夢のような幸せの中で
妊娠検査薬を持った手が震えている。私はうれしさのあまりそれを携帯で撮影すると祐輔へのメールに添付した。落ち着いて考えればトイレでそんなことをしている私はかなりおかしいと思われたが、5分もしないうちに祐輔は電話をかけてきた。あの画像で私の言いたいことがわかったらしい。
「今日は帰るまでベッドで寝てなさい」
「でもまだ買い物とか…」
「夕飯の買い物は俺が帰ってきてから行けばいい。荷物とか持って転んだら大変だ」
私は祐輔の心遣いがとても嬉しかった。
翌日私達は大学病院の産婦人科を受診する事にした。理由としては私がもともととても妊娠しにくい状態であったこと、それと1度目が流産してしまっていること。前日の夜2人でじっくり話し合った結果だった。ともかく妊娠検査薬は陽性を示していたが、きちんとした専門医の受診は不可欠だ。
「おめでとうございます。妊娠8週くらいですね」
医師にそう告げられた時の嬉しさは例えようがないくらいだった。祐輔の子供がお腹の中にいるのだ。まだ自覚もないし、大きくもなっていないお腹だが小さな命がここに確かにあった。
私達は家に戻ると祐輔は私をそのままベッドに寝かせた。私もそれに逆らうようなことはしなかった。もう後悔はしたくない。この命は絶対に守りたい。
姉夫婦には祐輔の口から私の妊娠が告げられた。そしてやはり私の体を考慮して出来るだけ安静にさせたいということをいうと、姉夫婦は自分達のことのように喜んでくれて 祐輔が病院に連れて行けない時は自分達が責任を持って連れて行くと言ってくれた。
正直病院からは来週も来るようにいわれていたし、祐輔も仕事は忙しそうだったのでとても助かる申し出だった。
仕事もかなりセーブして、買い物も誰かと一緒で荷物なんてほとんど持たされなかった。そして年末は私の体調を考えて祐輔の実家へ行くのは遠慮することになった。あちらのご両親には祐輔の仕事が忙しくて行けないと言ってある。一度流産しているので安定期に入るまでは妊娠の報告はしないでおこうと祐輔が言ってくれた。
新年は2人で迎え、近所の安産のご利益があるといわれる神社で初詣をした。
「ねぇ 男の子かな?女の子かな?」
「ひなたはどっちがいいんだ?」
「どっちでもいい、元気で産まれて来てくれたら どっちでも…」
「そだな、男の子でも女の子でもどっちでもいいな」
私達は産まれて来るであろう子供のことを色々考えていた。




