どうでもいい
冷静になって考えてみれば、まどかちゃんと会っていることを今までずっと正直に言わず、みなとに嘘をつき続けていた私が悪い。本当に100パーセント悪い。それなのに逆上してみなとを怒鳴りつけるだなんて、私の方こそどうかしていた。それにそのことに対する罪悪感だけではなくて、ふだん心の奥底にひた隠しにしていた本音やら何やらをぶちまけてしまったことへの恥ずかしさ、ばつの悪さもあった。すべては体が熱に侵されてしまっていたせいだと思いたい。
けれど、俯いて自分の両手の甲を見つめる私に、みなとはこう言ってくれた。
「いい、そんなの。どうでもいい。イツカちゃんが生きていてくれれば」
「生きていて・・・って、大げさな。風邪ひいた程度で人間死にゃあしないよ」
「死ぬ人だっているでしょ」
私は思わず苦笑し、未だ涙が流れるのを止められないでいるみなとの顔を見た。
「いるよ、確かにいるけど・・・でも私は死なない。みなちゃんと一緒に生きるこの場所が気に入ってるから、異世界転生する気もないし」
冗談めかしてそう言ったら、みなとはようやく笑顔らしき表情を私に見せてくれた。ほっと胸を撫で下ろす。
「本当にごめんね、みなちゃん。えっと、今度からは、まどかちゃんに会いに行く時は正直にそう言うから」
「だからいいよ、もうそんなの。・・・あれぐらいのことでイツカちゃんに怒っちゃった、私が全部悪いんだから」
そう言って下を向いたみなとの両目から、また新たに涙が流れ出すのが見えた。しまった。私は狼狽えた。
「いやっ、そんなことは・・・」




