第一話 ボーナスゲーム
第一話 ボーナスゲーム
十年後。俺、一ノ瀬悪魔と赤坂凛はとある中高一貫校に通っていた。
「みんな!道を開けて!あの御二方が通るわ!」
一人の女子生徒が声をあげた。
「赤坂様のあの綺麗な赤い髪いつ見ても飽きないわ。」
「心が癒される。」
「えっ!やばい俺、赤坂様と目あったんだけど!寿命めっちゃ伸びた!」
「一ノ瀬様~こっち向いてください~。キャア~!」
だるい。あ~だるい。
これも全部凛のせいだ。
俺は日本の財閥の中で最も規模が大きい四つの財閥、四財閥と呼ばれる財閥の一つ、一ノ瀬財閥のトップだった。ちなみにトップになったのは俺が十二歳の時だ。
俺は昔から目立つのは嫌だったので一ノ瀬家の次期当主という事は今までずっと隠していた。だが、この学校に入学したら幼馴染の凛が他の生徒に暴露した。ふつう誰も信じないのだが、凛は有名役者という事もあり人気者だったので他の生徒はすぐ信じて噂は広まって、今となっては目立つどころか人気者になりすぎて様付までされてしまっていた。
「ふふふ、ありがたいと思いなさい。私がいなければあなたは今頃、隠キャボッチの便所メシeverydayの万年友達0になっていたでしょうね。」
凛はドヤ顔で言ってきた。
「別に頼んでない。お前はいつも勝手にいろいろとしすぎだ。l
「嬉しいくせに。」
「決めつけるな。」
俺は吐き捨てるように言った。
「そういえばこの学校、結構偏差値高いわよね。私達って結構賢いんだね。」
「そうか?」
「悪魔は天才さんだから分からないのよ。」
「お前はいつも他の人の答えカンニングしてるだろ。」
「うるさいわね。そんなに天才ならなんで留学しないの?お金に困ってるわけでもないでしょう?」
「お前が心配だからだよ。」
「かっこいい~。もしかして好きなの?」
凛がニヤニヤしながら言ってきたので俺は
「ああ。好きだ。」
と言ってやった。
その瞬間凛の顔は赤くなり
「ふぇ!?えっ、あっ、そ、そうだもうすぐ撮影の時間だった!ごめんだけど先生に早退するって言っておいて!」
と焦った様子で行ってしまった。冗談のつもりだったんだけどな。
ちなみに今はもう放課後でいつも撮影の時はこの時間帯だから照れ隠しだけというわけではないだろう。
「ったく、事前に先生に報告しとけよ。はぁ、」
「ったく、頼むから事前に俺に報告してくれよ。予定が狂うんだよ。」
職員室に行き、撮影のことを先生に話すと先程俺が言ってたような言葉が返ってきた。
「すみません。こちらからも注意しているのですが一向に聞かず。」
俺は申し訳なく言った。
ちなみに俺はこれでも先生などの目上の人に敬語を使う。この先生も俺にタメ口で話している。
「いや、一ノ瀬は悪くないぞ?」
「ですが、俺が凛のことを甘やかし過ぎているのも事実です。」
「はぁ。もう仕方ない。すまんが、撮影の報告は事前に赤坂に聞いてきてくれないか?」
「分かりました。」
そう言って俺は職員室から出た。
そして、帰る時だった。俺は靴箱で靴を履き、校舎から出ようすると、突然体中ビリビリとし、未来の電子機器みたいな画面が出てきた。もちろん他の生徒にもその画面がある。
そして画面の中には一人、白髪の少女が立っていた。それに綺麗な虹色の目にはなんとも不思議で文字が描かれていた。右目には邪、左目には神と描かれている。
「174230528203738905019171802823034091055820389190468709939301627303637701107637番目の世界線の皆!こんにちは!あるいはこんばんは!私は邪神だお~!」
邪神と名乗った少女はニコニコしながら言った。
周りにいる生徒たちはザワザワと騒ぎ始めた。
そりゃそうだ。こんな宙に浮いて何故か触れない未来の電子機器みたいな画面は少なくともふつう誰も見た事ないだろう。
「突然でごめんだけどこの世界と67187023910591034817083720923810897109198105623032409816305746708718019837033930564710890671番目の世界線、つまり剣と魔法の世界を今から統合しちゃいま~す。」
「でも、この世界の人間はほとんどがクソ雑魚じゃん?障害者とか高齢者もいるだろうから、この世界の人にスキルっていう異能力を付与するね。」
「まぁ、厨ニ病や人生に飽きている人や人生オワタっていう人にはいいプレゼントでしょう。」
「じゃあ、今から統合するからね~。あとスキルの事とかは一緒にみんなの記憶に送っとくから。」
「では、カウントダウンGO!3,2,1,統合スタート!」
そう言い、邪神は指をパチンと鳴らすと目の前が白くなり意識が途絶えた。
目を覚ますと、俺は保健室のベットに寝かせられていた。
横にはクラスメートが何人か椅子に座っている。
「良かった。悪魔様だけ起きるのに長かったので心配しました。」
クラスメートの一人がそう言うと、俺は起き上がった。
「一番先に起き上がった奴との差は?」
「えっと……十五分くらいです。」
俺が聞くと、もう一人がそう答えた。
「そうか……。」
俺はそう言い、ベットから出て保健室から出ようとする。
「どこに行くのですか?」
「モンスター狩り。」
「危険です。モンスターは弱い奴はいますけど群れてるんですよ?」
「おい、まだ気付いてないのか?」
「はい?」
「目を覚ます時間が遅いほど、スキルが強いんだよ。他の生徒の表情を見ると自信の強さでスキルの強さが分かる。そして起きた時間の遅さをそれと比べると大体が比例する。」
「なるほど。この学校の生徒はあまり自信とかを表情に表さないので分かりませんでした。」
「まぁ、若干見分けがつくからな。」
「起きた時間も見分けたんですか?」
「あぁ。」
「悪魔様は強いんですか?」
「まぁな。だから安心しろ。」
「そうですか気を付けてください。」
そう言われ、保健室から出た。
正直、こんなスキルがなくても、大体は勝てるだろうが、俺は三歳までにほとんど全てにおいて”完璧”と言われるところまで成長したのだから。
例えば零歳五ヶ月でバク転ができるようになったり、三歳で学者レベルの学力や知識を得たり、芸術などではプロ顔負けの作品を作ったりして、一般的に天才と言われる者に天才と言われ続けていた。
そして次第にやることがなくなっていき、世界に飽き飽きしていた。しかし今は気分が凄く高い。だってそうだろう?全クリしたゲームにボーナスゲームが追加されたんだ。
「じゃあ、ボーナスゲームを始めようか。」
俺はぼそっと呟いた。




