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第10話

その日のバイトも終わり、バックヤードで俺とレンさんは帰り支度。


「ねね!アタル君!あたし明日休みだからさ~。」


「ウンウン。」


「ちょっと時間ある?公園で話しよ!」


「え!!??」


そうなったら、取るものも取らず、サッサカサと着替え、

自転車を出して、レンさんを待った。


「お待たせ~!」


「マッテナイマッテナイ。今来たとこ!」


「うふふ。何それ…。面白い!」


はぁ~かわええ~…。


気分は高潮!並んで歩くとはたから見ると恋人同士!

いいだろ~。こんなかわいい子と一緒なんだぜ~!

…ちょっとオレより背が高いのが気になるけど…。


駅前公園の噴水のあるベンチに座り

あま~いジュースを二人で飲みながら…


「さてさて~。話というのは~~~。」


「(ゴクリ)ウンウン。」


「アタル君の初恋の相手はどんな人ですか!?」


「(ビク)え???」


「すっごいかわいいんでしょ?同じ学校?」


「いや…。別…。」


「歳は?下?上?」


「同じ…。」


「キャーーーー!!!」


「???」


「で?で?で?どこで知り合ったの?」


「うーーーん…。」


「どこ?どこ?どこ?キャーーー!!見てみたい!」


そんなこと言われたって…。

困っちゃう…。


「うーーーん…。レンさんでは見れないかなぁ…。」


「え?どうして?遠距離?あ、付き合ってないんだっけ。写真は?」


「もってないし、別に遠距離でもない。」


「え?どーーーしてみれないの?」


「うーーん…。」


「ねね。教えて、教えて~!」


言うか…?言っちまうか?「あなたです!好きです!」って言ってしまっていいのか?

くそぅ…どうしたらいいんだ…。今じゃないような気がする…。

でも、今のような気もする…。


ああ!言ってフラれたら、これからのバイトもキツくなるだろうしなぁ~…。

吉沢さんの存在が大きい今、フラれる確率90%以上!!


どうする俺!教えてくれ!ユーヤ!

しかし、レンさんは、全然自分のことかもしれないって万一にも思ってないんだろうなぁ…

これじゃぁ、確率はほぼないんだろうなぁ…


「あれ~?ちょっと無理かな?フフ。ごめんね。」


「うーーーん…。」


「もしかして、あたしだったりして!キャ!」


「!!!…………えと………………そうです…。」


「え!!!??」


しまった…。言っちまった…。


「あたし…?あたしなの…?」


「そうです!レンさんです!」


こうなったらヤブレカブレだ!くそぅ…止まれぇ!ヒザの震え!


「バイトに入った時からずっと可愛らしいと思ってました!話し方も!しぐさも!全部!全部好きです!あなたと…!付き合いたい…!!」


レンさんは、目をまんまるくして完全にだまってしまった。


レンさんが答えるまで、ただただ心臓がドキドキとなっていた。


「あのさ…アタル君がバイトに入ってきた時に…、なんてカッコいい人が入ってきたんだろうって思ったの。M高生だし、やっぱ頭いいし、カッコいいし、礼儀正しいし…。」


「う、うん。」


「同じ高校の友だちにも言ったら、こっそり見に来たりして、めっちゃカッコいいね!レン!ラッキーだねって…。」


「え?そーなんだ。…へへ…。」


「ホント。昨日、アタル君に告白した人の気持ち解る…解るよ…。その人、すごい勇気出したんだろうなっ…て。」


「じゃ、じゃぁ…。」


レンさんはポケットから何かを取り出した。


「ハイ…これあげるね…。」


「え?…ハンカチ…。」


「…うん…。あたし今、好きな人いるんだ…。」


「…あ…。うん……吉沢さん……。」


「そう…。あさっての土曜日ね…デートする約束なの…。ここ待ち合わせで…。」


「…そ…なんだ…。」


「だからゴメンね…。」


「いや…。いいんだ…。レンさんの気持ち…だいたい分かってた…。」


「ウン…。また来週…バイトで…。」


「う…うん…。じゃ…また…。」



…クソ…!…クソ…!…クソ…!


なんでだよ…なんでいっちまったんだよ…。

もうオシマイじゃねーかよ…。

バカ!オレのバカ!!


…あ…このハンカチ…

涙ふけって意味なのか…。


グズ……!チキしょう…。

あああああ…引き返したい…。

タイムマシンで引き返したい…。


大学行って…タイムマシンの研究してやり直したい…。

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