれた元ちゃんは貞ちゃんと七歳差である。
「首がまだ揺れますのでお気を付けて」
「分かってる」
横から注意しているのはお常さん。
彦丸のお母さんである。
そして元ちゃんの乳母さんでもある。
「…可愛らしゅうございませんか、兄上」
うん、可愛い。
元ちゃんはもちろん、貞ちゃんも可愛い。
前世俺妹いたのかな。
いたとしてこんなに兄バカだったのかな。
ふと昔に思いをはせていると、スッと襖が開いた。
「あら、若君。貞姫様まで」
美人登場である。
ここで説明しよう。
例によって元ちゃんのお母ちゃんは俺のお母ちゃん、梅さんとは違う。
そして貞ちゃんとも違う。
つまり父上は戦国時代式ハーレム状態である。
この美人さんは元ちゃんの母親である。
「お久しゅうございます、お筑殿」
「失礼いたします、若君。姫君の様子はどうでしょうか?」
おっと、ここで俺が選んだ戦国びっくりルール第五位の発表だぜ。
この時代は側室、いわゆる正室以外の奥さんは母親と認められないんだぜ。
なのでお筑殿は元ちゃんの産みの親だけど、馴れ馴れしくできない。
く~厳しい~
貞ちゃんが寝てしまった元ちゃんをお筑殿に渡す。
…こうしてみると父上の好みが透けて嫌だな。
かわいい系より美人系かぁ。
うーん…分からなくはない。
「お元は父上にもうお会いになったのですか?」
貞ちゃんがお筑殿に聞く。
腕であやしながら、母親のその人は答える。
「はい、昨日の晩初めてお顔を見に来ました」
まぁバタバタしていたから仕方ないか。
でもあの人親バカの気があるから、もっと早いうちに来るかと思ってた。
それほど忙しいんかな。
「いらっしゃったのは半刻程でしたが、一週間分可愛がっておりました。」
でしょうね。
でもあの感じを見るに、数か月は忙しいままかな。
「兄上、兄上」
「ん?」
「お元はいつ喋れるようになりますか?」
気が早いな。
「後一年程はかかるんじゃないの」
「一年…待てませぬ」
そんなに?
めっちゃうずうずしているけど。
「一番最初にあねさまと呼ばせて見せます」
あぁそういう…
「まぁ俺が先じゃない?」
「何故!」
「お貞は稽古を抜け出すような悪い子だから」
「んな!兄上ぇ!」
女性の名前は捏造です。




