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私の秘密  作者: 響子
第2章
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運命の一日


2月14日、それは恋する女の子にとってはとても大切な日だ。もちろん男の子だってもしかして……なんて淡い期待もあるだろう。私はその日を一生忘れない。





4ヶ月に入ってすぐ、胎嚢に異変が起きた。先週と大きさがほとんど変わらず胎児の心音が確認できなかったのだ。


「たまたま確認できなかったということもあるので3日後にまた来てください」


その日付き添ってくれたのは姉だったが、私はその事実を受け止めることが出来なかった。その前日から祐輔は出張に出かけていて帰ってくるのは3日後……




――私に似てへそ曲がりで変な方向にいってるだけだよね?

――3日後は普通に見れるよね?




一縷の望みを託して私は3日後、再度診察してもらった。だが胎児の心音は確認されず、胎嚢も大きさは変わっていなかった。私達の子供は私のお腹の中で亡くなっていた。


ウソだ!そんなことあるわけないよ!だって先週まで心音も確認できたし、10センチくらいまで育ってたんだよ?エコー写真もあるんだもの……どうしても現実を認められなかった。

私は出張から帰ってきた祐輔にすべてを話した。


「ねえ、ウソだよね?先生の冗談?もしかしてドッキリとか??」

「…………」


彼は何も言わずただ私を抱きしめてくれた。わかっている、本当はわかっているのだ。ウソでもなくて冗談でもなくて本当だってこと、だけど認めたくなかった。翌日私達は再度病院に行き、医師の説明を受けた。


「このまま放置しておくと子宮に細菌が繁殖してしまいます。出来れば早めの処置したほうが……」


ベッドの空き状況などを確認してもらい、手術は2月14日で入院はその2日前に入院するようにといわれた。



私はやはり罰を受けているのだろうか?結婚している人と付き合ったこともあるし、もしかしたら知らないところで彼女がいる男の人とセックスしていたのかもしれない。悦子に言われたように『刺される』ほど恨まれていたのだろうか?その時ほどあの荒れた生活を悔やんだことはなかった。




手術当日、私は誰も面会にこないで欲しいと頼んだ。姉はとても不安そうな顔をしていたが、私はその日だけは姉達に会いたくなかった。

入院した日、4人部屋だった私のところに問診にやってきた看護士さんと一緒に婦長さんがやってきて個室が空いているのでそちらに移ったらどうかと勧められた。たぶん私以外のみんなは妊婦さんの中で私だけ流産の手術をするのを気にしてくれたのだろうと思う。私は大丈夫ですとだけ答えた。


手術はあっさり終わり、私はその後の経過や検査のためしばらく入院することになった。経過は順調で特別問題はなかった。そして1週間後の外来の予約をして私は退院した。

退院の時、姉が迎えに来てくれ、私はどうしても帰る前に寄りたいところがあったので少し遠回りして家へと戻った。





「ただいま」

「おかえりなさい」


祐輔は私におかえりと言って抱きしめてくれた。夕食後 部屋で仕事をしていた祐輔に声をかけた。


「コーヒー持ってこようか?」

「ああ、頼む」


私は彼のマグカップを持って部屋に行くと机の上に置いた。彼がマグカップを片手に持つと私のほうを振り向いた。私は彼に今日もらってきた紙を差し出した。それは離婚届の用紙だった。




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