第十三話 どっちに付くべきか
第十三話 どっちに付くべきか
「上園寺、お前本気か?」
会議室に男の声が響く。ここは群馬県のある市役所。
「そうだけど。なに?」
上園寺久美は部下達にある提案をしていた。
それは一ノ瀬悪魔の下に付く事だ。
「何で一ノ瀬悪魔なんですか?まだ高井裕也なら分かるんですが。」
「そうだ。頭おかしくなったのかよ!」
部下の一人は怒鳴り、立ち上がった。そりゃそうだ。下に付くなら、たった一日で三つの都道府県のボスモンスターを倒した高井裕也の派閥と今さっき二つ目の都道府県を手に入れた一ノ瀬悪魔の派閥なら、確実に高井裕也の派閥の方がいいだろう。
「高井裕也、ね……。」
「何だよ。」
「いや、何で一日と言う速さで三つの都道府県のボスを倒せるほどの実力を持っていながらそこから侵攻しないのかしらと思ってね。」
「それくらい争い事が嫌いなのでは?」
もう一人の部下は首を傾げた。
「争い事が嫌いなら派閥のボスになんてならないでしょう。」
「んで、それがどうしたんだよ。」
「本当は凡人レベルの実力なのにたまたま何らかのことでボスモンスターを倒してしまったという事なのかもしれないわ。まぁ、とりあえず、実力が疑わしいということよ。」
「ひとまず、理由は分かった。だがな、確証はあるのかよ。」
「……無い。」
久美は俯きながら言う。
「チッ。仕方ねぇな。まぁ、昔っから俺らはお前について来たからここまで来れたんだ。従ってやるよ。」
「そうですね。私も同感です。」
「ありがとう。早速みんなにパチ端で連絡して頂戴。」
「はい!」
部下の一人は部屋を出て行った。