009 ニーナとの出会い
今日の錬金で取り敢えず、オリーブオイルとリンゴ酢が出来たので、あと卵があればマヨネーズが出来る。
早く街に向かって出かけて卵を購入したいが、向かう先の名前も知らんし、街へ入るのもそのままシレッと入って大丈夫なんか分からんし、どうしょうかな。
いきなり捕まって牢屋行きは嫌やしなぁ、シロを取り上げられたりするのも嫌やし、街に近付いてから、入る人とかの観察をしといた方がいいかなぁ。
御者台に戻ってから、街へ向けて少しずつ進みながら、森の地図を作りつつ、いろいろ鑑定しながら進んで行く。
シロも馬車を引きながら、機嫌良さそうに早歩きをしている。
探知魔法で人の気配や魔物の気配を探りながら進んで行くと、人と魔物の気配が同じ場所に見える。
しばらく進むと、その場所が騒がしいのでシロを残し、コッソリ見に行ってみた。
すると14〜15才くらいの女の子が剣を振り回し戦闘をしている様だ。
相手はどう見ても5,6 匹のゴブリンのように見えるが、手を出していいのか悩んでしまった。
変に手を出して「私の獲物に手を出すな!」とか言われても困るし。
よく見ると、女の子は足を挫いているようで、見ていて危なっかしいので、ついつい魔法を使って助けてしまった。
このまま逃げてしまおうと、そっと離れようとしたが女の子の方がニコニコして足を引きずりながら近寄ってきた。
「待って、………あなたが助けてくれたの〜?…とても助かったわ〜」
「私が倒してしもたけど、よかったん?」
戸惑いながらも聞いてみた。
「いいよ〜助かったんだから〜このまま初めての冒険で死んじゃうかと、思ったんだもん」
そんなセリフが帰ってきた。
「私はニーナ、デルファンの街で冒険者になったばかりなの〜
薬草取りに夢中になって、森の中まで入って来ちゃって、気が付いたらゴブリンに囲まれちゃってたの〜助けてくれて、ありがと〜」
「私は、ユリっちゅうねん、この国は初めてやからこの辺りのことはさっぱり分からんねん。出来たらニーナちゃんの住んでる、デルフィンてゆう街まで連れてってくれへん?
向こうに私が乗ってきた馬車があるから乗って行ったらいいわ」
この街のことを知るいい機会なので、ニーナに聞いてみることにする。
馬車まで行くと、シロも大人しく座って尻尾を振って、愛想よくしてくれている。
ニーナもシロを見てびっくりしていたが、座って尻尾を振っているのをシロを見て怖がることもなく良い返事が帰ってきた。
「いいよ〜、ちょっとまってね、足の怪我に薬草つけちゃうから」
「そうや、怪我しとったんやな〜……足見せてみ〜」
言いながら足に触り回復魔法で治してしまった。
早く街に行って、卵を買ってマヨネーズ作りたいから。
「ユリちゃん、治してくれてありがとう〜。
回復魔法も使えるんだね〜。さっきの魔法も凄かったし、いいな〜。私はあまり魔法使えないから羨ましい」
「そうなん……あんまり魔法は使わん方がいいの?」
「そんなことないよ〜、ちょっと羨ましかっただけ〜、私は、強い剣士になるのが夢だから、魔法はそんなに使えなくても大丈夫だし」
「ほんなら良いけど、そしたら、行こか〜一緒に御者台でええか〜?」」
「うん、大丈夫、じゃあ方向はユリちゃんに言えばいいね」
2人は御者台に座りシロが馬車を引き街に向かっているとニーナが、いろいろ聞いてきた。
「ねえ、ユリちゃん。ユリちゃんってどこから来たの?
すごく変わった服着てるでしょ、どこで買ったの?それとも自分で作ったの?」
自分の格好を見ると、いつものトラ柄ファッションだ。
「可笑しいかな、ヤッパリ。…………とても遠いとこから来たんやけど、そこでは皆んなこんな服やってんけどな〜」
シレッと大嘘をついた。(大阪のオバちゃんだった私が好きだっただけです。)
「じゃあこの辺では買えないね〜。トラ柄がカッコいいな〜って思って」
「カッコええやろ〜、でももう手に入らんわ〜残念やけど。
ところで、ニーナちゃんの住んでるとこって、どんなとこなん?」
「デルファンの街?………いい所だよ〜、美味しいものもあるし、人も親切だし、冒険者の中には乱暴な人もいるけど、ギルマスはとっても強くてお父さんのお友達なの。
お父さんとお母さんはデルファンで、宿屋をやってるの〜、昔は二人とも冒険者だったけど、お父さんが怪我しちゃってから、デルファンで宿屋を始めたんだって。
それで私も冒険者になろうと思ったの〜。
ユリちゃんも強いけど冒険者なの?違うなら冒険者になるといいよ〜。
冒険者になると身分証になる、ギルドカードが貰えるから」
「身分証か〜それはいいな〜じゃあ私も冒険者になろかな〜」
「じゃあ、デルファンに着いたら、冒険者ギルドに一緒に行ってあげる。私もどっちみち、依頼品の薬草を持っていかなきゃいけないから」
「ありがと、ニーナちゃん」
「ユリちゃんは初めてデルファンに来たなら、泊まるとこ決まってないでしょ、なんだったらうちに泊まるといいよ〜、父さんの作る料理は美味しいし、お風呂もついてるよ〜。
うちの宿の売りなの〜」
「風呂付、美味しい料理、楽しみやな〜。
ところで料金はおいくら?シロも一緒に止まることもできるん?」
これは聞いておかないと後で困るからな。
「食事付きで一泊銀貨二枚で〜す、シロちゃんの分は銀貨一枚になりま〜す。
従魔用の厩舎もあるから大丈夫だし、馬車も停められま〜す」
「うん、泊まることにする」
これで、しばらくは、デルファンで頑張って、魔物狩りして、魔石と現金を貯めよう。
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