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第十八話  忸怩たる思い

お読みいただきありがとうございます!よろしくお願いします。

予言の通り、王位継承第一位となったアルフォンソ王子は、フォルハス公爵家の令嬢との婚約破棄宣言と断罪を、舞踏会の最中、大勢の貴族の前で強行した。ルシタニア王家とはなんて馬鹿の集まりなのだろうと呆れる思いでいたものの、面白いほどに全ては予言の通りに進んでいく。


 排除の対象となった公爵家の令嬢は、ベネディッタ嬢が『サブヒロイン』と呼ぶベアトリス嬢と入れ替わり、公爵令嬢は人買いに身柄を売り渡される事となっていた。


 予言の通りであれば、フォルハス公爵家の三男であるクリスはベアトリスとカルダス領へと向かうはずだったのだが、こちら側が今後邪魔になると判断し、殺して川に沈めた。


 ここでコーランクールは、予言の通りに動く事を選ばなかったわけだが、遺体が沈むのを眺めるコーランクールの元にある報告が届く事になる。


 ルシタニア王家は、王子の断罪劇で舞踏会が混乱している最中に王宮を脱出し、コンドワナ大陸を目指して船での移動を開始した。


 舞踏会に参加しなかった大貴族と呼ばれる人々は家財道具一式を乗せ込んでの移住を始めており、その数は官僚、軍人、大商家も含めて、ゆうに1万を超えるだろうと告げられた。


 船の移動にはブリタンニア艦隊も護衛についており、我がメロヴィングは追いかける事が出来ない。ルシタニアの王家は王位継承権を含む、全ての権限を持ったまま新大陸へと移動し、その10日後には移動したルシタニア人に代わって、ブリタンニア軍一万八千の兵士がルシタニア王国に上陸した。


 ああ、ここからは思い出したくもない。

 全ては予言などというわけがわからない物を信じてしまったこちらに非があるのだから。


「女を幾人か戦列艦へ連れていくとの事ですが、こちらの船に乗せている者を移動された方がよろしいかと思います。何せ集められたのは生娘ばかりですからな」


 ブリタンニアの戦艦にはブリタンニアの皇子が二人乗り込み、アルジェイーナへの船旅を楽しむ事になっているのだ。

 ブリタンニアの海軍が皇帝を支持し、ブリタンニアの第二皇子、第六皇子が皇帝側へと回る。そのことを確約とし、アルジェイーナとブリタンニア海軍はこれから共同戦線を築くこととなる。


 ブリタンニアの第二皇子は好色で有名で、こちら側があてがったメロヴィング人の女優を片時も離そうとはしないのだが、他の女に食指を動かさないわけでは決してない。

 アルジェイーナ大公の歓待を今から楽しみにしているし、船の移動中も、女を侍らして楽しみたいと考えているだろう。


 揉み手をしながらこちらを見上げる男爵に、かつて娘の予言にあやかって成功を収めた姿はない。王族の暗殺を企てた者として指名手配され、追われる立場となっているからだ。


 ちなみに、暗殺に手を貸したベネディッタ嬢がどうなったのかコーランクールは知らない。おそらく王家の手に堕ちているだろうし、今頃死んでいるかもしれないし、死ぬよりも悲惨な目に遭っているかもしれない。どうなっているかわからない。


「特別な水タバコと幾種類か、丸薬の方も取り揃えておりますが、こちらにもお運びいたしましょうか?」


 奴隷商人のマルコと手を組み、白人女性の売買と麻薬の販売を取り仕切るボルボーン男爵は、隈の残った顔に卑猥な笑みを浮かべ、

「このような薬があちら様もお好きだということはお聞きしておりますよ」

と言って、クヒヒイヒと笑った。ブリタンニアの第二皇子のことを随分と調べているらしい。


「どんな女が集まっているのか直接見てみたい」


 麻薬もいいが、ブリタンニアの皇子たちは女好きとしても有名だ。生娘だから大丈夫だろうと考えれば痛い目をみる事になる。それなりに食指を動かせるようなレベルの女が揃っていれば良いのだが。


「男爵、高貴な女といえば、ピオーリョが連れてきた女達が調度良いのではないかな?」

奴隷商のマルコは自分の顎髭を撫でながら言い出した。


「コメルシオ商会がこちらの商売に絡みたいという事で、ワインやら女やらを手土産代わりに用意して持ってきたのです。ルシタニア王家に見限られて落ちぶれかけた商会が媚を売ってくるだけの話なのですが、貰うだけ貰ってみたら、これがなかなかの品のようでして」


「確か、新大陸に移動する事も出来ず、本国に取り残されたルシタニア貴族の令嬢だとかなんとか言っていたあれですな!確かに、興味を引く事が出来るかもしれません」

「ブリタンニア人ではなくルシタニア貴族の令嬢ですか?」


 見ればその女は、今、甲板を移動している最中だという。これから女達が押し込められた部屋へと連れて行かれるのだそうだが、満月の光を浴びて、女の髪が金まじりの蜂蜜色に輝いて見えた。


 やや吊り上がった猫のような琥珀色の瞳を僅かに細め、薔薇の花の蕾のような唇をひき結ぶ。滑らかな肌が月光を浴びて浮かび上がり、首元から胸元までの線が、ぞくりとさせるような魅力を讃えていた。


「悪役令嬢・・・」


 一年前、人買いに身柄を拘束されたまま行方不明となった公爵令嬢がそこに居る。

「待て!」

 コーランクールは声を上げながら一歩前へと進み出た。



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