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私の秘密  作者: 響子
第1章
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彼女への願い(向井悦子side)

―――ひなたと樋口が別れた…


私達にひなたが説明した口ぶりからひなたの方から別れを切り出したらしい。そしてひなたはひなたの姉夫婦の住む名古屋へ引っ越していった。私やあかりは全く意味がわからなかった。だってあんなに仲がよさそうで上手くいっていたみたいだったのに…

たぶんひなたは私達に何かを隠している。それが何なのかはわからないが、頑なに『結婚はしない』と言っていたことが気にかかる。私はあかりに相談してみるが あかりもわからないと言う。


「あのさ…旦那から聞いた話なんだけど…樋口係長見合いしたらしいの」


どうやら上司から勧められた話らしい。確かに上司からの話では断るのはちょっと厳しいかもしれないが、もう樋口はひなたのこと忘れてしまったのだろうか?




ある日突然偶然はやってきた。年末会社の忘年会が居酒屋でいつものように行われた。


「向井ちゃん、ビール~」

「はいはい、ビールですね」

「俺は焼酎!芋がいいな~」


もともと女の子が少ない職場だが、男どもは酔っ払いばかりでやれ酒が足りないだの食べ物がないだの…私はいつも飲むどころではなく世話係だ。やっと一息ついてトイレに行こうとしたところで見覚えのある人に会った。樋口だった。


「お…ひさしぶりです」

「ああ、お久しぶりです」


話すこと、聞きたいことはあるのに何をどう言ったらいいのかわからずにいた。後ろからまた酔っ払いの会社の人が何か言っている。


「それじゃあ…」


頭をぺこりと下げてもと来た方へ帰ろうとすると


「話がある。角の喫茶店で待ってるから」


そう樋口はいった。私は振り向いて頷き、部屋へと帰って行った。



それから1時間ほどで飲み会は終わった。いつもなら2次会までは付き合うのだが、今日は樋口を待たせている。みんなから薄情だとか付き合いが悪いとか言われたが正直酔っ払いの相手をしている気分ではなかった。



「遅くなりました」

「いや、大丈夫。僕こそゴメンね。急に呼び出して…」

「いえ、酔っ払いの相手をする気分じゃなかったので助かりました」


そういうと少しだけ樋口は微笑んだ。


樋口とひなたが別れて3年が過ぎている。見合いの話を聞いて1年くらいになるからもしかしたら結婚するのかもしれない。


「ひな…佐伯さんは元気にしてるのかな?」

「ええ、お兄さんの会社でがんばってるみたいです。あかりから聞いてないんですか?」

「村田君とは部署も違うし、わざわざ聞きに行くのも…ね」


確かにそうかもしれない。私は頼んだミルクティを一口飲んで窓を外を見た。そろそろクリスマスで行き交うカップルはみんな楽しそうだ。


「樋口さんは結婚されるんですか?」

「どうして?」

「だってあかりがお見合いしたって言ってましたよ」

「ああ、あの話はなくなった。そして目が覚めた気がした」

「目が覚めた?」

「うん、諦めないことにしたんだ。ひなたのこと、ちゃんと納得するまで諦めないことにした。少なくとも俺はひなたのこと、今でも好きだから…」



―――よかった…


樋口が諦めてないことを知って私は安心した。きっと樋口ならひなたを幸せにしてくれるはずだ。私はひなたの過去の話をした。男を信用していなかったひなたが樋口は全面的に信用していたこと、何か絶対理由があって別れることを選択したこと、そして…たぶんひなたは別れる寸前まで樋口のことが好きだったこと…








年が開けると意外な出来事が待っていた。私とひなたの専門学校の後輩が結婚すると言う。それも相手は村田と同じ会社の人で村田の先輩でもあり、樋口の部下でもあった。


「みき、絶対ひなたを結婚式に呼ぶのよ!何しろあんたの結婚相手を紹介したのは私とひなたなんだからね」


半ば強制的にそう言ってひなたの住所を教えた。ひなたから案の定連絡が来て私があかりと3人で会いたいからというと何とか納得してくれた。


「樋口さん、ひなたを呼び戻すことに成功しましたから後はよろしくお願いします」

「ありがとう、助かる」

「絶対離したらダメですよ」

「ははは…出来るだけのことはするつもりだよ」


最悪 家に監禁するかもしれないけどその時はよろしくね と言った樋口が冗談に聞こえなかったのは気のせいだと思いたい。

後はひなたがこっちにやってくるのを待つだけ、私が出来るのはきっとそれだけだと思うから…



   

樋口サイドの前に親友、向井悦子を書かせていただきました。次は間違いなく樋口サイドです^^;;;

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