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第21話 こんなことある???

「フ、顔見せとしてはこれ以上ない完成度だったな……!」


 会議終了後、俺は一人先ほどのやり取りについての総評を行っていた。

 自画自賛のようだが、およそ完璧といって差し支えないだろう。


 悪の組織のライバルキャラとして相応しい野心の強さと得体の知れなさを見せつけ、第一位への挑戦状も叩きつけてきた。

 これで俺の組織への忠誠を疑う者は誰もいない。

 

「これまでは色々あったが、これからは練りに練ったルート構想に従って動いていく……!」


 理想のライバルキャラとしてのラゴウの一幕を妄想、もとい夢想する。


『これが黒十字騎士団の幹部、十剣シュヴェルトの力……! このままじゃ負けてしまう!』


『フ、その体たらくはなんだ。我が宿敵にしては情けない姿だ』


『き、キミは!? どうしてここに!?』


『勘違いするな、別に貴様を助けたわけじゃない……ただ、貴様を倒すのはこの俺だ。こんなところで倒れられても困る。それだけの話だ』


 みたいなね。


 一年後、ゲーム本編ストーリーが開始されれば待ちに待ったライバルキャラとしての人生が始まる。

 失敗は許されない。

 ここまでの努力が水の泡にならないよう慎重に立ち回らなければ。


「ラゴウ、サク姉が呼んでる」


「ん、ああ、了解した」


 最大の相違点であるサクナの存在は気掛かりだが、あいつは俺の懐刀なのだ。

 原作のラゴウにサブキャラがセットでついてきた、と考えればいい。

 セツカのことも、まあセツカ√でさえなければ大丈夫だろう。


 そう自分に言い聞かせながら、支部基地に繋がる魔法陣に乗り込もうとして、


「あ、ラゴウ、そこじゃないよ。こっち」


「は?」


 何故かセツカに静止され、人の気配が存在しない奥まった場所に連れて行かれた。

 本部基地は地下にあり、建設にあたり使用された地下坑道と繋がる通路も存在する。

 その通路の壁が、一部だけどんでん返しと呼ばれる回転扉となっているのだ。


 ここはその内部の隠し小部屋だった。

 そこにある魔法陣に乗せられる。

 転移時の光に目を瞑り、次に開くと、そこには謎の施設が広がっていた。


「ここは……黒十字の廃棄施設か」


 黒十字はシュテッケン法国を掌握している。

 しかしそれでも大規模な建築を行うとなると、どうしても外国からの資材の輸入等は避けられない。

 不自然な物の動きや作業の気配から、黒十字騎士団という組織の存在がバレかねない。


 そこで土砂の運び出し等、本部建設は名目上『鉱山作業』として行われていた。

 俺がかつてレベリングを行っていた森のある場所が、まさにそのダミー用の鉱山の近辺だ。


 ここはその鉱山街にあったマグス教の廃教会。

 その地下聖堂、黒十字団員用の施設だ。


「うん、サク姉が密かに見つけ出したんだって」


 ゲームだとそこまで精密なマップとして作り込まれておらず、単にちょっとした隠しアイテムが手に入る程度の場所だったはずだが。


「ゲームそのものではないのだから、作り込まれていなかった部分も存在して当然か」


 サクナもよくここの存在に気がつけたな。

 こんなところに連れてきて何がしたいんだか。


 薄水色の羽織から伸びる手に引かれるがまま、地下聖堂の大広間に当たる場所に連れて行かれる。

 そこには信じ難い光景が広がっていた。


「──お待ちしておりました、ラゴウさま」


 黒十字の隊服の上に桜柄の羽織を着たサクナの姿があった。だがそれは問題じゃない。


 その後ろに、人が大勢いた。

 百はいないが、十人や二十人といった小規模でもない。その倍はいる。

 そんな人の群れが綺麗に整列して、俺がいる講壇のある壇上に続く段差の下で跪いていた。


「ようやく来ましたか。共犯者であるアタシを待たせるなんていい度胸してますね、オマエ」


「ふん、相変わらずいけ好かない奴だ」


「何故アベリアが……それに貴様はルートヴィヒ・シックザール、生きていたのか!?」


「ああお陰様で。君の部下に助けられた。その見返りとして、奏者(Rivale)である君に力を貸すことになってしまったが……」


「先の昇格試合の際、ルートヴィヒさまの命を助ける代わりに我らが組織に勧誘致しました。魔剣使いは戦力として申し分ありませんから」


「……組織……?」


 そんな馬鹿な、と跪く人々を二度見する。

 まさか、そんなこと、あるわけが。


「ラゴウさまに命をお救い頂いてから、如何にして貴方さまに尽くせばよいか愚考して参りました。そして……やはりそれは、ラゴウさまの悲願である黒十字打倒への助力しかないと結論づけました」


 確かに、こいつには黒十字騎士団への反抗心を明かしていた。いたけども。


「ラゴウさまに累が及ぶことを危惧して単独かつ秘密裏に進めていた計画。あなたさまの助けになる同志を募り、設立した組織です」


 そんな勝手に設立しないでほしいんだけど。


「彼らはその志に賛同して集った戦士たち。わたしのように廃棄処分を受け黒十字から存在を抹消された方から、正団員として活動しておられる方までおります」


「ラゴウに命を救われたって人が多いよ。やるね」


 なにそれ。俺そんなの知らない。


「そして我ら、組織を取り纏める幹部『はね』の四名──『後翅うしろばね花鏡咲花かかがみさくな


「『前翅まえばね御上雪花おかみせつか


「『左翅ひだりばね』アベリア・アスモダイオス」


「『右翅みぎばね』ルートヴィヒ・シックザール、此処に」


 俺の前後左右を囲うように四人が跪く。


「そして部下となる『脚』と我ら『翅』を以て、黒十字騎士団という獅子を身中から食い破る『蟲』の頭となる御方」


 ああもう、本当に。


「ラゴウさま。我ら一同、貴方さまに身命を捧げることを此処に誓います」


「フフ……ククク……ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッッッ!!!!!」


 本当に、どうしてこうなった。

 もう笑うしかなかった。

これにて一章終了です!

ここまでお読みいただき誠にありがとうございました!

面白いと思っていただけましたら☆やブクマ、感想等いただけると幸いです!


番外編と一章終了時点での人物紹介を挟んだのち、二章に続く予定です。

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